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急激に広がる「伏業」の流れ。企業はどう向き合うべきか?

ロート製薬が2016年6月に「社外チャレンジワーク制度」と「社内ダブルジョブ制度」の開始、という形で副業解禁をしてから早2年。

それまでは「IT業界やベンチャー企業」という一部の話だったところから、副業解禁の波は今やあらゆる業界・業種に広がり、「副業・複業」という働き方も、選択肢の一つとして一般化されつつあります。

一方で、実際に副業解禁に踏み込んでる企業はまだまだ少数。

「副業解禁を検討しているんですが…」という相談は多々あれど、その後実際に副業解禁に至るのは10社に1社程度。

大手企業だと、さらにその割合が低くなります。

個人の意識はかなり変わり、「副業に興味がある人」は9割に達しています。

https://www.google.co.jp/amp/s/m.huffingtonpost.jp/amp/enjapan/fukugyo_a_23444915/

他方で、副業解禁の流れは着実に進みつつあるものの、実際に副業解禁をしている企業はまだまだ少数で、特に大手企業については、未だに副業を禁止している企業が大多数です。

© souta6954

その結果、何が起きているか?というと、「副業禁止企業における、『伏業社員』の増加」です。

「伏業社員」とは何か?

「伏業社員」とは、読んで字のごとく、勤務先に伏せて(黙って)、副業を行なっている「隠れ副業社員」のことを指します。

これだけメディアで「副業」という働き方に触れていると、仮に勤務先が副業を禁止していたとしても、どうしてもやりたいことがあったり、経済的な理由で収入を増やしたい場合、「バレなければ大丈夫」と、副業をはじめてしまうケースというのは非常に多いです。

こちらの記事のように、「副業禁止の会社でも副業は可能」と法律の専門家である弁護士の方が言われているように、よほどの合理的な理由がない限りは副業禁止規定に効力はありません。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO31322610U8A600C1000000/

労働契約の本質的な内容は「労働時間の提供と賃金の支払い」になります。逆に言えば、労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由ですから、何か制約を課すことは当然できません。 もちろん当事者が特別に合意すればそういった制約も可能になり得るわけですが、その特別な事情というのはすべて認められるわけではありません。副業に関して、「副業してはいけない」と制約を課す合理的な理由がないと禁止できません。ですから、漫然と一律に「副業を禁止する」という契約上の定めは無効だといえます。これは昔から裁判所も言っていることです。

もちろん、自社の社員の副業を禁止することは企業の経営判断の自由ですし、副業を禁止した方が合理的なビジネスモデルの企業もあるでしょう。

ただ、そうでない限りにおいては、昔からの就業規則のまま副業禁止にしていたものの、実は多くの社員が「伏業」をやっている…という状況の方がよっぽどガバナンス上のリスクが高いので、いっそ「副業解禁」にしてしまい、「但しこの条件に当てはまる副業のみOKとします」(ホワイトリスト型)、「この条件に当てはまる副業はNGです」(ブラックリスト型)とした方が、OK/NGラインが明確になり、ガバナンス上のリスクも減らせるのでオススメです。

とはいえ、「とりあえず副業解禁しておけばOK!」という話でもなく、あまり深く考えずに副業解禁した結果、思わぬトラブルが起きてしまうケースもあるのですが、その話はまた別の機会に…!

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