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米国、小売売上高ショックについて

米12月小売売上高が約9年ぶりの落ち込みとなったことが話題です。総合から飲食店、自動車ディーラー、建材、ガソリンをコア売上高と呼ばれるベースでは同▲1.7%と2009年9月以来、約9年ぶりの大幅減です。コアベースの落ち込みが▲1%を超えたのは2009年3月(▲1.5%)以来であり、リーマンショック直後で「悲観の極み」を経験していた時代まで遡る必要があります。年明け後、「やっぱり世界経済および米経済は大丈夫」という楽観ムードが復元されてきたように思います。しかし、米経済にまつわるハードデータがはっきりと崩れたことは、そうした楽観ムードに一石を投じられたと考えたいところです。

米経済の60%が個人消費であることを思えば、今回の小売売上高の大幅減をどう評価するかは今後の見通しを検討する上で重要なテーマでしょう。今回の急悪化の背景には①政府機関の一部閉鎖、②株価急落、③年末商戦が11月へ前倒しされたことなどが挙げられています。このうち、主犯と目されているのが③であり、オンライン販売を中心に消費の多くが11月に前倒しされた影響が指摘されています。実際、今回の1月小売売上高を見てもオンライン通販を含む無店舗販売が同▲3.9%と顕著に悪化していることから、③が足枷となった疑いは非常に強いでしょう。また、政府機関が閉鎖されている以上、経済活動が縮小するのも不可避ですから、①も事実でしょう。今後を展望する上では、③は忘れても良いでしょうが、①は残ることになります。

しかし、気にしたいのは②です。株式市場の不安定化は11月から発生しています。具体的にはNYダウ平均株価は12月単月で約▲10%、10~12月期では約▲22%、S&P500指数は12月単月で約▲11%、10~12月期で約▲17%も下落しています。近年、平均時給の緩慢な伸びにもかかわらず、米国の個人消費が堅調を維持できた背景には堅調な株価がもたらした資産効果の存在があったと思われます。少なくとも米家計金融資産の3割以上が株式で構成される以上、株高が旺盛な消費・投資意欲を駆動した面は否定できないでしょう。図で示されるように、2018年9月末時点で米家計部門の純資産はGDP比率で500%を優に突破しており、過去最高を更新しています。

米株が崩れ始めたのが昨年10月以降(とりわけ12月以降)であることを思えば、その影響はやはり出てきても不思議ではない。先行して公表されていた消費者マインド系の指標が1月に入ってからも崩れていることから、1月の小売売上高も楽観は出来ないように私は思っています。

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