日米貿易交渉という古くて新しいテーマ
日米首脳会談と為替政策報告書を受けて寄稿させて頂きました。その2つの重要イベントを受けて金融市場の反応は限定的ですが、予断は許しません。論点は以下の通りです。
宜しければご参考下さいませ:
・これから二国間交渉で対峙する相手国(しかも基軸通貨国)の通貨当局から「貴方の国の通貨は割安過ぎる」と言われている事実が軽いということはない。日米貿易交渉という古くて新しいテーマが今後の為替相場に与える影響に注目。
・看板の「かけ替え」であっても、新プラットフォーム創設は必要と見られていた。拉致やミサイル問題がバーターとなる事実を踏まえれば、なおのこと。新プラットフォームを日米経済対話と呼ぶのか、日米FTA交渉と呼ぶのかは二義的な問題にすぎない
・市場参加者の立場から気になるのは二国間交渉が始まった時に円相場がどのような影響を受けるか。鉄鋼アルミ関税の除外措置を得るためにFTA見直し交渉に臨んだ韓国が為替条項の受け入れを迫られたのは記憶に新しい。
・監視リスト掲載国でとりわけ米国の関心が大きいと思われるのは中国・日本・韓国・ドイツ。日本以外は既に動きが見られていたのが実情であり、日本(円)だけお目こぼしというわけにはいかない。
・為替政策報告書では実質実効為替相場(REER)に関する「長期平均対比▲25%割安」との表現のほか、金融緩和や財政出動に係る支持文言が削られていたことに注目。
・金融市場は今回の厳しめの報告書に対してさほど反応しなかったが、「ファーストリアクションの有無」ばかりに目を奪われて米国の通貨・通商政策を軽視すべきではない。