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米中冷戦というピンチとチャンス

米中の貿易摩擦、というよりは冷戦的な状況の影響を、日本も受け始めている、そんな兆候かな、ということを感じるようになって来た。米国が示した3月の期限までにどのように中国が対応するかが、一つの焦点ということのようだが、対立がおさまる方向に動くのかどうか、かなり微妙な情勢のように思う。

この米中対立自体は、日本経済にとってどちらかといえばマイナスの影響をもたらすのかもしれないが、一方で、昨今こんなニュースも報じられている。

いわゆる「横田空域」の制限が解放され、羽田空港の発着枠が増えるのだ。なぜ今のタイミングでそういう合意が出来たのか、政治的な側面と経済的な側面の双方に理由がありそうだが、少なくても経済的には、米国にとって羽田の発着枠を増やすメリットがある、と理解して良いのだと思う。事実、増加する発着枠のほぼ半分は米国路線に割り当てらるという。

そして、対抗する成田空港の動きも、運用時間延長による発着枠の拡大に動いた。

羽田に割り当てられる米側の発着枠については、枠数を上回る申請が出されたようだ。

これは、主に米国だが、それにとどまらず海外との人の流れが強化されるということと理解して良いのだと思う。その裏には、米中関係の不透明さから、北東アジアのハブとして東京を見直す動き、とも考えられるかもしれない。

実際には、周辺国の発着便数の動向などを見ていく必要があるが、このままで行けば、米国の航空会社にとって、中国路線は政治的にも経済的にもリスクが増大するぶん、少なくても増強はしにくい環境にあると考えられる。その分を周辺国への路線増強で賄う動きに出るのだとすれば、羽田や成田など日本の主要空港にはチャンスが回ってくるという見方もできるのではないか。韓国が北朝鮮との関係で米国はじめとする国際社会から微妙なポジションと見えているのであればなおさら、だ。

もちろん、これによって一層の米国企業の日本進出が進み、日本企業がさら苦しい立場に置かれる、という可能性も念頭に置く必要はあるだろう。

しかし、大きく見れば、中国(企業)が米国の封じ込めによって身動きがとりにくくなり、日本がその空隙を埋めることができるのだとすれば、これは日本にとって大きなチャンスになるのかもしれない。

米中摩擦が軍事衝突というところまで行けばまた違った要素が出てくるのだと思うが、経済戦争に止まるのだとすれば、ネガティブな面だけに目を向けるのではなく、日本経済が再浮上するチャンスとしてどう活かすか、そのためにアジアを中心とした各国とどのように経済的な協力関係を構築していくのか、中国との間合いをどう取るのか、という視点が非常に大切な時期に差し掛かっている、そんな気がしている。

いわゆるインバウンドで国内の観光関連産業が潤う、ということももちろん大切だが、アジアの人の流れ、情報やお金の流れをどう捕まえて、日本の経済を立て直すきっかけにするか、という視点を忘れたくない。


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