そもそも考えてみましょう。いま多額の費用を投じて再生可能エネルギーの設備を導入しているのはなぜか?

少なくとも日本では、発電設備が足りないから、ではありませんよね。火力発電や原子力発電ではなく、再生可能エネルギーでできた電気の方が良いから(=低炭素であり、純国産であり、放射性廃棄物も出さないなど)ですよね。電気を求めてではなく、それらの価値(前の文章のカッコ内)を求めての電源の「差替え」なのです。そういう電源の「差替え」の時に、どういう基準で送配電線に投資するのか。基本的には送電線の増強に要するコストと、電源を差し替えることによって生じるメリットとの見合いで行うべきであって、費用対便益の低い設備増強は回避しなければならないことは、基本中の基本です。大前提として、これから日本は著しい人口減少の時代に入り、送電設備の投資が回収できない(=全国の電線が赤字路線化してしまう)可能性が高まっています。

時々「再生可能エネルギーを有効活用するためであれば、税金使ってでも送電線を整備して」などという方がいますが、とんでもない話。電気代だって税金に近いなかで、どう効率化するかという話を、税金でやるなどということになれば効率的な設備形成などできません。机上の空論。

で、政府はだいぶ前からこうした課題を議論しています。ただちょっと中途半端で言葉が躍っている印象。「コネクト&マネージ」なんていう言葉を使い始めていますが、要は「再生可能エネルギーをできる限り既存の送電線につないでしまって、あとはなんとかやりくりしましょう」という考え方です。「これから再エネの接続も認めますが『ノンファーム(Non-Firm)型接続』で」、なんていう表現も良く聞きますが、これも砕いていえば「その発電所が発電する電気をすべてて引き取るということは確約できないことを了承の上であれば、送電線への接続はしますよ」ということです。確かに、再生可能エネルギーの迅速な事業化には役立つので喫緊の対処としてやるべきですが、「発電設備としては稼働率が低くなるかもしれないが、それでも良ければ使っていきましょう」ということにほかならないのです。せっかくつくった発電設備を抑制するというデメリットをどう最小化できるのかを考える必要があるのです。

ということで、真面目に考えてみました、第2弾です。

http://ieei.or.jp/2018/05/takeuchi180525/

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