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趣味からプロを目指すストリートフォトグラファーの道筋

これからの長い人生計画では、複数の仕事や収入源を持つことが課題になっている。それは、金融危機や感染症へのリスクなど、予測不能な事態が起きた時にも、経済的ダメージを最小限に食い止めるための対策であり、好きなことを「副業」にして、人生を豊かに暮らすための楽しみ方でもある。日本政府も、多様な働き方を後押しするための具体策を講じている。

本業の他に、副業を持つことは、休日の余暇時間を削って仕事に取り組むことになるため、自分な「好きなこと」をテーマにすることが、長続きをさせるための秘訣になる。料理が好きな人ならば、料理教室の運営をしたり、プラモデル作りが得意な人の中では、プロモデラーとして活躍する人もいる。

そうした中で、グーグルは世界中で展開するストリートビューの写真コンテンツを充実させるため、一般ユーザーの中からカメラマンを育成するプログラムを展開している。

ストリートビュー投稿者の中で、実績と撮影技術の高い者を「Google認定フォトグラファー」と承認しており、店舗内インドアビューのカメラマンとして撮影依頼を受けることができる。認定フォトグラファーは、Google経由の依頼を待つだけでなく、Googleが認めたプロのストリートビューカメラマンとして、地域の店舗などに営業をかけることも可能だ。

認定フォトグラファーの承認を受けるまでの具体的なプロセスは、私的に訪れた観光名所や公園などを360度カメラで撮影して、ガイドラインに沿って編集した画像データを投稿する。Googleでは投稿された写真のクオリティをチェックしており、合格基準をクリアーした写真がストリートビューに掲載される。この投稿実績を50回以上重ねることで、認定フォトグラファーの資格が与えられる。

そのため、最初は趣味として360度写真の撮影を行い、写真と写真をつなぎ合わせたり、プライバシーに配慮すべき場所はモザイク加工するなど、ストリートビュー独自の編集スキルを習得しながら、認定フォトグラファーを目指すのが正しい道と言える。ただし、認定を受けたフォトグラファーの中でも、スキルレベルには差があるため、すべての人が魅力的な収入を稼げるわけではない。

店内インドアビューの撮影料金は、各認定フォトグラファーの裁量よって決めることができ、Google側で手数料などは徴収していない。そのため料金設定の方法も様々で、店舗の撮影は1回あたり一律10万円としたり、店内の撮影地点1ヶ所あたり1万円×店舗内の撮影ポイント数で算定する方法、さらに、仮想ショッピングカートと連携させたバーチャルツアーのコンテンツに仕上げて、商品としての付加価値を高める方法もある。

「Google認定フォトグラファー」として活動している人の多くは、趣味としてカメラ撮影をスタートさせた人達であり、それが職業として成立するようになっている。YouTuberとして動画コンテンツを配信することも、いまでは「副業」として成り立っているが、ストリートビュー・フォトグラファーは、それよりもスタート時の心理的なハードルが低く、1回ずつの投稿成果がカウントされていくため、認定フォトグラファーとなるためのモチベーションを持続させやすい。

ストリートビューのプロカメラマンとして生計を立てるには、効率的にクライアントを獲得できる営業ノウハウが重要になるため、最近では、個人のGoogle認定フォトグラファーを組織化した、撮影代行会社も登場してきている。 電話セールスなどで、店舗経営者をターゲットとしたストリートビュー撮影の営業を行い、実際の店舗撮影は、加盟している認定フォトグラファーに委託する方式である。

自分が「好きなこと」を仕事にするための道筋は、いまでは多様な選択肢があり、多額の開業資金を投じるようなリスクを抱えなくても、まずは趣味としてチャレンジしていくことは可能だ。そこからプロフェッショナルになれる人は一握りだが、その資質は「才能の有無」というよりも、多少の挫折にもくじけることなく、継続的な努力を積み重ねられた人が、最終的にプロのステージに辿り着いている。

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