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かんぽ生命を資本市場の目線で考えると、まだまだ安心するできないと感じた理由

 みなさま、こんばんは!エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。著書「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」も1万部達成と有難いだけでなく、本で触れている企業不祥事についても沢山のご関心を頂きました。今回は、企業不祥事としても話題のかんぽ生命について記していきます。

*かんぽ生命に何が起きた?

下記の日経新聞の記事にもあるように、職員への郵便過剰ノルマが不正にもつながり、保険料を二重に徴収するなどが起きていたということです。そして、顧客に不利益が生じた契約は少なくとも約10万件に上るとのことで、かんぽ生命の株価は上場来安値を更新しています。

 更には、対策としてノルマの見直しだけでなく、返金対策も発表しています。しかし、株価は再浮上する気配は見せません。なぜでしょうか?


*企業不祥事はなぜ起こる?

 そもそも企業不祥事が起こる背景には、下記のような個人の利益だけでなく、会社の短期的利益ありきの組織的不正も存在します。これまでいろんな企業を中からも外からも見てきましたが、企業組織のインセンティブ設計や風土を変えるのは容易ではありません。再生にはかなりの時間を要しますし、東芝のように分社化に近いような形で組織を一変することもあります。株式市場としては、そんな根深い構造はすぐには変わらず、企業価値を上げるにはまだ時間がかかると判断しているからこそ、株価は浮上しにくいと思います。でも、私は他にも気になることがあるのです。

(イラスト出所 崔真淑著「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」より)


*なぜ、まだ安心できないのか?

今回の不祥事が発覚したのは夏ですが、春にこんなニュースがありました。かんぽ生命の超大株主がかんぽ生命株を売り出すと。タイミングも気になりますが、50%以上株を持つので親子上場問題(≒少数しか持たない株主よりも親会社の利益ばかりを優先した企業行動をしないかの問題)があるなかで上場した、かんぽ生命。日本郵政から、かんぽ生命へのガバナンスに不備はなかったのでしょうか? 株式市場では企業不祥事だけでなく、この件についても注目があつまるのではと、私は予想しています。だからこそまだまだ安心できないなと、消費者目線でも、エコノミスト目線でも感じるのです。


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崔真淑/さいますみ



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