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起業に向かない人の5つの特徴

この仕事をしていると、起業を考えている人によくお会いします。面白いアイディアを思いついたとか、とにかくサラリーマンを辞めたいとか、40歳になるまでにどうしてもチャレンジしたいとか、理由は様々です。しかし、そこから本当に起業まで漕ぎ着けられる人、さらに立ち上げたビジネスで成功を収める人というのは、本当にごく一部です。

起業したいと考えている人の多くは、周りにサラリーマンしかおらず、実際に起業経験がある人の話を聞くことはなかなかできないのが現状です。起業経験の無い友人に相談しても「いいじゃん、やってみなよ!」などとしか言われないですし、逆に「やめといた方がいい」と言われても、かえって意固地になるケースも多く見受けられます。

起業に限らず殆どの分野で言えることですが、成功は参考になりませんが、失敗は大いに参考になるという事実があります。物事の成功には運やタイミング、目に見えない想定外の要因など様々な要素が複雑に絡み合っているため、成功を再現するのは極めて難しい。一方で、失敗というのは多くの場合、非常にわかりやすい因果関係があり、何が失敗の理由だったのか、どうすれば同じ失敗を避けられるのかが明確であるため、学べることが多くあります。

そこで、10年以上スタートアップの立ち上げに関わり、多くの起業家、起業志望者の方々とお話をした経験から、「こういう人は起業に向かない」という特徴を5つリストアップしてみました。この特徴に当てはまる方は、起業を諦めろとは言いませんが、早まった決断をする前に、一度落ち着いて将来のことを真剣に考えることをおすすめしたいと思います。

一点、ここでお話するのは、あくまでスタートアップ的な、「この世にまだ無い事業を産み出す」という意味での起業です。喫茶店やラーメン屋を始めるといった、すでに確立されたビジネスモデルの会社を始めるという場合には、必ずしも当てはまらないかもしれませんので、その点はご了承ください。

特徴その1:起業が目的になっている人

これはもう、失敗する最大要因と言っていいと思います。本当に、驚くほど多いのですが、会社を立ち上げること自体が目的化してしまっている人というのは、ほぼ例外なく失敗します。これには、起業に憧れてる人とか、啓蒙書をやたら読んでる人なども該当します。やりたい事があるのではなく、何でもいいから起業しようと思っている人、起業のノウハウばかり蓄積してる人、こういう人は向いてないです。起業は、どうしてもやりたい事、実現したいビジョンがあるけれど、誰もそれに取り組んでいないから、自分で事業を起こすしかない時にやる事であるべきです。起業は手段であって目的ではありません

特徴その2:何でもお金のせいにする人

お金は重要です。どんなに崇高なビジョンやユニークなビジネスモデルがあっても、お金がなければ実現は難しいです。実際、起業における最大の問題の一つは、事業資金の確保です。しかし、何でもかんでも、お金が無いからできないと思っている人は、やはり起業には向かないと思います。どうやってお金をかけずに課題を解決するか、お金をかけないで済む別の手段は無いか、そういった部分に知恵を使うことは、事業アイディアを産み出す頭の体操をする上でも、非常に重要です。本質的に達成したい事は何かを見極めて、お金をかけずに済む手段を考える。そこから、思わぬアイディアが生まれることは実は非常によく起こります。お金が無いからできないと諦める前に、どうやれば実現できるかを考え抜く。そのプロセス自体を楽しめない人にとっては、起業は苦しみにしかならないと思います。

特徴その3:自分の手を動かさない人

プランを考えたり計画は立てるけど、泥臭い作業は自分でやろうとしない人はアウトです。自分で掲げた目標のためだったら何でもする、と思えない人は今すぐ起業を諦めるべきだと思います。特に立ち上げ初期というのは、とにかく人が足りません。また、スタートアップの場合は、どうすればいいのか分からないこと、参考事例の無い問題ばかり起こります。そんな時は、そのビジネスを立ち上げた本人が無心で手を動かす以外にありません。これは起業家本人に限らず、初期メンバーを選ぶ時にも注意すべきポイントです。会社を始めるにあたって、大企業で優秀な成績を収めている人を仲間に迎えるといったパターンもあると思いますが、その時に、その人物が実際に動ける人なのか、ただ指示を出すだけの人なのか、慎重に見極めなければなりません。考えるだけで動かない人というのは、それがどんなに優秀な人であったとしても、スタートアップの立ち上げメンバーとしては不要どころか有害だとすら個人的には思っています。

特徴その4:失敗が怖い人

そんな人はそもそも起業を目指さないように思えるかもしれませんが、相談をしてくる人の中に少なからずいます。いつまで経っても事業プランのブラッシュアップやプロトタイプの改良をしていたり、「いやぁ、でも。。。」が口癖のような人。起業なんて9割が失敗します。最終的に生き残っている企業も、数多くの失敗を乗り越えて来ています。どんなに素晴らしいと思えるビジネスアイディアも、絶対に成功するとは限りません。そして、実際に世に出すまでは成功するかどうか分かりませんし、優れたアイディアを世に出さないとしたら、それはすでに失敗です。確実に失敗しないプランが描けるまで起業しないという人は、詐欺師かちょっと頭が悪いかのどちらかだと思います(笑)。ちなみに、起業家というのは、失敗を恐れない勇気を持った人や、ぜったい大丈夫だと思える楽天家だと思われがちですが、それよりも何よりも、たとえ失敗に終わったとしても構わないと思うくらいに、はっきりとやりたい事がある人です。

特徴その5:計画にこだわる人

どんな汚い手を使っても、という意味では無いのですが、起業において重要なのはとにかく目的を達成することです。たとえ当初の計画とは大幅に違った進め方になったとしても、最終的な目標に辿り着ければよいわけです。しかし世の中には、どうしても最初に決めたやり方にこだわる人、途中から手段と目的が入れ替わってしまう人というのが、けっこういます。計画というのは、動き始めるために、また事業の進捗状況を確認するために役に立ちますが、計画そのものに固執して本来の目標を見失っては本末転倒です。私達EDGEofの共同創業者でもある孫泰蔵は、あちこちのインタビューで「事業計画なんか要らない」とまで言っています。その境地に至るにはかなりの経験が必要な気もしますが、いずれにしても計画というのはあくまで手段であって、本質的な目標を達成するために、いつでも柔軟に見直す必要はあると思います。

総論

起業においてお金や計画はとっても大事ではありますが、それより何より熱意でありビジョンこそが重要です。だから、エンジェル投資家と呼ばれる超初期のスタートアップに投資する方々は、事業の内容以上に起業家個人の資質を見ている気がします。どうせ思い通りになんて物は進まないんだから、どんな事業(WHAT)をどう計画しているか(HOW)よりも、誰が(WHO)どんなビジョンを持っているか(WHY)を基準に判断する。HOW to do WHATではなくてWHO is doing and WHYで考える。そうすれば、途中で計画の間違いに気付いても、やり方を変えて事業を継続することができる(ピボットと言います)。けっきょくのところ、「誰がなんと言おうがこれを実現したい!」という強烈なビジョンと熱意があるかどうか、起業家にとって何より大事なのはまずそこかと思います。逆に言うと、それくらいの想いが無い人は、起業しない方が良いというのが、私の持論です。


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小田嶋 Alex 太輔(EDGEof co-CEO)

事業立ち上げの専門家として、数々のスタートアップや大企業の事業部立ち上げに従事。現在は、株式会社EDGEofのco-CEOとして、日本のイノベーションエコシステムの国際化に邁進、20カ国以上の政府と様々な取り組みを進めている。J-Startup推薦委員。

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