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15歳のCFOに「持続可能性」を学ぶ

篠田真貴子| エール |『LISTEN』監訳
大人に「これからは若い人に任せた」と言われることも多い。でも、まだ早すぎるとか、もう遅いなど、年齢で区切るのって、どうなんだろう。

ユーグレナのCFO(チーフ・フューチャー・オフィサー)、川崎レナさんから、このように問いかけられました。川崎さんは15歳、中学3年生。日経comemo のイベントシリーズ「マキコの部屋」第1回にお越しくださいました。テーマは「これからの世代と考える『持続可能なビジネス』とは」です。

ユーグレナ社は、「ユーグレナ社がありたい姿」であるユーグレナ・フィロソフィーとして「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げています。この「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をより加速し、会社として未来を持続可能な形に変えていくためには、未来を生きる当事者である世代が経営に参画するべきと考え、2019年にCFO(チーフ・フューチャー・オフィサー)を新設、18歳以下の人たちに応募を呼びかけたそうです。川崎さんは、2020年10月に2代目のCFOとなりました。

私は、年齢の違いは、必ずしも成熟度や経験値の違いを示すものではないと考えています。例えば川崎さんは、すでにサステナビリティーと教育に関して数年の活動経験があります。私には、そうした経験はありません。少なくともその点においては、川崎さんは私より知識も経験も豊富です。年齢関係なくリスペクトし、経験してきたことを教えていただきたいと思っています。

「中学生なのにサステナビリティーを探究していて、すごい」のではないんです。「サステナビリティーを探究していて、よく知っている」。ザッツ・イット。「○○なのに」(中学生なのに、女性なのに、おじいさんなのに…)は、邪魔だなあ、なるべくそういう枕詞には惑わされないようにしたいなあ、と心がけています(簡単ではないですが)。

では、世代の違いはないのか。私は、違いはあると考えています。それは、育ってきた文化の違いです。多くの人にとって、10代から20代前半は、大人としての自我が育つ多感な時期です。時代ごとの社会情勢がその時の若い人に影響を与え、世代ごとの特徴を形作るのではないでしょうか。例えば、知り合いのある大学生は、中学生のときに東日本大震災を東京で経験したことが、自分の価値観に大きな影響を及ぼしたと話してくれました。その人は直接被災したわけではないが、自分の命は有限でいつ死ぬかわからないということを当然の前提として生きるようになったそうです。そして、自分の周りともその感覚は自然に共有されている、と教えてくれました。当時すでに40歳を超えていた私は、いつ自分が災害で死ぬかもしれないということを頭では理解しているつもりでも、その大学生のように「当然の前提として生きる」ようなインパクトは受けていません。逆に、私がティーンエイジャーだった頃は、プラザ合意、円高からバブルに向かう、いわば現代日本の「青春時代」でした。当時の明るい未来を信じる世相が、自分の根っこに影響していると感じています。

世代の違いを育ってきた文化の違いだと捉えるならば、異なる世代とのコミュニケションは、異文化交流のようなものだと言えます。異文化交流はフラットで、お互いに、相手が自分の文化に興味を持ってくれたら素直にうれしいものです。上下関係や、どちらの文化が「正しい」のか、といった議論はありません。世代間のコミュニケーションも同様に、フラットな関係で、互いに興味を持ち学びあえるのがいいなあ、と私は考えています。

こうした考えですので、ユーグレナ社の取り組みは、素直にいいなあ!と思って見ておりました。

川崎さんに話を戻しましょう。川崎さんは、社会課題を自分ごととして捉えるところ、自分サイズに問題をいったん引き寄せるところが素晴らしいと私は感じました。海外の厳しい状況にある人々を助けたいと少しは考えたけれど、自分よりも現地の方の方が役に立つ力がある。だとしたら自分は、自分の周りにいる人の役に立つことから始めよう。川崎さんはそう考えて、自分より年下の子供達から大人までを対象に、教育プログラムなどを始めたそうです。イベント参加者から「いろんな年齢の人をまとめるのは大変ではないですか?」と質問が寄せられ、川崎さんは「わたし、それ得意です!」と生き生きと回答していた様子が印象的でした。

しかし川崎さんは、そのように活動してみた結果、自分一人では活動は広がらないこと、また「持続可能ではない」ことを実感した。だから組織と組めないかと考えた。そんな動機でユーグレナの CFO に応募したそうなんですね。

川崎さんに「サステナビリティー(持続可能性)とは何ですか」と質問しましたら、環境問題だけでなく社会や人に関しても「いい感じに続くこと」だとのことでした。だから、持続可能な社会を作っていくには、全ての人たちに役割がある、と。

冒頭にご紹介した川崎さんの言葉をもう一度見てみましょう。そこに続けて川崎さんが話してくださったことも、合わせてどうぞ。

大人に「これからは若い人に任せた」と言われることも多い。でも、まだ早すぎるとか、もう遅いなど、年齢で区切るのって、どうなんだろう。

例えば5歳の子が自転車の練習するのを見ると、あるいは大人が、さらには90歳の方が何かに挑戦しているのを見ると、私も頑張らなきゃと思える。それがどんな年齢のひとであれ、夢を抱いてまだいけるって見せてくれることによって、他の人たちも元気付けられている。持続可能な社会を作っていくにあたって、全ての人たちが役割を果たせると思ってます。

つまり、川崎さんのような行動力のある若い人は、年上の私たちが「任せた」なんて言うと「大人の皆さんにもやることはある。任せたなんて言って逃げないで」と感じているのでしょう。大人も夢を見て、未来を切り開いてほしい。その背中を見せてほしい、と。

今日は、以上です。ごきげんよう。

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篠田真貴子| エール |『LISTEN』監訳
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