「会社員でないとお金を稼げない」という固定観念から脱却
1.FIREのREは固定観念からの脱却
前回、僕が思い描いているFIREの「RE」は、一般的に認識されているアーリーリタイヤではなく、リスタート(REstart)もしくは リボーン(REborn)。すなわち「人生を再スタートさせよう、生まれ変わろう」というふうに捉えているとお話しました。もう少しここについて触れていこうと思います。
僕は前回お話したとおり、生活レベルを極端に下げるFIREには全然魅力を感じないという結論に達したので、FIREした後に運用益以外にもどうやって収入を得るかを考えています。
「え?FIREした後に働くの?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、40代半ばから何もしないでボーっと生きていたら、頭がサビついてしまいます。それは僕の本意ではありません。
FIREというと、みんな「お金を貯めて会社を辞める、そしてもう二度と働かない」と思いがちです。もちろんそれもFIREのひとつの形なのですが、必ずしも「会社を辞めて、一切働かない」というように狭義にとらえなくてもいいのではないかと感じています。
こう言うと、「FIREしたのに収入を得るために働かないといけないなんて矛盾してる」と感じる人もいるかもしれません。そういう人は、きっと会社でイヤイヤ仕事をしていて、「収入を得る=辛い思いをしながら働く」ととらえてしまうのでしょう。
勘違いしないでほしいのですが、「生きていくために、好きでもない仕事をする」の対義語は、「働かずに生きていく」はなくて、「好きなことで収入を得て生きていく」なのです。
別の言い方をすると、FIREのREは「朝から晩まで拘束されている会社員人生から抜け出して、いつ何をしてお金を稼いでもいい自由人になろう」ということです。FIREの本質は、「会社に所属しないとお金を得ることができない」という固定観念から脱却、意識の変革なのだと感じます。
次の日経新聞の記事を見ても、FIREした先達たちは、みな自由に好きなことをしてお金を稼ぎながら人生を謳歌しています。
2.会社員だった時の生活
ちなみに会社員だったときの生活は、辞める1年半ほど前から完全在宅勤務でした。しかし、会社に行っていなかっただけで、人間らしい生活をしていたとは言いがたい生活だったように思います。
朝から晩までずっとパソコンの前に張り付いて、メールと会議に追われる毎日。外がすごくいい天気でも、家の中から外を眺めて終わり。少し外の空気を吸いたくても、仕事があるから散歩になんか出られませんでした。
結局平日は一歩も外に出ない日々が続き、今カレンダーを見直してみると、1ヶ月にたった2~4日しか家の外に出ていなかったのです。
当時は仕事が中心の生活だったので、その生活に違和感を感じてはいませんでしたが、今から思うと相当異常ですね。
自由になってから、「会社員のときに生活がおかしかったことがようやくわかったよ」と妻に伝えたら、「え?今まで気づいてなかったの?めっちゃヤバかったよ」と言われました。家族から見ていても、相当おかしかったようです。
3.FIRE後の1日のスケジュール
さて、FIREしたあとの生活は、FIRE前に想像していた以上に楽しいものでした。会社を辞めたはずなのに、「あれ?なんでこんなに忙しいの?」と感じるくらい充実しています。
僕は今、以下のようなスケジュールで生活しています。
大体朝9時くらいに起床し、のんびりします。その後は家族でカフェに移動したり、友人と会うために都内に移動したりする感じです。
そして、たいてい19時くらいには家に帰ってきて、家族でゆっくり夕食をとり、お風呂に入ったあとはみんなでカードゲームをしたり話をしたりしています。
仕事らしい仕事は22時からの執筆活動や講義資料の作成くらいで、こちらもストレスにならない程度にゆるくやっています。
最近は講演活動やトークイベント、インタビューなどもオンラインですべて完結しますから、場所を選ばず、時間を有効に使えて本当にいいです。
コロナの影響が少なくなって、どこへでも自由に行けるようになったら、日本の色んな場所を巡りながら、オンラインで執筆・講演活動をしたいなと思っています。
4.よく聞かれる質問
「FIREしたあと、日中どんなことをしてますか。ヒマじゃないですか?」
人にFIREをしたと言うと、この質問をよく聞かれます。確かに44歳で会社員を辞め、何もせずに生きていくことを想像すると、皆さんは僕が日々何をしているのか、何を目標に生きているのかと気になるのでしょう。
いや、これは「もしFIREして日中何もすることがなければ、何を生きがいにして生きていけばいいのだろうか」という問いに質問者自身も解を持っていない、ということの裏返しなのかもしれません。
確かに僕自身もFIREする前は「好きな本を読んだり、ゲームをしたり、動画を見たりするんだろうな」というぐらいしかイメージできていませんでした。実際、FIRE前には「時間ができたら思う存分ゲームやってやる!」と20本くらい積みゲーしていたのです。
ところがFIRE前の想定とは違って、実際にFIREしたあとはゲームや動画にほとんど時間を割いていません。では何をしているかというと、価値の創造です。現在は執筆やトークイベントなど、自分が今までに経験してきたことをまとめて人に伝えることで、1人でも多くの人に価値を提供したいと思っています。
また、FIREを契機に、会社員時代には会えなかった層の方々とお会いする機会も出てきはじめ、そちらにも積極的に時間を割いています。
このように、他にやりたいことや会いたい人が多すぎて、全くゲームや動画まで手が回らないのです。
まあ、ゲームなんていつでもできるので問題はありません。それよりも今は、自分の経験をまとめたり、新しい人とどんどん話をして刺激を受けたりすることの方が、四角いテレビ画面の中で行われる冒険よりも圧倒的に楽しいのです。
次からは、僕の資産形成までの道のりについてお話をしていきたいと思います。・・・次回につづく
5.参考
(1)FIREするための考え方(ビフォーFIRE)の本
夫婦で子育てをしながらFIREをする本は今までなかったため、「ないなら自分で書こう!」と思い、自身の体験を綴った電子書籍を出しました。Kindle Unlimited対象にもなっていますので、会員の方は無料でお読みいただけます。ぜひお手に取ってみてください!
(2)FIREした人は本当に幸せなのか(アフターFIRE)の本
FIREはしたいけど、いざ会社を辞めることを考えると不安が先行する……。そういう人は多いと思います。その不安を取り除く特効薬は、実際にFIREした人がどのように感じているのかを知ること。そこで僕がFIRE後によく聞かれた質問をまとめ、回答したものをまとめました。こちらもKindle Unlimited対象ですので、ぜひお手に取ってみてください!