インフレ対策として高騰する米国住宅相場の先行き
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インフレ対策として高騰する米国住宅相場の先行き

JNEWS編集長(井指 賢)

 2022年に予測される世界経済の動向としては、各国がコロナ禍で進めてきた超金融緩和政策から、徐々に抜け出していくテーパリング(tapering)があるとみられている。具体的には、政策金利を段階的に引き上げていくことで、市中で膨張したマネーを回収する行動に出る。

この背景にあるのが、物価が高騰するインフレが急速に進行していることで、米国労働統計局が発表する消費者物価指数(CPI)では、2021年12月の物価上昇は前年同月比で6.8%となっている。カテゴリーによっては、価格が20~30%上昇している生活用品もあり、消費者の生活に深刻な影響を与えはじめている。

CONSUMER PRICE INDE(CPI)NOVEMBER 2021

米国の物価インフレは、過去40年間で過去最高の上昇率となっている。1970~80年代にかけては、2度にわたるオイルショック(石油危機)によるインフレを世界は経験しているが、この時には中東地域の紛争が主な要因となっていた。それに対して、今回は、新型コロナによる自然の脅威がインフレ誘発の引き金となり、いまだに完全収束となっていない。さらに、環境問題による資源価格の上昇が物価高騰に拍車をかけていることから、各国政府が金融引き締めを行ったとしても、インフレが短期で収束するかは不透明な面がある。

そのため米国では、インフレ対策として住宅購入を検討する人が増えて、住宅相場が高騰する事態となっている。米国内では、人生初めてのマイホーム購入層にあたる35~44歳の人口が4100万人いるが、彼らの中では、固定金利の住宅ローンで家を購入することで、今後の家賃上昇リスクを回避しようとする心理が高まっているのだ。パンデミック以降は、転職やリモートワークなど、働く環境の変化に伴い、新しい住居を探す人が増えたことで、家賃相場は急速に上昇しており、都市によっては1年間で20~30%の上昇がみられる。

毎年値上がりする家賃を払い続けることと比べると、住宅ローンで持ち家を購入することは、長期にわたる住居費を固定化することができるし、今後も物価の高騰が続けば、マイホームはインフレヘッジに役立つ資産としての魅力も高くなる。

現在の米住宅市場では、「初めて家を買う人」「セカンドハウスやリモートワークの拠点として2軒目の家を買う人」「賃貸収入を狙う投資家」の3者が買い手となっており、物件の供給量を需要が上回っている。そのため、2020年3月~21年10月にかけての住宅価格(中央値)は26%上昇した。また、リモートワークの利点を活かして、既に価格が高騰している大都市を避けて、地方の一戸建に人気がシフトしているのも特徴である。

米国で低金利の住宅ローンを利用するには、購入価格の2割を頭金として貯めることが標準となり、それが用意できるか否かで住宅購入層と賃貸層が分かれている。30年固定金利の住宅ローンは、金利の上昇過程でも変動幅は低いため、2022年も住宅購入層の意欲は高いとみられ、今回のインフレ対策では「住宅購入が最も強い」という考え方がされている。それが、正しいか間違っているかが判明するのは、数年先のことになりそうだ。

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JNEWS編集長(井指 賢)
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