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経営者は、結局なにを学べばいいのか。

経営者は現代アートを学べ。

という論説が少し前に流行った。

ちょうど我が家の近くには東京都現代美術館なるものがあり、そこはまさに「現代アート」をテーマにした美術館だ。

この2〜3年、私もよく美術館に足を運んでいるが、そこにはおしゃれな若者が多く、経営者のような人物はあまり見かけない。

あの論説は、一時の流行りでしかなかったのか。

そうこうしている内に今度は

経営者は焚き火したほうがいい

という論説も出てきた。

そもそも「経営者こそ○○をしろ」みたいなフォーマットは便利で、経営やビジネスのイメージとかけ離れたワードを配置すれば成立するようにできている。

そんな数年ごとに流行が変わる「経営者こそ○○をしろ」フォーマットだが、せっかくなので直近の「現代アートと焚き火」を起点にビジネスについて考えてみた。

今日はそんな話。

■経営と共感

まずは現代アートについて。

ちょうど先日、東京都現代美術館でこんな展示がはじまった。

コンセプトを紹介するページには、こんな表現がある。

簡単に共感されるとイライラしたり、共感を無理強いされると嫌な気持ちになることもあります。
この展覧会では「この人は何をしているんだろう?」「あの人は何を考えているんだろう?」と不思議に思うでしょう。謎解きのように答えが用意されているわけではありませんが、答えのない問いを考え続ける面白さがあります。共感しないことは相手を嫌うことではなく、新しい視点を手に入れて、そこから対話をするチャンスなのです。

「あ、共感とかじゃなくて。」紹介ページより

もしこれが経営者にとって必要な現代アートならば、それは経営者に「安易な共感とか取りにいくの、もうやめせんか?」と投げかけているように思える。

もしくは、例えば社内に、

「この人は何をしているんだろう?」
「あの人は何を考えているんだろう?」

と不思議に思う社員がいたとしたも、それは嫌う対象ではなく、新しい視点を手に入れるチャンスかもしれませんよ。

というメッセージにも思える。

はたして今、このスタンスでいる日本の経営者はどの程度いるだろうか。

■経営と焚き火

次に焚き火について。

焚き火に限らず、近年のキャンプブームはビジネスの世界でも大きな影響力を持った。

オフィスにキャンプギアを取り入れたり、社員と経営者で焚き火を囲むなど、ビジネスの空間に自然を取り入れるのは、ちょっとしたトレンドだ。

しかしビジネスの視点で見ると、焚き火はビジネスの逆行だ。

もともと焚き火は炎をその場に留めておくために生まれた。
その後、ポータブルな炎としてたいまつのようなアイテムが誕生し、さらにコンパクトで便利になったマッチが誕生した。

本質は同じ炎だが、効率性が上がることでビジネスが誕生していく。

つまり今「経営者は焚き火をすべき」とか「焚き火から学んだほうがいい」と言われるとしたら、それは経営やビジネスにおいて非効率(だが魅力的)であることが重視しよう、ということになる。

はたして今、このスタンスでいる日本の経営者はどの程度いるだろうか。

■アートとデザインとアイデア

この他にも「経営にアイデアの視点を」とか「経営にデザインの視点を」など、経営者は学ぶべきことが多い。

しかし焚き火も含めて、すべてが同じ土俵にあるようにも感じる。その起点となるのは、おそらく「デザイン」だ。

アートとデザインの違いはよく語られるが、私はアートは自己の表現で、デザインは機能の整理だと思っている。

先ほどの「炎」で例えるなら、それは「マッチ」だ。

焚き火やたいまつの持っていた機能をコンパクトに整理したマッチは、機能美すら感じさせるプロダクトで、ビジネスデザインの代名詞だ(と勝手に思っている)。

マッチ売りの少女も扱った名プロダクト「マッチ」

そんなデザインがビジネスの基本で、あとはどうズラすか。

今のトレンドはアートや焚き火のように、あえて安定を捨てて不安定なエネルギーに魅力を見出すビジネス

もしくはマッチの先端にあった赤色をカラフルにしてしまうなど、安定された機能の上で、少しはみ出した遊び心が魅力的なビジネスもある。

そう言った意味では、経営に必要なのは、まず(美しさを感じるほど)徹底された機能整理ではないだろうか。

それさえできていれば、少しの非効率や遊び心すら武器になる、

今の経営者に必要なことは、焚き火経営や現代アート経営、アイデア経営と言ったトレンドワードに惑わされないデザインの土台を持つことかもしれない。

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