手放しでは喜べない
経常黒字が拡大したということは、経常収支とコインの表裏にある貯蓄投資差額の側面から見れば、日本の貯蓄超過幅が拡大したことを意味します。
貯蓄超過幅拡大の背景には、政府部門の投資超過縮小、すなわち財政赤字の縮小要因もありますが、家計や企業の貯蓄超過幅が依然として大きいということもあります。
そして、特に企業部門の貯蓄超過幅は企業の期待成長率と密接な負の相関関係があります。
このため、近年の経常黒字の拡大というのは、景気がいいのに企業の期待成長率が十分高まらないことで、企業の貯蓄超過幅が高水準にある結果という見方もあり、こう考えると経常黒字の拡大もよいことばかりではないと言えるでしょう。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26668550Y8A200C1MM0000/