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若手が抱えるキャリア不安。会社との意識の差が浮き彫りに

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

6月1日に経団連の定める企業の「選考解禁日」を迎えました。有名無実化しているとも言われていますが、就活生にとっては一つの節目を迎えました。前回の記事では最近の就活事情についてまとめました。

これまでは総合職という名のもとに、入社してから配属がきまり、3年などの定期的なジョブローテーション(転勤含む)をすることで社内キャリアを育成する会社が多数でした。そして、いまでも主流と言えるでしょう。

特に入社3年目までは「新卒」というラベルはついたままで、基本的には雑用も含む仕事が与えられます。たとえ大学で高度な研究をしていたとしても新卒の枠から逃れることはできず、宴会の手伝いなども含む雑多な仕事に忙殺される毎日。「就職説明会では若手にも責任ある仕事を任せるといっていたのに!」など、理想と現実とのギャップに直面してしまいます。

実際に就活を終え入社した1〜2年めの若手社員に対して、キャリアの意識を調査したものががこちらです。

■「同じ会社でずっと働く考えない」 変わる就労意識
日本経済新聞社はディスコを通じて、複数の企業から内定を得た経験のある入社1~2年目の若手社員にアンケートを実施した。有効回答を得た680人のうち、「すぐにでも転職したい」が4%、「いずれは転職したい」が41%となった。「すでに転職した」人を加えると、47%が転職に前向きな姿勢を示した。
(略)
今回の調査では、「入社前後で仕事や働き方のギャップがあった」と答えた人が65%に達した。期待を下回った理由として多かったのは「仕事の内容」(56%)や「社風や体制など組織の特徴」(41%)だ。

就活では人事部の採用担当が就職フェアなどに出向く、または自社で開催する会社説明会を通じて学生に自社の魅力をアピールします。通常はこの際に、現場で活躍している若手社員からもプレゼンしてもらうなどしてさらにアピールします。「ああ、この会社は20代でも大活躍している先輩がいるんだ!」と思ってもらうためです。もちろん実際にその方は活躍しているのでしょうが、登壇の際には人事部の意向にそった内容で、場合によってはプレゼンのトレーニングも受けてもらいます。すべては、学生に前述のような「夢」をもってもらうためです。経営者が著名な場合は、あたかも有名アーティストのライブのような演出をし、集客にも活かします。

その後応募が済めば、面接中心の選考が進みます。これは受験と同じで、選考する側(会社)と応募する側(学生)という関係になりますので、買い手有利な状況です。主な質問は会社側からなされ、学生はそれに答えます。そしてついに内定となり、4月1日付で入社。数ヶ月の研修を経て本配属となります。ここでようやく、本当にそこで働く人々の中で、お客さんとしてではなく同僚としての姿を見ます。「夢」をみる期間が長ければ長いほどに期待値は高まり、ゆえに本配属後のリアルな姿とのギャップに苦しむ、、、先の調査の結果から想像できる現場の状況です。

企業側も多大なコストをかけて採用した新卒が、3年でやめてしまうのであれば完全に赤字事業でしょう。今後人材難が予想されることから、企業側はより他社と差別化するために「いかに夢を魅せるか」という競争になるかもしれません。するとこのギャップは解消するどころか、さらに拡大してしまいます。これでは両者ともに不幸ですよね。

では、どうすればよいのでしょうか。まず、実際の現場を体験してもらうことは重要でしょう。インターンを行う会社も増えてきましたが、1週間くらいのコースで「キッザニア」状態。つまり、実践的な内容ではなくお客さんとして社内で仕事っぽいことをしているだけ。これでは本当の企業のカルチャーや社風はわかりません。せめて1ヶ月、そして内容も実践的なものを契約社員のようにしてもらうことが必要でしょう。

次に、総合職から専門職へと変えていき、配属先やその後の仕事内容にギャップがないようにしていくこと。そして、数年単位での育成プランを共有したり、どのような学習機会があるのかなどを話し合うことが大事です。これにより業務を通じて自身がどう成長できるのかを理解してもらうことができます。

「この業務はなんのためにやるのですか?」と聞かれて「いいからやればいいんだよ、いまのうちは」

もしこのようなやりとりを普通だと感じるのであれば、今後の若手を会社に留めておくことは難しいでしょう。これからの良い上司は、この質問に即座に答えられ、さらにモチベーションも高めることが求められます。このようなスキルは「ソフトスキル」と呼ばれ、今後さらに重要になってくるものです。最近ではオンラインでこのようなスキルを学べるe-learningサイトも増えてきました。

働き方改革もよいですが、いま一番必要なのは企業側の「働かせ方改革」なのかもしれませんね。

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タイトル画像提供:k_yu / PIXTA(ピクスタ)

#COMEMO #NIKKEI

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