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「ファンの圧が強い」コンテンツとは?【連載21・オタク視点で見るアニメ】

先月の連載19『コンテンツの多チャンネル化が始まっている』は多くの方に読んでいただけました。感謝です。前回書いたのは、Webの特徴は「コンテンツの並列化」で、それによってニッチなコンテンツも、タグ機能などで検索すれば、同じ好みを持つファンに届くようになった……という話でした。

今回は、少し近いところで「ファンの圧が強いコンテンツ」についてです。

■「圧の強さ」とは、数ではなく熱意

「ファンの圧が強い」とは、オタク用語で熱心なファンとか、熱心なファンがいるコンテンツを指します。太い客、タニマチのような感じです。
「圧」というのは、「ファンの数」を指しているわけではないのです。ファンの数は関係なく、(数が多くても少数精鋭でも)ファンの熱量が作品を支えているという現象で、なんとなれば、ファンの数は多くなくても、ひとりひとりの驚異的な熱量によって支えられているコンテンツもあります。

ファンの熱量は、まず、「リピート」という行動で表すことができると思います。

たとえば、私が好きなアニメ『KING OF PRISM』シリーズでは、映画館でキャラクターに声援を送る「応援上映」が人気で、ファンの圧が強いと言われています。
1月公開の劇場版『KING OF PRISM ALL STARS -プリズムショー☆ベストテン-』も、応援上映に通うリピーターが多数いる……のですが、
よくよく考えてみると、フィルム自体は前作のプリズムショー部分に新規映像を加えた再編集版であり、完全な新作ではないのです。
けれども、プリズムショーの応援がとても楽しいと評判になり、熱心なファンが劇場に通い続けています。1月に始まった上映ですが、10回以上通っているファンも珍しくありません。

■「圧」を可視化してみる

「ファンの圧」が顕著に出ていると思われるのが、こちらのアニメファン投票です。
東京アニメアワードフェスティバル2020

毎年、その年に上映・放映されたアニメ作品から、ファン投票で「アニメファン賞」を決める人気企画で、毎年Twitterなどで盛り上がっています。

興味深いのは、順位がファンの数だけで決まるわけではないところです。

現在の順位です。上位なので当然メジャーな作品ばかりですが、とりわけファンの圧が強い(強そうな)作品が健闘しています。
なぜファンの圧が強いとわかるのか?

たとえば、ファンの数が多い、人気であることが誰にでもわかる作品群というのがあります。マンガ原作からヒットした『進撃の巨人』、そして昨年からアニメ化で人気が加速したやはりマンガ原作の『鬼滅の刃』などです。

ですが、ランキングは母数では決まりません。
1位の『劇場版うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム』はファンの多くが女性層です。もちろん『うたプリ』は当然ファンが多いメジャー作なのですが、通常、参加条件を問わない間口が広い作品投票では、男女両方のファンがいる作品群が上位に入ることが多いので、興味深いと思いました。

■グラフから伝わるファンの熱意

この現象をひも解く鍵は、投票システムにあります。
・投票が一日一回できる
・票数は累計でカウント
となると、「母数の多さ」だけではなく、
「毎日投票し続ける、熱心なファンがいる」ことが重要になってきます。

しかも、
・毎日、得票の割合がグラフで見える
・Twitter投稿(任意)と連携
この順位と誰が投票したかが可視化できるシステムがあることで、「おっ、一週間前より順位がちょっと上がった!」「ランクダウンしてる!投票しなきゃ」「あの人はあの作品を推しているから、自分も投票しよう」と、ファンは熱意をかき立てられるのです…!

『うたプリキングダム』は私も大好きな作品なので、ぜひこのまま『シンカリオン』や『おそ松さん』と一緒に爆走してほしいです。

これほど「圧の強さ」が可視化できるデータはなかなかないかもしれません。

では、「数が多い」ではなく、「圧が強い」コンテンツの強みとは何か? ということを【後編】で書きたいと思います。

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アニメジャーナリスト/アニメライター アニメ誌から新聞一般誌を経て日経・アスキー等web媒体でも執筆。アニメとビジネス・マーケティングなど異ジャンルを繋ぐ事に関心あり。『日経COMEMO』連載はnoteで月2回更新。 Twitterアカウントは @watanabe_yumiko
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