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コンビニが、コンビニエント=便利ではなくなる日

日本では新型コロナウィルスの感染拡大も一息つき、今のところ感染者数も一時期に比べて大変低い水準に抑えられている。

一方、ヨーロッパなどのいくつかの国では未だに感染の拡大が続いており、日本でも第6波に向けての備えをするなど、まだ新型コロナウイルスに関して予断を許す状況ではない。

日本は、世界的に見ても人口当たりの感染者や死亡者の数が大変低く抑えられており、感染の落ち着きもあって、コロナ禍前の2019年以前の姿を取り戻そうとする動きが散見される。典型的には、たまに通勤時間帯に通勤電車に乗ると再びかなりの混雑を見せているところに、オフィス出社が復活してきていることを肌で感じる。

こうして、感染拡大抑制に関しては世界的に見ても優等生レベルの対応ができたと言えるのだと思うが、そのためもあってか新型コロナウイルスの蔓延を前提とした新たなビジネスについては、日本国内ではあまりめぼしい物が出てきているように感じない。

一方で、感染者数が再び増加傾向にあるアメリカでは、食品や日用品の超スピードでのデリバリーサービスが生まれているという。

記事を読んでいて衝撃的だったのは、10分から15分程度で欲しいものが手に入るという極めて高速な宅配が実現していること。UberEatsのように配達員がリュックに商品を詰めて持っていくスタイルもあれば、バンに物を積んだ無人店舗の移動販売車が回ってくる(現状ドライバーは有人)タイプもあるという。

日本の都市部であれば、どこに行ってもコンビニエンス・ストアがあるので、少し外出をすれば簡単にこうしたものは手に入る状況にはある。しかし、例えわずかな距離と時間とはいえ自分自身が歩いて店まで行く手間はかかるし、感染が拡大している時期であれば、店で他のお客や店員に顔をあわせることが感染のきっかけとなる可能性もある。記事のようなサービスであれば、そうした感染の可能性については店に足を運ぶことに比べて低く抑えられるだろう。

また、自分がコンビニに行って買って戻ってきても10分で済むのであれば同じ時間だ、と思うかもしれないが、そうではない。

自宅で仕事をしながらデリバリーを待つ5分10分は「労働時間」になり稼ぐ時間になるが、歩いてコンビニへ往復する5分10分は「休憩時間」であり、報酬を生まない。つまり、自分の仕事の時間として活用できるかどうかに大きな違いがある。仮に時給1200円で働くのだとだとすれば、10分は200円に相当する。日本であればペットボトル飲料の1本、おにぎりの1つが余計に買えてまだ余るくらいになる。

自分が動かないとなると、一層運動不足がエスカレートしコロナ太りが進んでしまいそうだが、一方で、自分の空いている時間にこうしたデリバリーで働くのであれば、今度はサービスを提供する側として、お金をもらいながら運動不足を解消することもできる。

いずれにしても、日本のコンビニがいつまでも「コンビニエント」つまり便利なものであり続けるかどうかは、こうした世界の動きをよく見ておく必要があると思う。コロナの問題と人手不足の問題が言われながら、日本のコンビニのこの2年弱を振り返ると、無人店舗はごく一部で試験的に導入された程度だし、セルフレジすら満足に導入できていないチェーンもあるのが現状だ。

この記事にあるようなサービスは、日本のコンビニエンス・ストアとバイク便などの配達サービスや、 Uber Eatsに代表されるフードデリバリーのサービスのかけ合わせに原型があるものとも言えるから、発想すること自体はさほど難しくはないだろう。もちろん、それをビジネスベースに乗せられるようなコスト構造を作り設計することにはノウハウが必要になるものではあるが。

日本のコンビニに相当するものがないから海外に行くと不便だ、という話が過去のものになり、日本は「コンビニ」しかなくて不便だね、と言われる日が来るのかもしれない。それは、いろいろな課題を抱えていることを承知しつつも、オリジナルなビジネスモデル(つまりは白タクモデル)のUberがない日本の(地方都市の)不便さにも通じるものかもしれない。

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