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百貨店の未来は不動産業に収れんする

大丸心斎橋店が2019年9月に建て替えオープンするという。

その中で、ギンザシックスのビジネスモデルが紹介されていた。

「通常の百貨店は、在庫リスクを伴わない「消化仕入れ」と呼ばれる独特な取引形態で運用する。一方、ギンザシックスはショッピングモールのように、各テナントと定期賃貸借契約を結ぶ「場所貸し」に徹したビジネスモデルを採用している」

消化仕入れでは、商売のセンスは向上しない

消化仕入れとは、小売業者に陳列する商品の所有権を卸業者やメーカーに残しておき、小売業者で売上が計上されたと同時に、仕入が計上されるという取引形態のことである。

したがって、百貨店の販売員からしてみれば、仮に売れなかったとしても返品すれば済む話なので、「売る工夫」を凝らすインセンティブも働かないし、「売る責任」を感じて必死になるインセンティブも働かない。ということは、百貨店の販売員の商売のセンスは「消化仕入れ」という仕組みである以上、向上しないのである。

高島屋も同様に苦しんだ

ハーバードビジネススクールで使用するケーススタディの中に「過渡期の高島屋」というケースがある。

2000年代初頭、百貨店市場が縮小していく中で、コスト削減には成功したが、売上拡大をできない高島屋が、どう経営改革を行うべきかを考えるケーススタディだ。その中でも、消化仕入れが慣例となっているので、高島屋の販売員は商売のセンスが向上しないという問題が生じている。そこで、未来の高島屋はどういうビジネスモデルを採用すべきかということをアサイメントに出し検討するのだが、そこでオプションの一つとして、「百貨店は不動産屋として生き残りをかける」というビジネスモデルが検討される。

優れた立地で不動産業を営む

販売力では劣る百貨店の強みは、優れた立地である。それぞれの都市の一等地に店舗を構え、交通の便も良い。なので、不動産業を営むには、非常に良い立地を持っているといえる。

これからの百貨店とアパレル企業の関係は、小売業と製造卸の関係ではなくなる。ビルのオーナーとテナントの関係に変化していくだろう。

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牧田 幸裕 名古屋商科大学ビジネススクール 教授

名古屋商科大学ビジネススクール 教授。専門は、経営戦略、マーケティング、デジタルマーケティング、ラーメン。日経COMEMOキーオピニオンリーダー

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日経が推す各業界キーオピニオンリーダーたちの知見をシェアします。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 はじめての方へ→ https://bit.ly/2DZV0XM 【...
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