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74年前の8月を、矛盾なく振り返るのなら

8月、日本が敗戦を迎えて74年が経った。15日、様々な報道に触れながらふと、内戦が続きシリアで出会った女性が、かつて語っていた言葉を思い出した。「戦争に勝者はいません。どちらも、敗者です」。

74年前の日本や戦争に関わった国々、それぞれの権力者たちが政治的解決を見いだせず、武力へと走った時点で、それは何にも打ち勝ったことにならないのだろう。

シリアから難民となった方々と話していると、「広島」「長崎」が時折話題になる。

「日本はすごい。あれだけ破壊されても、発展して平和な国を築いた。僕たちもいつか日本みたいな国になりたい」。そんな声をかけられたこともあった。ただ「日本のようになりたい」という言葉を聞く度に、複雑な気持ちになる。

今の日本は、彼らに誇れるような「平和」を築けているだろうか。

7月、シリア北西部イドリブ県で、空爆で倒壊した建物の下敷きになった5歳の女の子が、必死に生後7カ月の妹のシャツをつかんで助けようとする写真が拡散された。

シリア政府軍やロシア軍による無差別的な攻撃は、今に始まったわけではない。これに対して日本は、表立って問題視をしてきただろうか。

3年前、日ロ外相会談が行われたときだった。ラブロフ外相はシリア問題などで、日本との立場は「一致している」とした。多くの民間人の命が奪われる空爆が繰り返されていた中で、日本がそれを”黙認”したように思えてならなかった。

もしも74年前の8月を矛盾なく振り返るのなら、あらゆる非人道的なことにNOといえる存在でありたい。原爆や空襲、あの痛みを知っているからこそ、いまだ終戦を迎えることができない地の未来を壊す国ではなく、これからを照らす存在でありたい。


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安田菜津紀(フォトジャーナリスト)

フォトジャーナリスト。東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で貧困や災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。J-WAVE「JAM THE WORLD」水曜日ニューススーパーバイザー。TBS「サンデーモーニング」コメンテーター。

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