
これからの消費トレンド。温もり消費 と アロンネス消費
日常が戻ってきた「安堵感」と再流行の「危機感」が波打ちのように断続する日々。みなさんお元気でしょうか?
今回は新しい消費トレンドについて考えてみました。
以前からホテルと旅のプロデューサーのこばみほとPodcastで音メディアを配信していて、5月上旬に「これからの消費のニューノーマル」について語りました。
コロナ前の「映え消費」だと違和感。今の消費トレンドって簡潔に言うとなんだろう? そんな問いに私なりの「解」を出してみました。
私個人として、「温もり消費」と「アロンネス消費」に大きく区分できるかもしれないな、と思っています。
あなたはなぜ、それを買ったのか?
改めて、Stayhome期間中にどんなものを買いましたか?
では、購入した理由も思い出してみてください。
・在宅時の暮らしを豊かにしたくて
・余暇の過ごし方としてゲームをしたくて
・以前から買い替えようと思っていたけど、そろそろかなと思って
その「豊かにしたくて」と挙げた商品は、どんな視点で暮らしを充実させるのか? 沢山あるゲームコンテンツの中でそのソフトを購入した理由は何か? そんな気持ち的なところを詰めていきたいです。
これらの消費行動の共通点となる、購入背景をくくるとしたら、どんなフレームでまとめられるのでしょう?
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人との関わりを創出する「温もり消費」
購入動機としてくくる1つ目は「温もり消費」という視点。
言葉の通り、誰かとの接点を求めるための消費を指します。
Zoom飲み会を前提にした機材の購入や飲み会用のコンテンツ、オンラインでコミュニケーションが楽しめるどうぶつの森も、この消費に該当します。
また人に限らず、動物や植物との接点でリラックスしたいというもの、こちらに該当します。
【温もり消費】
誰かの接点を求める消費。
オフライン→オンラインに変化したことで生まれる新しい文化と新しい消費。
(オンライン飲み会に紐づく消費、オンラインゲーム、オンラインデートや合コンなどの類)
ニュアンス的な話になりますが、これまでの「映え消費」が「温もり消費」に昇華された印象があります。表層的でも繋がりたい欲求が、非常時と相まってより深層的になったイメージ。
今後オフラインでの接点が増えていけば、この温もり消費は落ち着くはずですが、第二波・第三波到来と共に拡大されていくのではないでしょうか。
人との関わりを意図的に閉ざす「アロンネス消費」
人と繋がることが目的の「温もり消費」に対し、2つ目は「ひとりの時間」を充実化するための「アロンネス消費」です。
【アロンネス(aloneness)消費】
独りの時間を楽しむための消費。
そのプロダクトによって、心地よい独りの時間に没入できることが消費の目的。
(料理に夢中になるための調理器具や入浴剤など)
前提となった考え方は、lobsterr letter から。
おひとりさまの経済学
現代人は、さまざまなことを望んでひとりで行うようになっている。(中略)「ソロイズム」は、ソーシャルメディアが生活の一部になっている世代にとっては、「つながること」への反動ともいえるかもしれない。
企業やコミュニティが、ソロイズム時代のビジネスやサービスをつくる3つのコツを紹介している。
ひとつ目は、ひとりでいる時間を新しいラグジュアリーと捉えること。「ひとりでいるのは避けるべきものである」という社会の固定観念をひっくり返し、この常につながった社会において、ひとりで静かに過ごす時間をウェルネスのための、そしてインスピレーションを得るための機会と捉えることだ。ふたつ目は、ひとりの人同士をつなげること。ひとりでいる時間は、新しい友達をつくる絶好の機会でもある。ひとり旅を行う女性同士をつなげるソーシャルネットワークサービス「Wanderful」のように、ひとりで行動する人々をサポートし、彼らをつなげるビジネスには大きな可能性があるだろう。3つ目は、ひとりでいながら他人と一緒に過ごせるようなコミュニティをつくること。アップルがストアを「タウンスクエア」と再定義して人々が各々の時間を過ごせるスペースをつくったように、素晴らしいブランドとは人々を結びつけるものなのだ。
「ひとりで過ごすこと=aloneness」を受け入れ、それが「孤独=loneliness」とは違うものであると考えること。ソロイズム時代において新しいかたちの交流やコミュニティをつくるために、ブランドにできることはたくさんある。
There is an important difference between aloneness and loneliness
家族と巣ごもりすると予想以上に「独りになれる空間」がないことのストレスが生まれるものです。
全員大人だったり、個室が充実していれば回避できるかもしれませんが、全家庭がそんなわけでもなく。
2歳の子供がいる我が家も、子供が活動している時間に「己の時間」は存在せず、どんな時も子供をフォローする空間で過ごすことになります。
そんな中、唯一「私が自分との対話で使える時間」が生まれるのが「台所」と「お風呂場」。この時間を大切に使いたくて、調理器具を新調したり入浴剤に投資したりしました。これは私にとっての「アロンネス消費」です。
ずっと自宅、「場面」が切り替わらない中で
登場人物も場所も時間も切替えにくい今、これからは「場面の切替え」にお金を使う時代なのかもしれません。
人と関わりたい時のスイッチ、没入したいときのスイッチ、
そんなボタンとしてのプロダクトを購入するのはとても今っぽいなと思います。
温もり消費は環境要因(外出自粛規制の強度)によって変わるので、上昇減少があると思いますが「アロンネス消費」は新生活様式を乗り越えるために人類がインストールするOSのような感覚があって、これからスタンダードになっていくような…?
すべて仮説なんですがこれからも注視していきたいなと思います。
\Twitter、やってるヨ!/
#食べものデザイン
— 渥美まいこ|食トレンド研究 (@atsumi_maiko) May 31, 2020
博報堂CD小杉さんの #もじにぎり 。まぐろやこはだ、たまごなど、もじで握られているんです。https://t.co/qSyH6n06bZ@kos1019 さん、前職時代に仕事をご一緒させてもらっていて(私はペーペーの御用聞き)いつも輝くアイデアと視点を乱発していた。 pic.twitter.com/Wzgns8o6kA
YouTube広告で接触した「雪見だいふく」 のCMが上手だなぁと。
— 渥美まいこ|食トレンド研究 (@atsumi_maiko) May 31, 2020
[目的]食べ時訴求:少し時間をおいて食べてほしい
[文脈]待っている時間は雪見だいふくを撮って楽しんで
機能性を生活者の文脈に包みこんで発信している感じ。https://t.co/aVPdex0OGr pic.twitter.com/yhyt6sDS1e