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スタートアップがアクセラレータプログラムに参加するメリットとは

日経COMEMOのKOLをしております、大林です。50,000名以上が実名顔写真付きで登録する複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営する株式会社Another worksの代表をしております。

本日のテーマは、アクセラレータプログラム

アクセラレータプログラムとは、創業初期のスタートアップ起業を対象に、事業の壁打ちや資金調達などの支援を行うプログラムです。行政機関やベンチャーキャピタル(VC)、スタートアップ支援機関が主催となり、人・モノ・情報を様々な形で伴走支援を受けることができます。基本的には、スタートアップが募集を見て、応募し、選考を経て採択される形でプログラムがスタートします。

昨今、日本全体の競争力低下が危惧されています。国も積極的なスタートアップ支援を打ち出す中、日経では東京都の取り組みが紹介されていました。2024年度に開設するスタートアップ支援拠点「Tokyo Innovation Base」。支援策の中では、ビジネス共創へ内外のベンチャーキャピタル(VC)やアクセラレーターと呼ばれる起業家育成組織を作ると記載があり、こちらでも新しい取り組みがスタートしそうです。

アクセラレータプログラムは”採択”がゴールではない

まず前提として、私は、明確な目的があるなら、アクセラレータプログラムに積極的に参加すべきだと考えています。Another worksでは今まで多くのアクセラレータプログラムに採択いただきました。*採択日付順

第2期スタートアップ・イニシャルプログラムOSAKA(SIO)
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開催      :大阪府

Fukuoka Open Innovation Program
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開催      :福岡県

グローバルアクセラレーションプログラム GAP-K
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開催      :北九州市

Plug and Play Japan Winter/Spring 2023 Batch
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開催      :Plug and Play Japan株式会社

知名度が十分でなく、信頼が不足しているスタートアップにとってアクセラレータプログラムは実績となり、実証実験の機会を得ることができる貴重な機会です。Another works社も創業当初から様々な機会をいただいてきました。

しかし、アクセラレータプログラムにおいて注意すべきは「採択実績」を目的にしてしまうことです。もちろん、採択されたという事実は実績となる一方で、参加することは目的ではありません。採択によって受けることのできる支援を通じて、実績を作り、グロースに繋げていくことに価値があります。実際、我々が参加してきたアクセラレータープログラムは全て明確に目的があり、その目的を達成するために応募し、採択いただき、実現してきました。

明確な”目的”を決める

では、どのようなアクセラレータプログラムに、どのような目的で参加するのがよいのでしょうか。事業において何を成し遂げたいのか、作りたい実績は何か、そのために今何が不足しているのか、必要なものはなにか、洗い出し、逆算し、最適なアクセラレータプログラムを見つけましょう。

ここでは、2022年に採択いただき、2023年3月に最終報告会を終えた「グローバルアクセラレーションプログラム GAP-K」を例に挙げ、ご紹介していきます。

グローバルアクセラレーションプログラム GAP-K」とは、北九州市において市内企業や金融機関が実行委員会形式で実施するアクセラレータープログラムで、事業規模の拡大が見込まれるスタートアップ企業に対し専門家による強力な伴走支援を行い、投融資や協業などの支援を行う取り組みです。

Another works社は、本プログラム応募にあたり「北九州市との複業登用プロジェクトの成功」を目的に掲げていました。この目的は、「事業において成し遂げたいこと」から逆算し導き出しています。

Another works社は、複業したい個人と企業を繋ぐ総合型マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営しており、メイン事業として民間企業を対象にサービス提供しています。会社のミッションである複業の社会実装を実現するべく、行政への価値提供が欠かせないと考え、「複業クラウド for Public」という形で自治体向けの新規事業をリリースしていました。

そこで、更なる事業拡大を目指し、九州の要塞である北九州市で全国を代表する成功事例を創出したいと考えました。また、人で困っている特に創業初期の企業を多くご支援してきた複業クラウドは、「日本一起業家に優しいまち」を目指す北九州市の理念に深く共感し、地方発のスタートアップ推進の一助になりたいと強く思いました。私が大分出身ということもあり、九州展開を加速させていきたいという背景もあります。

このように、「北九州市との複業登用プロジェクトの成功」という明確な目的の元、アクセラレータプログラムへの応募に至りました。

アクセラレータプログラムになかなか採択されない、採択されたけれども実績を残せなかった、という相談を受けることがありますが、この目的が曖昧にはなっていないでしょうか。採択されることがゴールになっていないか、目標達成のためにこのアクセラレータプログラムでしか得られないものは何か、これらを言語化してみることをお薦めしています。

6カ月で達成したい小ゴールを設定する

明確な目標が決まった後は、プログラム期間内に達成したい小ゴールを決めましょう。小ゴールの設定のポイントは、「プログラム期間内にファーストハードルを超える」こと、「最終報告会でインパクトのある成果を報告する」ことの2点です

プログラム期間内にファーストハードルを超える

アクセラレータプログラムは、短いもので3カ月、長いものでも1-2年という期間が設けられており、期間を過ぎると”卒業”という形になることが多いです。

もちろん、プログラム期間中に接点を持った企業や人と、終了後に継続協議を進めていくことは可能です。しかし、プログラム終了後には伴走支援を受けることはできず、お互い公明正大に時間を割くことはできません。プログラムによっては次年度の取り組みがスタートするケースもあるでしょう。

そのため、「プログラム期間内」に、目的を達成するために「必ず実現したい通過点」を超えることができるような目標設定をオススメしています。

Another works社が「北九州市との複業登用プロジェクトの成功」という目的を達成するために最も難しく、必須の通過点は「北九州市との連携協定の締結」でした。これは、北九州市から複業人材登用の許諾を得られた状態を指し、プロジェクトをスタートできる状態です。民間企業向けサービスに置き換えると、サービスを利用するための契約締結の段階であることが多いでしょう。

資金調達を目的としているケースでは、〇社との初回打ち合わせが完了している状態、新サービスのリリースを目的としているケースでは、10社にβ版を利用開始いただいている状態、など、より具体的な通過点を設定することをオススメしています。

最終報告会でインパクトのある成果を報告する

アクセラレータプログラムは行政や支援機関が主体となり、大々的に広報活動をしてくださるケースがほとんどです。スタートアップが自社単体では呼ぶことのできないメディアや関係者の皆様が集まる最終報告会の機会があれば、それは会社のメディア露出を狙う最大の場、いかにインパクトのある事例を見せ、PRすることができるか、が重要です。

KITAKYUSHU WORK AND ROLE 2023(GAP-K最終報告会)の様子

インパクトのある事例は、各社サービスの特徴などによってケースバイケースです。例えば、XX社と連携をスタートしました、という連携開始実績が成果になるケースもあれば、XXとの連携で○○の新サービスが生まれました、という次の繋がりが成果になるケースもあります。

Another works社では、「北九州市との複業登用プロジェクトの成功」に向け、「連携協定を締結し、採用される複業人材が決まっている状態」が最もインパクトのある成果だと考え、スケジュールを逆算していきました。

北九州市 行政における複業アドバイザー就任式の様子

GAP-Kの最終報告

北九州市とAnother worksの連携協定の締結
特設ページのオープン
行政における複業アドバイザー就任式の開催
・メディア出演 (一部抜粋)

ASCII STARTUP 北九州市 5つのスタートアップ支援プログラムが連携始動
FBS福岡放送 FBSニュース
毎日新聞 「複業」人材活用で連携 北九州市と東京のIT企業
NHK北九州 観光客誘致などへ民間アドバイザー登用 北九州市で就任式 等

アクセラレータプログラムに参加して良かったこと

GAP-Kをはじめとするアクセラレータプログラムに参加して良かったことは本当にたくさんあります。

中でも一番は、熱意のある行政の担当者様と出会えたことです。GAP-Kでは、北九州市を本気で変えたい、本気で「日本一起業家に優しいまち」にしていきたいと思い、行動し続ける熱い職員の皆様と共に未来を創ることができました。このアクセラレータプログラムでの出会いを通じて、今後も強固な連携を図り、北九州市、北九州市内のスタートアップ企業を盛り上げていきます。

また、アクセラレータプログラムは、第三者の目線からアドバイスやフィードバックをいただける点が嬉しいポイントです。GAP-Kでも、事務局(北九州市)・採択企業(Another works)以外、運営全般をご支援いただいた有限責任監査法人トーマツの皆様と一緒にお仕事をさせていただきました。プロジェクトが円滑に進むよう、交通整理をいただいたり、他社事例を基にアドバイスをいただいたりと官と民のギャップを埋め、進行をサポートしていただきました。

そして、今後の連携に繋がる課題発見にもつながりました。コワーキングスペースでの交流やKITAKYUSHU WORK AND ROLE 2023への参加を通じて、北九州市に拠点を構える企業の”生の声”を聞くことができました。「日本全国が抱える課題」を理解した1歩先である、「北九州市が抱える課題」というよりミクロで、解像度の高く理解することに繋がりました。

北九州市役所渡辺様からのメッセージ

最後に、今回のGAP-Kで出会い、ご一緒させていただいた北九州市役所 スタートアップ支援課 渡辺 泰三 様よりメッセージをいただきましたので、ご紹介させていただきます!

北九州市スタートアップ推進課の渡辺です。この度は、大林代表をはじめ株式会社Another works様の素晴らしいスタッフの方々とお仕事をさせていただくご縁をいただき、誠にありがとうございました。

今回、採択を受けられた「グローバルアクセラレーションプログラム(GAP-K)」は、市内の大手企業や金融機関など14社で構成する実行委員会が実施する民間主体のアクセラレータプログラムであり、市内で活動するスタートアップに対し、事業成長(資金調達、海外展開等)に向けた伴走支援が行われます。

本プログラムでは、本市が強みとする環境・ロボット・DX産業の強化や、様々な地域課題の解決に資するスタートアップの応募を求めており、実行委員会の会員企業との事業シナジーも生まれやすいと考えています。これまで本プログラムに採択された12社のうち、本プログラム採択後に販路拡大(市内企業によるサービス採用等)、資金調達、J-Startup KYUSHUの選定などの成果につながった企業は9社にのぼります。個人的な所感ですが、いずれの企業も現場・業界事情も踏まえたユーザーの課題を精緻に明確化し、自社が提供できる価値についてリアリティのあるビジョンを有していると感じます。

その中でも成長著しい株式会社Another works様から本市を事業活動の場として選んでいただけたことを大変嬉しく思っています。今回多大なサポートをいただきながら、連携協定に基づく複業人材の活用実証(5分野)をスタートすることができました。行政課題に民間の知見を活かす視点は重要であり、「複業」という新たな働き方を本市に根付かせる大変良いトライアルの機会をいただいたと思います。また、成長を続けるスタートアップ経営者が後進の起業家に影響を与えていく関係性は、本市が目指すスタートアップ・エコシステムの一つであり、市内で起業を目指す若者が大林さんの熱意や経験に触れ、刺激を受けることでより一層チャレンジを志すきっかけになったのではないかと思います。

引き続きお力添えをお願いするとともに、今後の益々のご発展・ご健勝をお祈りしております。
              北九州市スタートアップ推進課 渡辺 泰三

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