利他

「まず自分を愛せよ」話はそれからだ!

「忘己利他」という言葉があります。

かの高名な最澄先生の言葉です。

意味は『己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり』、つまり自分の事より他者のことだけ考えよっつー内容ですが、あえて言わせていただきます! 

そんなこと絶対しない方がいい。ただ搾取されるだけです。


他人に対して思いやりなど提供できる権利と能力があるのは、大前提として「自分を愛している人」だけです。一番身近な自分すら愛せない人間がどうして他人に対して何かしてあげることができるでしょうか?

自分を愛せない人間が利他行動すると見返りを求めがちです。それは、表層的な利他で利己を埋めようとしてるだけだからです。言い換えるならば、利他の行動でしか、自分を感じられない空虚な人ってことです。


純粋な利他精神なんて不要です。


こういうこと言うと、「寂しい人だ」とかやたらと上から目線で言ってくる人いるんだけど、利他を他人に薦めてくる人のほぼ大多数が利他してねえからな。本当に利他行動している人は、人に「利他行動しなよ」なんて押し付けてこねえからな! 

利他を人に薦めてくる人は大抵こう言います。


あなたのためだから! 


詐欺師や新興宗教勧誘員の常套句です。「あなたのためだから」という台詞を吐く奴のほぼ100%が、「お前なんかどうなってもいいけど、俺の為に尽くせよ」って思っています。これを利己といいます。

じゃあ利己は悪なのか?

いいえ、利己でいいんです。なまじ利他みたいな人が混じっているから、利己がフリーライダー化しちゃうんです。だって、利他の人からは搾取し放題だからです。

全員利己だとしましょう。誰からも搾取できません。そうなると利己は利己のためには、100%搾取を諦めて、半々の取り分で妥協するようになります。お互いWIN-WINを目指します。目指します、というかそうせざるを得ないのです。

全員が利己なら、一人勝ちする利己は存在しえないからです。それ、逆の言い方をすると、全員利己だと全員利他になるってことですよ。


考えてみてください。

誰かに何かをしてあげたことで自分の肯定感を得ようとしても、それはまやかしでしかない。自分の中の欠落感や空虚感は、自分が自分に何かを施すことでしか満たされない。つまり、それは、自分を愛することであり、自分を認めること。※ここの部分、テストに出ます。拙著「超ソロ社会」を読んで勉強してくださいwww


自分を愛せた人間だけが心の穴を埋めることができるし、それは穴を埋めるどころか、次から次へと湧き出てくる。だから、その湧き出た分を他者におすそわけすることができるんです。

利他とは、利己をしまくった奴だけができる結果論でしかない。


「情けは人のためならず」という言葉はまさにそういうことです。


ちなみに、「忘己利他」とは「もうこりた」と読みます。我を忘れて他人の為に尽くすなんて、結局そうなります。


以前も同じようなこと書きましたけど、こちらもどうぞ。



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