材料難の状況が続いている為替市場において、今の一大テーマは「新興国は米利上げに耐えられるか?」となっています。GW中に見られたアルゼンチン騒動を端緒として市場が類例を探し始めるとしたら、どこに注目すべきでしょうか。この点はセオリー通り、対外経済部門の脆弱性に着目することになります。
実際、年初来の新興国通貨市場を見ると、経常赤字国通貨の下落が目立ち、経常黒字国通貨はこの局面でも持ち堪えていることが分かります。対外経済部門に脆弱性を抱える通貨から順に大きく下落しやすいとすれば、アルゼンチン、トルコリラ、インドネシア、南アランド、インドルピー、インドネシアルピアといった新興国通貨に焦点が当たりやすいのですが、やはりこうした通貨は年初来で軟調です。ちなみに、経常赤字にもかかわらず年初来で堅調推移しているブラジルレアルやメキシコペソなどは往々にして「これまで下がり過ぎた」か、たまたま「政治的な支援材料があった」かで、本質的な危うさが払拭できるものではありません。
トルコリラはこの上でエルドアン政権の強権政治へのリスクも通貨を手放す材料となっており、外貨準備も新興国の中では手薄なグループに入ります。日本人のFX取引において人気通貨のトルコリラですが、客観的に見て、「最も買えない通貨」という立ち位置にあると思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30567290W8A510C1000000/
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