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インフルエンサーが職業として成り立つ時代の転換期

日本ではユーチューバーが職業として成り立つようになったところだが、海外では、YouTubeに限らず、多様なSNSでフォロアーからの人気を獲得しているインフルエンサーが高年収を稼ぐ成功事例が相次いでいる。

中国では張大奕(ジャン・ダーイー)という女性が500万人のフォロアーを獲得しており、彼女がECショッピングモール「淘宝網(タオバオ)」の中で行うライブ配信では、2時間で数億円分の商品が売れるほどの爆発力がある。彼女の年収は50億円とも言われ、中国では、世界のセレブ女優を凌ぐほどの影響力を持ち、化粧品メーカーや有名ファッションブランドも次々と提携の名乗りを上げている。

インフルエンサーの成功に加速度を付けているのが、テレビCMからの乗り換えを検討している広告企業の存在である。彼らは、Instagram、YouTube、Twitter、FacebookなどのSNSから有力な有力なインフルエンサーを発掘して、自社製品のプロモーション提携を呼びかけている。世界の総広告費は6,000億ドル(約66兆円)と言われており、今後はその何割かがインフルエンサーに流れていくとしても、その規模は莫大なものになる。

米国では、インフルエンサーの価値は、「フォロアー1万人あたり100ドル(1投稿)」が基準になっている。10万人のフォロアーがいれば、投稿1回につき1,000ドル(約11万円)を基本料金として、月間で複数の投稿をする場合には、そこから割引料金が適用される。ただし、この相場観は投稿のカテゴリーによっても大きな偏りがあり、新たな生き方やライフスタイルを魅せられるインフルエンサーが、企業からも人気が高い。

芸能人やセレブ女優と比べると、SNS上のインフルエンサーは消費者との距離感が近く、新製品の特徴や使用感などを伝えやすいためである。テレビCMと比較すると、SNS動画は企業の広告予算に応じて、提携するインフルエンサーを使い分けることが可能なため、中小企業でも使いやすい。実際に、米国で行われているインフルエンサーマーケティングでも、8割以上はフォロアー数が5万人以下のマイクロインフルエンサーが活用されている。

Instagram、Twitter、YoutubeなどのSNSを使い分けたインフルエンサーマーケティングの管理ツールを開発する「Klear」のレポートでは、フォロアーの数によってインフルエンサーを「Nano(500~5,000フォロアー)」、「Micro(5000~30,000フォロアー)」、「Power(30,000~500,000フォロアー)」、「Celebrity(500,000フォロアー以上)と4つのカテゴリーに分類して、SNSの種類と投稿のタイプ(テキスト、動画、ストーリーなど)による報酬相場を算定している。

インフルエンサーの中でも、動画を得意とする者の評価は最も高く、海外ではInstagramの動画投稿が注目されている。Instagramの動画は60秒以内の尺となっているため、短い再生時間の中でメッセージを伝えやすく、テレビCMとの間で効果を比較しやすいためである。

現在のテレビ広告は、地上波放送だけで1.8兆円の市場規模があるが、それと比較するとネットの動画広告は、まだ7%程度に過ぎない。昭和30年代~平成にかけては、テレビの普及によって「芸能人やタレント」が憧れの職業として浮上したが、テレビよりもSNSの影響力が大きくなる新たな時代には、テレビの出演者に求められてきた役割がインフルエンサーへと変わっていくことになる。

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JNEWSはネット草創期の1996年から、海外・国内のビジネス事例を精力的に取材、会員向けレポート(JNEWS LETTER)として配信しています。詳細は公式サイトをご覧ください。SNS動画によるインフルエンサーマーケティングの動向については「JNEWS LETTER 2019.5.20号」で詳しく特集しています。



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JNEWS編集長(井指 賢)

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