江原ニーナ
スタートアップとD&Iのイベントを開催しました。おすすめの書籍も紹介
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スタートアップとD&Iのイベントを開催しました。おすすめの書籍も紹介

江原ニーナ

先日16日、スタートアップはDiversity & Inclusionにどう向き合うか?「今まで」と「これから」をホンネで話します と題したイベントを実施した。想像以上の申込数からはこのトピックへの関心の高さが伺えた。また、イベント後に公開したアーカイブ動画も徐々に視聴数が伸びているほか、Twitterで #スタートアップDI で検索すると、感想などをツイートいただいているので、あわせて参照されたい。

今回は、先日実施したイベントの感想とあわせて、D&Iやジェンダーにまつわるおすすめの本を紹介したい。また、今回のリスト作成にあたっては、「これから勉強したい」と考えている人にも手に取りやすい入門書を中心にした。"勉強していないと発言してはいけない"とは全く思わないが、"ちゃんと勉強していないという後ろめたさが声を上げたり疑問を差し込むのを阻んでいる"という話をよく聞くので、そういった方々にも届くと嬉しい。

#スタートアップDI  

今回のイベントは、スピーカーに、10X 代表取締役CEO 矢本真丈(@yamotty3)さん、SHE 代表取締役/CEO/CCO 福田恵里さん(@eri_razapii)、五常・アンド・カンパニー 経営企画・人事 高橋孝郎さん(@taktaktictac)をお招きした。各社のD&Iの取り組みから、「いつからD&Iの取り組みを始めたのか?」「スタートアップはリソースが限られる中で、いかに共通理解を作っていくのか?」等、スタートアップとD&Iを考える上では誰もが抱く疑問にも切り込んでいる。

10Xは今月、男性社員の育休を積極的に推進するスタートアップの一社として取材を受けている。

育休のみならず、病気や家庭の事情などさまざまな理由で休職は起こりうるが、メンバーが一定期間欠ける際にネックになるのが、「その穴を誰が埋めるのか」という点だ。10Xでは別の社員が代行できるように普段から業務をローテーションしているそうだ。このやり方は、シンプルでありながら持続的だろう。また、このようなシステムを会社として取り組んでいることに、カルチャーを感じるほか、組織の長期的な強みを築いていこうという気概を感じる。

また、SHEは社員の男女比率について50:50を目指していたり、サービスの会員を巻き込んだダイバーシティに関する勉強会を開いたりしてと、組織内外でD&Iを推進している。

また五常は、新興国向けにマイクロファイナンスサービスを提供しており、融資先の99%が女性である点は特筆に価する。また、イベント内では同社のD&Iにまつわる現在の指標と目標値(ジェンダー・国籍)が公開されており、本気度が伝わる。(興味のある方は是非Youtubeアーカイブを参照されたい。)

#スタートアップDI パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、主に「今まで」と「これから」の2部分に分け、会社の規模がどれくらいのときから取り組みを始めたか、具体的にどんなプロセスで取り組みを進めたのか、スタートアップの限られたリソースの中でいかに共通理解を作っていくのか等、スタートアップとD&Iを語る上では避けては通れない質問に数多く切り込んでいる。

共通理解よりまず「相互理解」を重視する(ex. オンボーディングの際の自己紹介にしっかり時間をとる)、コーチングのログを公開し代表の思考やその変化をメンバーの誰もが見えるようにする(10X矢本さん)、採用プールやツールを変える(五常)など、さまざまなレイヤーの取り組みが紹介できたのは良かったと感じている。

また、参加登録時に募った質問の熱量がとても高かったのもとても印象的で、真剣にD&Iに取り組む企業や個人がこんなにもいるという事実に勇気づけられた。

そして... last but not least, special thanks to りっちゃさん
今回のイベントのアイデア立案から実際の企画、集客、運営、フォローアップまですべて担ってくれたのが10Xのりっちゃさんである。りっちゃさん個人としてもD&Iについて知見が深く、また困ったときにはふらっとディスカッションに乗ってくれる。落ち込んでるときにメッセをくれたり、この業界内で本当に尊敬していてもっともっと仲良くなりたい人物だ。要フォロー!

「ジェンダーについて学びたい!さあ、何から始めよう?」

日々ジェンダーやD&Iについてツイートや発信をしているおかげで、このトピックについて相談されることが最近増えてきてとても嬉しい。

日々話す中で、「興味はあるし、課題感もある。でも何から着手したらいいかがわからない」というペインが意外と大きそうだと感じている。以下では、そんなみなさんに向けておすすめの書籍をまとめたい。

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#本

①ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問

ことあるごとに勧めているのでご存じの方も多いだろうが、これは必読書である。

「男女平等は大事だけど、身体の違いもあるし仕事の向き不向きは有るんじゃない?」
「専業主婦になりたい人もいるよね?」
「どうしてフェミニストはCMみたいな些細なことに噛み付くの?」
「男だって大変なのに、女がすぐハラスメントと騒ぐのって逆差別では?」

こういった問いが頭に浮かんだり、あるいは目にしたり(そしてパッとどう考えたら良いのかわからなかったり)したことのある人は多いだろう。同書は、こういった、ジェンダーについて考えようとすると直面する数々の問いに対して、「ホップ・ステップ・ジャンプ」の三段階で回答を試みる。それぞれ、初級者向け、中級者向け、上級者向けという設定で書かれているので、まずは「ホップ」だけを読んでみて、"わかった!"と思ったらステップも読み進めてみることをおすすめする。

②イラストで学ぶジェンダーのはなし みんなと自分を理解するためのガイドブック

今年出たばかりの新刊!同書では、ジェンダーに関する"キーワード"を軸に、それぞれの説明や議論の歴史、現状の課題などを、数字はもちろん実際の人物の事例を差し込みながら展開する。

また、本全体に多くのイラストがあるが、色使いといい、表現の仕方といい、どれも素晴らしい。用語を起点としながらも用語集にはとどまらない一冊。

③WORK DESIGN

先の2冊に比べて厚めで、「入門書」の中ではハイレベルかもしれないが、ジェンダー格差について「働く」ことを切り口に、様々な事例や、実験が示すわれわれの数々の不都合な真実(ex. バイアスの話)を紹介しながら、最後には「ジェンダー平等のためのデザイン」の提案を試みる一冊。

序盤を読み進めると、やや絶望を感じる人も多いかもしれないが、ちゃんと途中から有効な手立てを探る内容になっていくので安心してほしい。

④早く絶版になってほしい #駄言辞典

日経新聞が紙面で、心をくじく「駄言」にまつわるエピソードを #駄言辞典 をつけてつぶやいてください、と紙面で呼びかけ、あつまった様々な発言をまとめてできた本。

私自身、「あっ、これ言ってしまったことあるな・・・」と反省するものから、「これ私も言われてめっちゃ嫌だったなぁ」と思うものまでいろいろな「駄言」を起点に、それらの社会的背景やなぜこれらが「駄言」なのかを解き明かしていく一冊。「なんでこれがダメなのかわからない」と思う発言もいくつかは出てくるだろう。でも、その背景を知れば、もう同じことを発言して相手を傷つける機会が減ったり、その問題についてより身近なものとして考えを深めるきっかけになると思う。

⑤なぜ女は男のように自信をもてないのか

タイトルがややエッジーだが、私が2021年に読んでよかった本ランキングトップランカーである。ANRIメンバーの川口さんに紹介されて手にとったのだが、「私のこれまでの自信がなくて困ったエピソードを全部もしかして見ていました!?」と感じるほどに感動した本だった。主にははたらく女性に向けて勧めたいが、マネジメント層の人間であれば、より一人ひとりが価値を発揮したりためらいなく発言したりできる環境を作るためには絶対に読んだほうが良いと思う。

また、「私って、大事な場面で自信がないんだよな・・・」と個人の性質に還元してしまっていたものが、かなり社会的な現象であり、私だけじゃない!みんなこう感じていたんだ!と思えるのも個人的にはいい体験だった。

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江原ニーナ

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江原ニーナ
1997年熊本生まれ。ANRIでベンチャーキャピタリストとして主にtoCサービスや女性の起業家への投資に注力する傍ら、スタートアップ業界のジェンダーギャップ是正に向けてあれこれ活動しています。ダイバーシティ&インクルージョン、SDGs、テクノロジーと倫理