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誰もが辟易する"病院の待ち時間"にメスを入れるプラスメディが体感した潰れる医療系スタートアップの実態

皆さんこんにちは。株式会社ケップルの藤原です。今回のスタートアップ取材記事は、診察待ちや会計待ちなど病院におけるあらゆる待ち時間ゼロを目指すプラスメディを取り上げます。

代表の永田さんは僕が前職の経営企画部門にいたとき、グループ子会社の社長だったこともあり、頻繁にやりとりをしていました。2016年に退職、起業され、今は医療系スタートアップのCEOとして組織を率いています。

最近は上場企業との資本業務提携を発表し、提携した上場企業側の株価を上げてしまうという、ものすごいスタートアップです。

先月にはケップルアカデミーでファイナンス系の講師も務めている田中博文氏を取締役CFOとして採用、攻めのファイナンスを続けております。その辺りの狙いなども詳しく聞くことができましたので、ぜひご一読ください。プラスメディは良いぞ。

この記事の登場人物

プラスメディ 代表取締役社長 永田幹広氏(バナー写真左側)
プラスメディ 取締役CFO 田中博文氏(バナー写真右側)
ケップルアカデミー総合P 藤原弘之(質問内容を太字で記載)

潰れる医療系スタートアップの特長

今日はよろしくお願いします。
永田・田中「よろしくお願いします。」

これまでの歩みって結構紆余曲折ありましたよね。
永田「そうですね。2016年の12月に設立して、2017年に慈恵医大でアプリのテストをして、行けそうだと思っていたんですが、そこから3年間くらい、ちょっと闇に入ってた感じです(笑)」

闇(笑)それは具体的にはどういうことですか?
永田「結局、電子カルテとか病院の人間関係とか、超えなければならない壁がものすごく多かった。業界として閉鎖的というか、やはり切り崩しが難しい分野ですから。まさにドラマの白い巨塔ですよ。」

それはいきなり難しいところに行き過ぎているからではなくて?
永田「いや、そういう訳ではないですね。だって、いろんなスタートアップがこの医療業界で新しいことをやろうとしてきているじゃないですか。でも、大抵1年か2年で潰れてしまってますよね。」

それって、何でなんですか?
永田「結局、医者と戦おうとするから良くない。医者を変えてやろうとか医者の意識を変えてやろうとか。もしくは、病院の経営改革をしてやろうとか、何かコストの削減をしてやろうとか。でも、お医者さんって、これまでずっと"先生"で来た方々なので、僕らみたいな素人があれこれ指図しても、結局はうまく行かないんですよ。」

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マイルドに言うとバリュープロポジションがうまく整合してないと(笑)
永田「そういうことです。先生に対して商売をしようと思っても無理だし、病院に対して商売をしようと思っても無理だから、僕らは先生と病院を味方に付けて、患者さんに対して商売をするという方向に変えたんです。」

あー、初めは永田さんも先生を商売にしようと?
永田「もちろん。病院からおカネを取ろうと思ってましたし、その方向で色々やってたんですが、結局のところ病院も儲かっている訳ではないので、おカネが取れませんでした。」

儲かってないんですか?意外ですね。だって世の中的には、ものすごい医療費だって言うじゃないですか。
永田「儲かってないですよ。病院のコストの大半は医者の人件費なんですが、それを簡単には削減できません。」

えっ、でも若手の勤務医の方はそれほど待遇良くないって聞きます。
永田「確かにそういう一面もありますが病院の経営方針次第ですね。」

なるほど。病院が儲かっていないのだとしたら、一般の方をターゲットにしたビジネスを考えるしかないと。
永田「そうそう。医療費の市場って40兆円くらいなんですよ。そして今後も増えていく。高齢化で。そこに夢を見ていろんなスタートアップが入ってくるんですけど、これは儲かって潤っている40兆円ではなくて、今後は削減していかなければならない40兆円ですからね。それを削減するには既に病院に来てる人に何かをするというより、人々が病院に来ないようにするしかない。」

病院から患者へ、ビジネスの変遷

なるほど。では、これまで病院相手に行っていたビジネスと、今、患者さん向けに行っているビジネスを教えていただけますか?
永田「病院相手の時はもう完全に会計を楽にしようとか事務作業を効率化しようとか、そういう方向性でしたね。直接的に病院に対して、何かサービスを提供しておカネをもらおうとしていました。今は患者アプリを使って、間接的に病院側の業務を減らそうとしています。難しいのは、結局は病院は費用を払えない訳ですから、患者さんからもらわないといけない。でも患者側にしてみたら、この患者アプリによって病院側の事務処理が楽になっているなんて知ったことではないですよね。使ってもらうためには、患者側にしっかりとメリットを提供する必要があります。」

それは具体的にはどういうものなんですか?
永田「とにかく患者さんの不満って、待ち時間に対する不満がTOPなんですよ。6〜7割くらいが待ち時間に対する不満です。それが僕らのアプリを使っていれば、診察が終わったらすぐに帰ってもらってOKなんです。もうアプリ上でキャッシュレスで支払いも済んでいますし。」

確かに、病院で待つのって僕も大嫌いですね。だって病気の人の中で待たないといけないじゃないですか。そこで感染したらどうするんだっていう。
永田「診察後だけではなくて、診察前であっても、自分の番号と電光掲示板をにらめっこしたりする必要なんてなくて、順番が来たらスマホにプッシュで通知を出すので、どこに居たって良いんです。外に出てもらっても、別にクルマの中に居てもらっても良いです。電波が通じるところであれば。」

めっちゃ便利ですね。課金ポイントってどこになるんですか?
永田「僕らのアプリで150円払ってくれている方は早く帰れるんです。150円払わずにそのまま待合室で待つこともできます。そこはユーザーが選択します。有料版ファストパスのようなイメージで、時間を買っていただく感じですね。」

例えば、プッシュで病院の広告出すとかダメなんですか?
永田「それは法規制でNGですね。例えばウチのアプリ上で100万円払ってくれたらSEOで上位に出します、とかいうのもダメですし、口コミでSNSのサクラみたいなこともダメです。やって良いのは症例数だけですね。『ウチは乳がんの手術を100件しました』みたいな。それも症例数だけならOKなんですが、手術100件だから5ポイント、のようにポイント換算して序列を付けたりした瞬間にNGですね。だからアフィリエイトもダメですし、広告でマネタイズというのが非常にやり辛い業界なんですよ。」

攻めのCFOとして参画

それでは最近JoinされたCFOの田中さんの話に行きたいんですが、事業としてそういう人材が必要になったフェーズと言うことなんですか。
永田「もともとウチの社員の構成は、僕のこれまでのキャリアのこともあって、SoftBankとLINEの出身者がほとんど。身内が多いというか、みんな古くから知っている。ただ、今までは永田商店みたいな感じで、事業を推進していたんですが、社員数も15名くらいになって、次のステージに上がるのに管理体制構築も含めて、身内ではなく、僕がまったく知らない人をCFOに採用したかったんです。」

どうやって見つけたんですか?
永田「普通に人材紹介会社のMS-Japan経由です。4, 5人くらい面接しましたかね。僕の条件は簡単で攻めのCFOが良いですって。資金調達がちゃんとできる人。おカネの管理は銀行がいっぱいいるし、できる社員も多いから別にいらなくて、ちゃんとEquity Storyを元に投資家と話して資金を引っ張ってこれる人ですね。」

だって田中さん、PEファンドの代表の時に普通におカネ集めてましたもんね。それが仕事みたいな人でドンピシャですね(笑)
田中「僕が実際に永田さんと初めて会ったのは去年の夏頃でしたかね。僕の会社もあったので、それを綺麗にしてからではないと参画できないので、そこは待っていただきましたね。」

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ファンド自体はもうやられていないのでしたっけ?
田中「ファンドは2年前に金商法が改正されたときに、ちょうど満期になったのもあってクローズしていて、あとはFA業務を中心にやっていました。」

PEファンドではなくVCファンドを新規組成とか考えませんでした?
田中「実は去年の秋頃にそういうお話しもあったんですが、投資テーマが少し遠く、結果的にはご縁がありませんでした。個人的には、平成から令和に変わって、人々の意識の変わり方が結構はっきりしてきたと思うんです。平成って割とエンタメとかアミューズメント系なんですよね。それが令和になって、例えば去年上場した大きい所って、Sansanでありfreeeであり、バックオフィス系でしっかり効率化を整えていく、所謂トラディショナルなB2B事業というのがすごく伸びていて、我々もそこを目指しているんですね。世の中的にはコロナの影響もありますが、シリアスな方向にどんどん流れてきているのはあって、実はマーケット的にも去年の夏頃からひしひしと感じてはいたんです。」

その感覚は実体験としてもお持ちだったと。
田中「というより、FAの売り案件をいくつも持っていたんですが、飲食とかECとかエンタメとかって、もうほぼ値が付かなくなってきてるんですよ。買いたいという所がほとんど出てこない。例えばですけど、売上高10億円で利益5千万円ですって言っても、みんな買いませんからね。『その分野はもう僕らはいいっすわ』って感じで。」

パッと聞いた感じだと2, 3億円で売れそうですけどね。
田中「何かグロースを目指すときに、マーケットとか投資家の目線というのが、もうそこ(飲食・EC・エンタメ)にはないんですよね。」

プラスメディを選んだ理由

そんな田中さんがなんでプラスメディに?というかスタートアップを選ばれたのはどうしてなんですか?
田中「僕も起業して10年経つんですが、10年経つと顧客がほぼ入れ替わるんですね。そのタイミングでまた何か事業会社で新しい挑戦をしたいなとは思っていたんですよ。だからMS-Japanにも登録だけはしていて。とは言え、大企業ではないよねと。それで、僕もQBハウスにいた経験もありますから、やはりスタートアップかなと。しかも、どうせやるなら中途半端なところではなくて、ドベンチャーが良いなと(笑)」

簡単にドベンチャーでって言いますが、田中さんっておいくつでしたっけ?
田中「僕はもう55になります。」

怖くなかったですか?
田中「いや、怖いと言っても、自分で起業して会社を経営していた10年間の経験がありますから、大変な事というのはだいたい経験して免疫ができているんですね。プラスメディで大変な目にあったとしても、あれを下回ることはないだろうと(笑)。株価の底値を知っているイメージですね。」

あの時以下にはならない、みたいな。
田中「事業自体がうまくいかない事があったとしても、おカネ周りさえ何とかできれば、そこは案外大丈夫だったりするので、その経験が大きいかなって思いますね。これがもし上場会社の55歳がいきなり行くんだったら、プラスメディは無理だったと思いますよ。」

他に何か転職に際して重視したことはあったんですか?
田中「ドベンチャーで、プラットフォーム事業で、社会的貢献性が高い事業が良いとは思っていて、プラスメディにはそれが全部あったのと、あと昨秋に内定をもらってから僕の会社の整理までに時間があったので、永田さんとは随分とコミュニケーションを取らせていただいて、相性も良い方なんじゃないかと思いますね。」

なるほど。僕個人としても、経験あるシニアな方がもっとスタートアップに転じて、そこにフィットしていく流れが加速すると良いなと思っています。案外まだまだリスクを取る人って少ないですからね。お二人とも今日はありがとうございました。
永田・田中「こちらこそ、ありがとうございました!」

プラスメディについて

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プラスメディは、大きな負担なく最適な医療を受けられる仕組みを病院・診療所側と患者側の双方に提供することで、日本の医療環境を良くしていくことを目指すスタートアップです。

特に"待ち時間"というのは全ての患者さんが感じてるペイン(病院だけに)であり、これが解消されるのは、時間のないビジネスパーソンにとって非常にありがたいことです。それを実現する「MyHospital」はぜひお手持ちのスマホにダウンロードしておいていただけたらと思います。

iOS - App Store

Android - Google Play

ケップルアカデミーについて

「正しく、学ぼう。」をスローガンに開設した、スタートアップ経営幹部や彼らを支援する投資家のための学びの場です。

難易度やその希少性に応じて、Basic Class・Advanced Class・Master Classの3種類のクラスを合計約8本/月のペースで開講しておりますので、お気軽にご参加いただければと思います。成果保証型のスポンサーも募集していますので、ご興味がある方はぜひお気軽にご連絡ください。

さて、時間のキリがちょうど良いので今回はこれくらいにして、また次のnoteにつなげていきましょう。良かったらコメント・高評価・チャンネル登録・あとTwitterのフォローをしてくださると嬉しいです。

では次回、スタートアップ取材記事でお会いいたしましょう。今回はこの辺で。

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1977年大阪生まれ。ケップルの『STARTUP TV』と『ケップルアカデミー』の事業責任者でゲーマー。元プログラマーの元ベンチャーキャピタリスト。FC東京SOCIO会員12年目兼ビッグフレームス。工学部卒/経営学修士。スタートアップは今が2社目です。

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