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デザインシンキング再考 (4-最終回)

前稿では「ロジカルシンキング」と「デザインシンキング」の創造性について比較を行った。本稿では「デザインシンキング」を行うメリットは、「ロジカルシンキング」と比較してないのだろうかという点について検討していきたい。

デザインシンキングのメリットは、スピード

「デザインシンキング」のメリットは、そのスピードだ。「デザインシンキング」の思考プロセスは以下の通りだが、

問題定義を「パパっと雑に」やってしまうので、確かにかなり早い段階で解決策の立案である創造のプロセスへ進むことができる。実際、メルカリではプロトタイプのプロセスに至るまでに100時間程度らしく、これまでの「ロジカルシンキング」をベースとした問題解決の常識では考えられない速さである。

従来の「ロジカルシンキング」をベースとした問題解決では、問題を構造化し、真因の特定に時間をかける。問題解決を「問題発見」「解決策立案」の2つのプロセスに分けるならば、「問題発見」に7~8割くらいの労力を注ぎ、「解決策立案」に2~3割くらいの労力を注ぐイメージだ。だから、解決策の立案に至るまでに相当時間がかかる。

このように、「デザインシンキング」のメリットは、「ロジカルシンキング」と比較して、かなり早い段階で解決策のプロトタイプを提示できることが挙げられる

時代背景に合ったデザインシンキング

このようなデザインシンキングのスピード感は、ビジネス環境変化のスピードが速い時代背景に合ったものである。システム開発の現場でも「ウォーターフォール型」開発から「アジャイル型」開発が主流になってきているように、「とりあえず作って試してみないとわからないよね」というのは、理にかなった考え方でもある。

だから、「デザインシンキング」では、プロトタイプとテストを繰り返していくことで、ソリューションの精度を向上させていく。実際にプロトタイプという解決策の「モノ」があるので、プロジェクトメンバーのモチベーションも維持しやすい。「ロジカルシンキング」は、問題の真因を見つけ出すまで、「モノ」が見えないので精神的にかなりしんどい時間が続くことになる。

デザインシンキングはロジカルシンキングのアンチテーゼではない

以上、「ロジカルシンキング」という軸を使いながら「デザインシンキング」を再考してきた。そこで明らかになったことは、「デザインシンキング」は「ロジカルシンキング」のアンチテーゼではないということだ。

それぞれに得意分野と苦手分野がある。だから我々ビジネスパーソンは、一方に依存するのではなく、それぞれをTPOに応じて使い分けるスキルを持たなければならないということである。

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牧田 幸裕 名古屋商科大学ビジネススクール 教授

名古屋商科大学ビジネススクール 教授。専門は、経営戦略、マーケティング、デジタルマーケティング、ラーメン。日経COMEMOキーオピニオンリーダー

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日経が推す各業界キーオピニオンリーダーたちの知見をシェアします。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 はじめての方へ→ https://bit.ly/2DZV0XM 【...
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