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中国モバイル決済の現状。課題を乗り越え次のステージへ

日本はキャッシュレス決済の天下一武道会が行われていますね、20%還元祭りとか行われているようで正直うらやましいです。もし僕も東京にいたら、複数アプリを使いこなしキャッシュバックを総取りするよう頑張ってると思います。

そしてご存知の通り、キャッシュレス先進国とは中国です。今の日本での盛り上がりは中国ではいつのことだっただろうか... 今日は中国の決済の今をお伝えします、未来の日本の姿かもしれません。

ところで本当に「オンライン決済」のこと知ってますか?

日本でもコンビニや観光客が多いところでよく見かけると思いますが、中国でも「アリペイ」の青いマークと「Wechatペイ」の緑のマークがあちこちにあります。

↑例えばこれはその辺の屋台ですが。

僕もたまにこういう屋台で朝ごはんを買ったりします、当然Wechatで払います。シールが貼ってあって、この屋台で使えるモバイル決済の種類です。左から順に「アリペイ」「Wechatペイ」「銀聯雲決済」「百度財布」「JD財布」です。

実は中国のQRコード決済には「オンライン決済」と「アカウント間送金してるだけ」の2種類があります。(ここは理解できてますかね、?な人はメディアの解説記事を読むのが良いかと)

そして、大事なのはこの「アカウント間送金」です。送金コストが安く、自分のQRコードを発行するだけのお手軽導入が可能なことから爆発的に普及したのです。「やっぱSuicaが速くて便利」とかって議論はあくまで手段の話で、キャッシュレス社会の本質ではありません。

また、決済はオンラインだけではなく、オフラインにもおおいに使われていてO2O(Online to Offline)の決済システムを実現してます。

中国の決済サービスのシェアと参入障壁

中国にはアリペイとWechatペイだけではなく、他にも数社が第三者決済システムを運営してます。でも、iimediaのレポートによると実際のところは市場シェアのほとんどはこの2つが独占しています。(ここまで来るには激戦の歴史がありました、それはまた今度紹介します)

ここに新たに参入することはなかなか難しいです。中国の決済システム運営は政府許可制で、第三者決済はユーザーの保護や情報の安全性保持、マネーロンダリング防止のため「決済事業許可証」が必須で、勝手に決済事業を展開することは違法となります。以前こんな記事もありました。

インターネット決済、モバイル決済、銀行カードなどのライセンスを8.7億元で譲りますよって(安いのかな?)。記者の調査によると、5つの事業許可を含むライセンスは過去最高では30億元の譲渡金額のものがありました。適正とされる参考価格は12億元を超えています。

また2016年8月、中央銀行である中国人民銀行が「しばらく新たな許可を発行しない」と明示し、それ以来譲渡の金額が上がり続けています。

キャッシュレス決済の普及率は

ちょっと古い資料になりますが、中国人民銀行の報告書によりますと、2017年中国国民の電子決済(PCにおけるオンライン決済とモバイル決済全部)普及率が76.9%であり、2017年に非キャッシュ業務はトータル1608.78億件で、総金額が3759.94兆元に達しました。なかでもモバイル決済による決済金額は202.93兆元で前年比の28.8%増でした。2018年はもっといってるかと思います。日本もここまでいけるでしょうか。

モバイル決済の普及に伴い、現金を好まない店も増えてきました。確かにわからなくもないですね、釣銭の用意が面倒だし、個人の飲食屋台だと衛生面でもモバイル決済の方が圧倒的に便利です。

電子決済から取り残される人を守る

これだけ普及したことによって社会に歪みも生じてきています。

iimediaのレポートによりますと、2019年中国のモバイル決済ユーザー規模は7億元を超える見込みです。

そしてモバイル決済金額の規模も引き続き伸びます。

また、国民の利用習慣についての資料では、30代(90年代生まれ)の3割以上は外出時に現金を持ちません。出掛ける時に携帯さえあれば十分と思う人が増えてます。

しかし60代(1960年代生まれ)の9割は今でも外出時に現金を所持します。このギャップを政府は問題視、行動をおこします。

例えば日本でも度々報道されているアリババの無人スーパー盒馬(フーマー)は一時期現金が一切使えなかった。これに対し中央銀行は消費者の決済方法の選択権、特にお年寄りを中心とする現金生活を好む人たちの権利を保護するため、行政指導を行っています。

「中国行きました、現金全然使えなかった」というのをたまに目にしますが、それは間違ってます。なんだかんだ現金は使えるし、政府もサポートしてます。

中国でなぜキャッシュレスが流行るかの理由は複数あると思いますが、日本で報じられている「偽札の回避ができる」はちょっと違うと思います、今回のレポートもそれを裏付けています。

↑の資料はどうしてモバイル決済するのか?の理由を各年代が5択から選択した調査結果。「おつりがいらない」と「割引がある」の2点が全ての年代でモバイル決済を利用する最大の原因との回答結果になっています。

ちなみに60代だけは「現金の紛失と偽札の回避」を3位に選びました。

犯罪も起きてます

↑QRの盗撮犯罪を報じたYoutube動画

これだけ中国で普及すれば、当然悪用する人や悪いことを考える人も出てきます。QRコードを後ろから盗撮してお金を抜き取る犯罪も何度か起きました。また、偽物のQRコードを使ってお金をだまし取る犯罪もニュースになりました。日本のみなさんもご注意ください。

そして携帯すらいらない顔認証決済の時代に

今進化しているのは顔認識決済です。実は僕の職場の近くにも顔認証決済システムがあるスーパーとパン屋ができました。支払しながら誰かに写真を撮ってもらうのはさすがに挙動不審と思われそうだったので、下記はネットでの写真を拝借。

会計のところに専用のレジがあります。スーパーだと果物や野菜などの重さの計測器(バラバラにおいて買いたい分を取ってから重さを計る売り方です)もあってレジはちょっと大きいですが、パン屋だとiPadくらいの端末ですね。

事前にアリペイで登録した顔を認識されると、携帯番号の最後の4桁を入力して二重確認が行われたら支払が完了です。未来に来た感じ笑

ちなみに僕と同僚が試したときは、眼鏡をかけてると、時々携帯番号の最後の4桁だけではなく、フル番号の入力が要求されます。精度がまだ低いのか、それともリスク防止なのかはちょっとわかりませんが。個人的には全くお金を使う感じがせず、もしもっと普及していったらいろいろ不安になりますね。

いかがですか、中国の決済の実情について。日本も、いろいろ課題はあると思いますがどんどん便利になると良いですよね、そしてこの分野で進化が止まらない中国を大いに参考にしていくのが良いかと思います。


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