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複業とリモートワーク時代のセルフマネジメント術 〜「小分けの罠」と絶縁と余白について

お疲れさまです、uni’que若宮です。

コロナウイルスの影響で、リモートワークになっている方も多いと思います。

僕自身は、ここ数年みずから複業をしつつ複業企業を経営しているので、リモートワークにはもうだいぶ体が馴染んでいるのですが、そうではない方だとどうも落ち着かないなーとか集中できないなーとなることもありそうなので、リモートワークについてちょっと思っていることを書きます。


リモートワークや複業は「小分け」になりがち

リモートワークにはメリットもたくさんあります。弊社uni'queは「出社」という概念がないので、僕はもう満員電車とかほぼほぼ乗れない体になってしまったのですが、まずこの「満員電車での通勤時間」という無駄が省けます。

また、チャットやビデオなど遠隔でも仕事がこなせるようになると、スキマ時間を活用できるようになるため、複業も始めやすくなります。しかし、この、スキマ時間の活用、というところには罠があるので注意が必要です。


移動がなくなったり、チャットでコミュニケーションするようになると、仕事の無駄も省けるのですが、効率化することで余裕がなくなる、という逆説が起こるのです。

人類は技術の発展によって、たくさんのことを昔より短い時間でできるようになっています。徒歩で会いに行っていたのが電車になり、手紙や電話になり、メールやチャット、そしてリアルタイムのテレビ電話になり、用件を伝えるためにかかる時間は以前の数千〜数百の1になっているでしょう。

これだけ効率化がされているので空いた時間が増えるはずなのですが、実際に起っていることは逆で、人類は忙しくなり続けています。テクノロジーが生むはずだった余裕はいったいどこへ消えてしまったのでしょうか?

それは、タスクが小さいスロットになることで、「小さなスキマ」にも入れられるようになり、逆にギチギチになってしまうからなのです。

テクノロジーによる効率化により、仕事モードとプライベートのスイッチコストもさがります。移動中でもチャットはできますし、デートをしていてもメッセンジャーがくれば、「ちょっとこれだけ返しちゃうね」とかなるでしょう。

さらに、リモートワークの場合、家と仕事場の距離が小さいので、仕事とプライベートのスイッチが切り替わりやすくなります。仕事をしていても子供が泣いたらすぐ駆けつけられる反面、仕事は中断されやすくなります。


大事なのは粒度のメリハリ

粒が小さいほうが扱いやすいはずですが、その流動性がかえって災いして、プライベートや他の仕事のスキマにも流れ込んできてしまい、気づけばすべての仕事が小粒になってしまう、ということが起こります。

たとえば、深く思考しなければならない仕事にはやはり一定のまとまった時間の集中が必要です。1時間集中して考えられることを、1分ずつ60回に分けて、トータル時間が一緒ならいいか、というとそうではありません。

なので仕事の大きさにメリハリをつけるべきです。そして大きな塊の時には、他としっかり分断してしまうのも大事です。仕事の内容によって、何時間必要か、そして集中環境のためにどれくらいの絶縁距離が必要か、を上手くアレンジする、ということです。

感覚ですが、集中しなければならない時間があるとしたら、集中したい時間の5〜10%くらいの距離の絶縁地帯に行くのがいい気がします。たとえば2時間くらい惑わされずにやりたいなら10分くらいのところに移動する、1日集中して考えたいなら、1時間くらいの場所でオフサイトでやる、とか。

絶縁距離がないと、一つの塊に小さな粒が割り込んできてヒビが入り、「小分け」にされてしまいます。そうすると数はこなしていても大きな価値が出せなくなり、生産性が下がるのです。


余白も大事だよー

また、容器に大きな石をいれるよりも砂を詰めるほうがギチギチになってしまうように、「小分け」が増えると余白がなくなりがちです。

拙著『ハウ・トゥ・アート・シンキング』でも書いているのですが、「余白」がなくなると創造性は下がります。なので、リモートワークになったり、複業をするからこそ、きちんと「余白」の時間をつくることが大事なのです。

「余白」は「あそび」とも言いかえられますが、僕は意図的に週のうち15%くらいは予定のない時間をつくるようにしています。そうすると、突然なにかひらめいたりチャンスが振ってきた時にそれを見過ごさずにつかめますし、あるいは逆に他の仕事でトラブルがおこってもストレスフルにならず、吸収する心のゆとりができます。


また別途、詳しく書こうと思いますが、「余白」ということについては割と研究をしていて、ひとつだけわかってきたことをいうと、”同じ次元で空白をつくるのではなく、ある次元は埋めてしまい、別の次元を開いておく方が良い余白である”というのがあります。

たとえば散歩をしているときのほうが思考が整理しやすかったりします。それは「歩いている」ということで身体の動きとしては埋まっているので、思考の部分がその分自由に働けるからです。なにもせずに考え事をようとすると、気づくとなにかに気が取られてしまっている事が多いものですが、人間はあらゆる次元が空いているまっさらな状態だと却って散漫になったり迷ってしまい、クリエティビティが発揮できないことがあります。そういうときは余分な次元をoccupiedな状態にしてしまい、自由度をある次元に絞るとよかったりします。

白紙に絵を書くより、塗り絵の方が色の自由度が出たり、ワークショップなども完全にフリーハンドでするよりも、制約をいくつかはめるほうが思考が活発化するのにも似ています。


複業やリモートワークはどうしても「小分け」になりがちなので、意識的に「絶縁」したり「余白」をつくるのがいいよ、というお話でした。

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