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AIに仕事を奪われないためには、失敗しつづけることだ

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

# 本記事は日経電子版連動お題企画「#AIに奪われない仕事」への寄稿です。

「AIに仕事が奪われる」。英オックスフォード大学工学部のマイケル・オズボーン教授が2013年・2015年に発表した共著論文は今でも多く引用されるほど話題になりました。正確には「仕事が自動化される可能性」を研究して列挙したものですが、おおむね「雇用の49%が自動化される可能性がある」という結論は衝撃的です。

先にお題に対する回答を示しておくと、日経ビジネスでの対談においてオズボーン教授自らがある程度の方向性を示しています。

 「自動車や航空機の設計、開発、製造に欠かせない『鍛造技術者』が将来AIなどのテクノロジーに自動化される確率は何%でしょうか」

(A)0~24%(B)25~49%(C)50~74%(D)75~100%

マイケル・オズボーン英オックスフォード大学工学部教授(以下、オズボーン):正解はDです。99%よりも高い確率で自動化されると予測しています。鍛造技術者の仕事の中心である機械の点検やメンテナンスは、先進的なAIやセンサー技術、ロボットによって代替可能です。

日経ビジネス

一方で「『内科医』の仕事が将来AIなどに自動化される確率」については「わずか0.6%」と予測しています。

オズボーン:自動化される可能性が低い仕事のカテゴリーは2つあります。一つは「ソーシャルインリジェンス(社会的知性)」です。例えば医師のように、人的交流や相手の気持ちの理解が必要な仕事です。もう一つは「創造性」です。イノベーションは人間しか生み出せません。ただ、先ほどの確率は、あくまでも技術的な可能性を示すもので、実際に自動化されるか否かは別問題です。どんな社会をつくるのかは我々次第です。自動化できる仕事であっても、自動化させないという判断もあり得ます。

日経ビジネス

このように「社会的知性」が必要な仕事については、当面自動化される可能性が低いようです。コンシェルジュのようなサービスや、保育や介護などといった仕事もその範疇内でしょう。

現在AIと呼ばれるものは、おおむね機械学習というテクノロジーです。大量のデータを解析してあるパターンを見つけることに長けています。また、体系化されたデータであればなお扱いやすいという特徴があります。一見人間にしかできないだろうと思うような仕事も、実はAIが得意なものも多く存在しています。

例えば「刑事のカン」のようなものは長年の経験から学び続けたある一定の行動パターンを指すことが多く、言動や歩き方等から「あやしい」という判断をして職務質問をかける。そういったものです。実際にこれをソフトウエアに実装してビジネスをしている企業が米パランティア・テクノロジーです。あのオサマ・ビン・ラディンの捜索に貢献したと噂されて一躍有名になりました。

また、体系化という意味では音楽(作曲)も得意分野かもしれません。

――クリエイターの職能はどのように変化していくでしょうか。

「これからはAIを含めたツールを駆使して、依頼主に共感して具現化できるデザイン力が求められる。音楽は画像など視覚系と比べて言葉と結びつきにくい。もっと夏らしくとか明るくとか、抽象的な楽曲のイメージから楽曲を作れる人が必要になる」

「デジタルでドラム音が再現できるようになると、ドラムをたたく仕事では一握りのスターしか楽曲収録で呼ばれなくなった。一方で、生ライブでドラムをたたく仕事は増えた。これまでもテクノロジーの進化で求められる職能は変わってきた。クリエイターを職業とするには、あらゆる変化や進化と戦っていくしかない」

日経電子版

楽曲にはコード進行があり、ヒット曲には共通のコード進行も見られることがあります。有名なもののひとつに「丸の内進行(丸サ進行)」があり、椎名林檎さんのヒット曲「丸の内サディスティック」で使用されたことから多くのアーティストが影響を受けたものと思われます。若者の間で人気のボーカロイド曲でも多様されており、ハチ(米津玄師)さんの人気曲でも利用されています。最近のアーティストでも、YOASOBIの「夜に駆ける」や、Official髭男dismの「I LOVE...」でも要所要所に取り入れられていますね。

もちろん取り入れ方やメロディーラインは千差万別ですので即AIで自動化できるとは言いませんが、音楽理論は体系化されているので「Jazzっぽい」とか「ブルースっぽい」曲を生み出すことは十分可能かと思います。

先のオズボーン教授の説では、人間にしかできないことのひとつに「創造性」が挙げられています。創造性とはなにか?というのは回答が難しいお題ですが、これまで予測できなかったような発見や発明(イノベーション)を生み出すことでしょう。では、それを実行するためにはなにが必要なのでしょうか?

つまりそれは、AIにできず、人間にできること。それは、失敗を繰り返して長い時間あきらめないことだと考えています。「失敗は成功の母」と昔から言われているように、研究過程での失敗が新たな発明につながることがあります。電化製品の中でもなくてはならないもののひとつに「電子レンジ」がありますが、これも元々は軍事レーダーの開発者がたまたまポケットに入れていたチョコレートバーが溶けていることに気づいたからだそうです。

AIは実行結果を評価して、良い評価のものを抽出して再学習するということを繰り返して正解らしきものを導き出します。つまり、失敗したものをずっと追い続けるようなことは仕組み上しません。「AIからの評価が低いもの」から可能性を見いだし、さらに追求していく能力。これが、今後の人間にとって重要な創造性なのでしょう。


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タイトル画像提供:Graphs / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #AIに奪われない仕事

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