
パリ協定採択の地で起きた「炭素税」反対の暴動
パリ協定が採択された地で、その運用ルールを決めようというCOP24が開催中というタイミングで、温暖化対策の観点から導入の議論が進められていた燃料税をきっかけに、抗議デモが暴徒化していることの意味をつくづく考えます。
既にCOP24が始まっていますが(1週間目は各国政府の事務レベル会合がメインなので、私はいつも2週目に行くのですが)、あの場で議論を聞いていると、温暖化対策の必要性は他の全てに勝ると思いがち。
ただ、当然、現実社会はそれだけではないのではありません。温暖化対策を進めるということは、エネルギーの利用に制約をかけることになるわけで、その意味で炭素にコストを乗せるというのは正しいのですが、それだけに、SDGsの第1である「貧困」や第2の「飢餓」とトレードオフの関係性にあると指摘されています。ということで、「安価な」高効率技術を普及させることこそが持続可能な温暖化対策なわけです。
エネルギーは贅沢品ではないので、コスト上昇は特に低所得世帯、産業で言えば中小企業を直撃するので、政治問題になりがちです。日本では福島原発事故以降、火力発電依存が9割近くまで高まったこと、再エネの賦課金も膨らんだことで、電気料金が家庭用で25%、産業用で40%も上昇した(2014年度)と言う話をすると、海外の研究者からは「それで政治はもつのか?!」と聞かれたりします。
地球を守る、という言葉はとてもきれいなので、政治的には支持を集めやすいものですが、いまは、こちらにはフランスの世論調査の数字も出ていて、「78%がマクロン大統領のクリーン・エネルギーへの『エコロジカル転換』に反対」だそうです・・。
写真はCOP21でパリ協定が採択された瞬間です。