副業促進の企業側のメリット 変革のチャンスとして
副業という生き方
副業の流れが進んでいます。働く個人としてのリスクヘッジにつながることは、言うまでもありません。また、ライスワークとライフワークの両立という面からも、多様な生き方の実現に大きく貢献するものでもあります。
空気の研究
文句を言い始める
とても魅力的に思えた人と仲良くなる。たとえば友達になる、恋人になる、夫婦になる、一緒に仕事をする、共に会社をつくる。憧れていた仕事に携わる。たとえば、入りたかった会社に入る、やりたかった職種に就く、作ってみたかった商品をつくる、伝えたかったメッセージを発する。
そこにたどり着くまでは、恋焦がれ、望み、願い、求め、自ら動いて、その状態を実現するまで努力する。しかし、その状態に身を置くうちに、いつの間にか、その状態が当たり前のものとなり、不満を覚え、文句を言い、隣の芝が青く見える。
手の届かない対象が、隣にいるようになると、途端に価値のないもののように感じてしまう。そんな、経験はないでしょうか。恋焦がれた人や環境に対して、文句を言い始める、そんな瞬間。すごいと思っていた人が、大したことない人に見えてしまう、そんな瞬間。
遠くから眺めること
山は、遠くから見ることで、その雄大さを知ることができます。山の頂上に立てば、裾野に広がる世界の広大さも知ることができます。しかし、山の中腹にいると、何も見えなくなってしまうことがあります。
「空気の研究」のコメントにある「客観視できない」状態に、とても近いと思うのです。
共に暮らす人、共に過ごす人、共に働く人。そうした人たちの魅力は、離れてみないと、わからなくなっているのかもしれません。
記事の中では、副業先を「隣の芝として青く見えてしまう」ことに危惧するコメントもありましたが、ならばこそ、振り返って自社の魅力を客観的に感じてもらえる仕組みづくりも必要なのかもしれません。
振り返ってみたときに、改めて魅力を感じてもらえるような仕組みづくり。魅力を感じてもらえる組織であるかどうかではなく。もちろん、それはとても大切ですが、一朝一夕にできるわけではなく、また魅力的だったとしても、その魅力を感じられなくなっている状況であることを前提にする必要があります。だからこそ、自社の魅力を、距離を置いたからこそ気づいてもらえるような仕組みを用意する必要があるのだと思うのです。
システムを変えるために
システムの中からはシステムを変えられません。それは、システムの外側からなら、システムを変えられる可能性があることを意味しています。外圧や黒船と呼ばれる要素です。
構造主義〜ポスト構造主義の中でも言われてきた、構造体の中から変革は生まれない、ということはこれまでの数十年で骨身に染みていることでもあります。
自浄作用の難しさ。自ら変わることの難しさ。人は変わらないし、組織なんてもっと変わらない。そんなものだとあきらめることが大人になることだと言われた前時代的な考え方。でも、実際に、変わらないという目の前の現実。変えたいと自分が思いながらも、実現することの難しさ。人も組織も国家も。
この副業の流れを、新時代に向けた構造的変化を起こすきっかけとすること。それは、単に、時代の要請に応ずる形での雇用契約の見直しなどではなく、新しい時代へと自らのシステムに変革を起こそうとする企業体として、積極的に推進していく必要があることなのかもしれません。
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