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コロナ禍で上昇する地方都市の不動産相場とリモートワーク都市の発掘

コロナ感染へのリスクが人々の生活を変えることは間違いないが、都会に住んでいる人の多くは、仕事や生活上の利便性を優先して、都会に住み続けることになるだろう。ただし、ワークスタイルと生活スタイルの変革に成功した人の中では、人口密度が高い大都市に住む必要は無くなるため、人気都市の動向は、コロナ前とは異なる兆候が出てきている。

奈良市では4月以降、県外から移住の問い合わせが急増。4~6月の資料請求は62件と前年同期比で約3倍に増えた。移住希望者向けの案内冊子「ならりずむ。」を2万部製作し、東京都営地下鉄などで配布したこともあり、問い合わせの半数以上は首都圏からだ。(日経新聞2020/7/17)

米国の不動産情報サイトの「Zillow」が、全米35の主要都市で販売される登録物件を調査した最新レポート(2020年6月時点)によると、29の都市では1年前と比べて販売価格の中央値が3.1%上昇している。

新規の物件登録数は1年前との比較では17.2%減少しているが、これはロックダウンによる新築工事の遅れと、Safer at Home(自宅待機命令)により、不動産業者は積極的なセールスを控えていたのが原因である。減少した物件供給数に対して、住宅購入希望者の数は意外と減少しておらず、米国の主要都市の住宅相場は前年同月比で上昇傾向にある。

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不動産の売買データ分析を専門とする「ATTOM Data Solutions」のレポートでも、2020年第1四半期に住宅価格(一戸建とマンション)の上昇率が高かった地域は、コロナ感染のリスクが低いウィスコンシン州ミルウォーキー(19.1%Up)、フロリダ州パナマシティ(18.4%Up)、 メリーランド州ソールズベリー(15.4%Up)、ルイジアナ州ニューオリンズ(13.9%Up)などの地方都市となっている。

【地方に埋もれたリモートワーク都市】

国土が広い米国では、大都市までマイカーで日帰りができる圏内、または近隣にローカル空港があれば、往復のフライトが日帰りでできる郊外都市が、リモートワーカーのサテライトシティとして注目されており、大都市よりもテレワーク率が上昇している。

米国の生命保険会社「Haven Life」が米国国勢調査のデータを元に分析したレポート(2018年)によると、人口に対して在宅勤務者の割合が高いのは、州単位でみると、コロラド州、オレゴン州、バーモント州、ユタ州など、大都市圏から外れたローカル地域になっている。反対に、米国最大の都市圏であるニューヨーク州は全米で最も在宅勤務率が低い。

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これらの特徴を日本に当てはめると、全国の政令指定都市や県庁所在地、国立大学がある地方都市の周辺は、住民の中でブルーワーカーよりもホワイトカラー職の占める割合が高く、今後のリモートワーク都市として人気が上昇していく可能性がある。東京23区内と地方都市との平均家賃を比較すると、地方は4~5割安いが、新型コロナの緊急事態宣言が解除された6月以降は、中古の戸建住宅や売土地についての問い合わせが急増してきている。

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日本国内の不動産相場は、東京23区内を100とすると、地方都市はどの地域でも50~60が住宅価格の実売価格となっており、札幌、仙台、静岡、福岡など、どの地域に住んでも移住費用に大きな差はない。米国よりも国土が狭い日本では、新幹線と飛行機を使えば、どの地域からでも東京との行き来はしやすいことから、コロナ禍を転機として全国の地方都市が「リモートワーク都市」として見直される可能性はあるだろう。

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