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スポティファイによるポッドキャスト2社買収 、中国発「ヒマラヤ」の1億ドル調達。注目の音声サービス

スマートフォンの次の主戦場は「音声」か?、という考えがいよいよ現実味を帯びてきそうです。以下の2つのニュースを連続して目にして、時代の流れを強く感じます。
・スポティファイ(Spotify)が新興企業の米ギムレット(買収額:2億3000万ドル)、そして米アンカーを立て続けに買収。
・中国で4億人の登録者数と言われる音声プラットフォームアプリ「Himalaya(ヒマラヤ)」の米国法人(サンフランシスコ)「Himalaya Media」が1億ドル調達して米国でのアプリをリリース

スポティファイは2年前からポッドキャストに力を入れているとのことですが、ダニエル・エク最高経営責任者(CEO)のコメントとして『いずれは同社のサービスで聴かれるコンテンツの5分の1以上がポッドキャストなど音楽以外になると予測する。』(FT記事より)を目にして、そこまで来るか、と驚きを感じざるをえません。 

 Based on radio industry data, we believe it is a safe assumption that, over time, more than 20% of all Spotify listening will be non-music content. This means the potential to grow much faster with more original programming — and to differentiate Spotify by playing to what makes us unique — all with the goal of becoming the world’s number one audio platform.

ギムレット(Gimlet)とは2014年にブルックリンで設立されたポッドキャストのキュレーションプラットフォーム。世界190カ国から毎月1200万エピソードがダウンロードされ、「The Cut」や「StartUp」などの人気番組で知られています。特に話題になった「Homecoming」はアマゾンプライムのオリジナル映画としてジュリア・ロバーツ主演で映画化されるなど、優秀なクリエイターの音声コンテンツが数多く蓄積・消費されるプラットフォームメディアとして、成功を収めているようです。

アンカー(Anchor)とは、スマホだけでポッドキャストを収録・編集・配信まで無料で簡単に出来て、視聴データを閲覧・分析も可能とのこと、誰でも簡単にポッドキャスト製作が可能になります。昨年第4四半期だけでも150億時間の音声コンテンツが生み出されたそうです。ユーチューバーのみならず、今後は「ポッドキャスター」と呼ばれるクリエーターが数多く誕生しそうですね。

ヒマラヤとは中国で2013年に「喜马拉雅(シマラヤ)FM」というアプリ名で誕生(Web版では2012年にサービス開始)し、2017年9月に日本語版をリリースした時の情報によると、当時既に4億人の登録者数を誇り、業界シェア率73%を誇る業界No,1アプリに成長していたということです。中国では1億件の音声コンテンツを、大カテゴリー20個と、小カテゴリー328個に分類して提供してきたそうです(日本語版のホームページ)。
Valietyの記事によると、他のサービスとの差別化として、投げ銭機能を利用することでポッドキャスト提供者に対して収益を上げることが可能とのことです。

Forbesの記事によると、ポッドキャストから得られる広告収入はまだ規模は少ないものの、既に広告主にとっての魅力が増しているようです。

Interactive Advertising Bureauのデータでは、米国のポッドキャストの広告売上は2016年に1億6900万ドルだったが、2017年は3億1400万ドル(約345億円)に達し、前年比で86%の伸びだった。2020年までに6億5900万ドル(約720億円)に達すると予測している。「可処分所得が多く、社会的地位やソーシャルのつながりに関心が高い45歳がポッドキャストを聞いているとされる。これは広告業界からすると非常に魅力的なターゲットだ。だからこそ、スポティファイはポッドキャストに関心を示している」(フォレスターリサーチのアナリストJames McQuivey氏の発言)

先日The Economistが毎朝配信のニュースポッドキャストを始めたことを取り上げたところですが、Digidayの記事によると、The Economistでは既に配信している5つのポッドキャストプログラムを視聴する人が毎月700万人いて、2018年の広告売上は50%の成長を示しているそうです。

日本においては「ポッドキャスト」はまだ知名度はないかもしれませんが、国内でも昔ながらにラジオを聴く習慣はあったりします。RadikoやVoicyも少しずつ人気が出てきている印象ですし、AIスピーカーの普及に伴いながらラジオのように家で、車の中で、ポッドキャストに耳を傾ける日も近く訪れる可能性は十分にありそうです。

スポティファイの今回の買収報道を見るにつけ、「いずれ来るべき未来」の事象の一つとして、ポッドキャストには今後より注目していきたいとの思いを強くしました。

カバー画像: Juja Han on Unsplash

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