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これからのコミュニティ醸成に必要な「プロセスエコノミー」という概念

話題の新著「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる 」の著者である尾原和啓さんをゲストにお迎えし先日コミュつく!というイベントを開催したのですが、その中で「プロセスエコノミー」 がコミュニティ醸成する上で必要な概念であるという話で盛り上がりました。今回はプロセスエコノミーとコミュニティ醸成の関係性について書きたいと思います。

プロセスエコノミー とは

先日、徳力基彦さんが記事に書かれていましたが、プロセスエコノミー は現在注目が高まっている概念です。

「プロセスエコノミー」は、昨年11月に起業家のけんすうさんがブログに書いたことで知られるようになりました。けんすうさんはブログの中で、プロセスエコノミーを理解する上で、まず逆の概念としてアウトプット・エコノミーについて考えた方が良いと言っており、下記のように説明しています。

アウトプット・エコノミーは、「プロセスでは課金せずに、アウトプットで課金する」というものです。たとえば

- 音楽を作っているところではお金は稼がず、できた音楽を売る
- 映画を作っているところではお金は稼がず、できた映画を売る
- 料理を作っているところではお金は稼がず、できた料理を売る

などです。

売り方は、お客さんから直接課金するケースもあれば、テレビのように広告モデルでも両方がありますが、どちらもアウトプットで稼いでいるという面では同じです。

このように、アウトプット・エコノミーとは、普通の人が考える、極めて一般的な商売です。

では、アウトプット・エコノミーでは何が大事でしょうか?それは、製品の品質や値段流通、マーケティングなどがポイントになります。要は、いいものを作って、安く提供して、適切に知ってもらい、適切に届ける、ということですね。

つまりアウトプット・エコノミーはこれまでの「完成された商品・サービス自体」を売っていくという長年ビジネスを成功させる上で定石とされた考え方であると言えます。一方で、この時代に出てきた新しい概念であるプロセスエコノミー について下記のように述べています。

プロセスに価値が増えていった先にあるのが、プロセス・エコノミーです。

プロセスに価値があるなら、プロセス自体でもう課金しちゃうほうがいいんじゃない?という感じです。

たとえば漫画家さんなら、マンガを売るというより、「マンガを描いている姿をライブ配信をして、そこで投げ銭をもらう」みたいなイメージです。

アウトプット・エコノミーが完成されたもの・サービスを売っていくのに対し、プロセスエコノミー は完成前のプロセスも共有することで、ファンを作り、プロセス自体もビジネスにしていく考えなのです。

なぜプロセスエコノミー が大切なのか

完成された状態の商品・サービスを売るアプトプット・エコノミーでは、ユーザー、購入者は価格や機能で選んでいくことになります。技術の進化により機能だけで差別化を図るのも難しくなってきています。また尾原さんは新著「プロセスエコノミー 」の中でSNSの普及により、情報があふれておりアウトプットだけの発信では埋もれてしまう点も指摘しています。

一方でプロセスエコノミー においては、商品・サービスをつくっていく過程からプロセスを共有しファンを巻き込んでいきます。熱量が高まったファンは、そのサービスやプロダクトを外に対し広げていきます。サービス提供者からの発信ではなく、熱量の高いファンからの発信はより新たな潜在顧客に情報が届きやすくなります。このプロセスを共有し、ファンをつくっていく流れこそが、価格や機能での競争だけに陥らないコアバリューとなっていくのです。

けんすうさんも事例として書いてますが、NiziUを生み出したNizi projectはまさにプロセスエコノミーを体現していました。メンバーが選ばれる過程から公開し、デビュー前から熱狂的なファンをつくっていき、一大ムーブメントを生み出しました。

プロセスエコノミー とコミュニティ

プロセスエコノミー を実践する上で最も重要なことは自分の中の「Why」をさらけ出すことだと尾原さんは言います。ここでの「Why」とは”なぜやるのか”、”哲学”、”こだわり”を意味します。つまり、自分たちがなぜそのサービス、商品を世の中に提供するのか、自分たちが提供する価値が何なのかというストーリーをしっかりと伝えることが大切なのです。プロセスを共有する中で、”なぜやるのか”というWhyを示し、ファンの熱量を上げていくことが、これからの競争力になっていきます。

この考え方はコミュニティ醸成においてもそのまま当てはまります。拙著「コミュニティづくりの教科書」の中でも書いていますが、コミュニティを醸成する上でまず取り組むのはビジョンの策定です。コミュニティ活動をする目的を端的に表現したのが「ビジョン」です。ビジョンを言語化し、発信し、常に「何のためにやっているのか」を見失わないことがコミュニティ運営者には求められます。コミュニティもビジョンを考える上で「Why」がとても重要なのです。そしてWhyがしっかりと注入されたビジョンに人々は共感し、コミュニティのメンバーとして能動的に活動し、コミュニティが育っていきます。

また、コミュニティ醸成は、良い部分悪い部分も含め活動内容をシェアすることで、コミュニティメンバーとのつながりの強化や、新しいメンバーに入ってもらえるようになるのです。弱い部分も含め開示することで共感を生み、熱量を高めていく。プロセスエコノミー の概念とコミュニティ醸成に必要な考え方は同じなのです。

コミュニティ醸成に関わる方にとって、プロセスエコノミー の概念を理解することは今後必須となっていくのではないでしょうか。気になる方は是非、尾原さんの「プロセスエコノミー 」をお読みいただければと思います。

また、尾原さんとの対談イベント「コミュつく!」は下記YouTubeにてアーカイブをご覧いただけます。よろしければこちらも是非ご覧ください。


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