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2020年の雇用と労働問題、人手不足の構造

 中小企業の経営者にとって、2020年以降は労使関係で大きな価値観の変化が求められるようになる。直近で影響が出始めているのは「人手不足の問題」だが、これは少子化により、企業が主に求めている「15~34歳」の労働力が急速に減少しているのが原因である。そのため、若い従業員を安い時給で採用してきた業界ほど、深刻な人手不足に陥っている。

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労働市場全体でみると、じつは30年前よりも現在のほうが就業者数は増えている。 これは女性の就業率が上昇しているためだが、それでも人手不足が深刻化している状況をみると、若者の代わりに65歳以上の高齢者人材を再活用する案も、職場でのニーズにはマッチしないと推測できる。

そのため、企業が人手不足を解消するには、35歳未満の従業員を主な対象とした待遇改善をしていくことが不可欠になる。具体的には、年齢階層によって格差が開いている賃金制度を是正することが、第一の課題になる。現在の賃金相場では、20代(非正社員)と50代(正社員)では2倍以上の賃金格差が付いている。これを、年齢や雇用形態に関係なく、実力や実績に応じた報酬が支払われる賃金体系へと変更する会社は、IT業界を中心に増えてきている。

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【年収ではなく時間単価でみる労働価値】

 これからの職場は、賃金条件だけではなく、ワークライフバランスにも配慮することが重要で、在宅勤務制度や、週休3日制度など、従業員の希望に応じて柔軟な働き方を認めるほど、優秀な人材は集まりやすくなる。

2020年4月からは、正社員と非正社員の間で、同じ仕事内容あれば基本給や賞与の待遇差を付けることを禁止する「同一労働同一賃金の原則」が適用になるため、エリート人材の中でも、敢えて非正社員としての働き方を選ぶ人も増えてくることが予測されている。

従来の日本では、同じ会社の中でも「正社員」だけが毎年昇給して、契約社員やパート社員の給与水準は、何年働いても変わらない状況が続いている。これは大企業で顕著にみられる傾向だが、同一労働同一賃金の中では、そうした賃金体系はNGになる。また、採用面接で、前職の年収を聞いた上で、給与額を決めることも米国では禁止されている。

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企業にとって、同一労働同一賃金制の導入は、トータルでみた総人件費を押し上げる要因になる。優秀な人材を採用したければ、アルバイトでも2,000円以上の時給を払わなければ、獲得できない状況へと向かっていく。逆に、45歳以降の正社員は、年功序列で上昇してきた給与水準を維持していくことが難しくなり、早期・希望退職による人員整理も進むことになりそうだ。

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