人生100年時代、そして教育国際化時代の就職活動とは
海外留学は促進すべきだが、就職活動が足かせとなっているのかも?
「就活戦線 異状あり(2) 1年生からインターン」の記事を読んでいて、愕然とした。
「留学すれば就活の情報を得にくくなるし、帰国後に動き出しては乗り遅れる」
という、モスクワの大学に留学中の東北大学2年生の言葉である。愕然とする点は、複数ある。大学2年生でもう就職のことを考えている。そして、留学が、少し就職にとって、不利であるとこの学生は感じているように思えることだ。
もちろん、大学生には就職の意味をきちんと説明する必要もあるでしょうし、就職と就社が異なることも説明する必要はあります。(「日本人が行っているのは、「転職」ではなく、「転社」では?」参照)
そして大学の教員としては、大学は教育の場でもあり、その後の人生の設計の支援の場であることは、十分理解しているつもりである。しかし、このように海外留学できる学生には、余計な心配はせずに、もっと留学でしか得られない体験をたくさん行ってもらいたいと思う。
そう考えると、なんとかこのような不安が少なくなればと、考えるのである。
企業主導の就職カレンダーを見直す時期では
そこで、民間企業にもいる私なりに少し就職活動について考えたい。日本では、新卒の新入社員は、4月1日に入社する。この方式を見直す時期に来ているのではないだろうか。
そもそも不思議なのは、入社は4月1日、そして多くのサラリーマンは定年の誕生日を迎える月に、退職する。入社が4月1日ならば、退社は3月31日で良いのではと思うのであるが、そうでもない。
これは、新入社員という従業員を一括確保することで、労務の管理が行いやすいことと、その後の新入社員研修を行いやすくすることが大きな理由であろう。新入社員研修については、後に考察するが、労務の管理はもはやIT化されており、入社が五月雨になっても問題ないはずだ。むしろ、五月雨入社に対応できない企業は、中途入社の社員確保や、今政府が進めている柔軟な働き方や、副業などには対応できないことになります。
もちろん、大学の教育の問題も直視したい
さて、新入社員研修については、大学の教育の問題が大きいと考えています。そもそも、新入社員研修に社会人マナーの要素がありますが、これは本来大学卒業時にクリアしていなければいけないものでしょう。大学生も18歳成人になれば、全員大人で、社会人扱いをして、教育する必要があるのです。
さらに、会社固有のビジネス・プロセスの理解がありますが、これはインターンをもう少し丁寧に行えば、学生に最低限の会社で利用するソフトの理解や、会社の承認プロセスなどは教育できるはずです。
そして、何より産学連携の取り組みや授業を増やせば、もっと企業で使える知識や研究を行えるようになるのではないでしょうか。私の所属している東京大学では、「数物フロンティア・リーディング大学院」という産学連携のプロジェクトを常に行うことで、大学に企業の求めている研究テーマや、企業の方との議論の進め方を教育しています。
企業と大学で、同じテーブルについて議論を行う
教育しているものからの視点では、大学生にはなるべく多くの時間、勉強や研究に取り組んでほしいと思います。そのためにも、そろそろ日本全体の就職活動の在り方。企業で即戦力になる、大学の卒業生の育成方法について、企業と大学で密に話し合う時期になったのかもしれません。
大学生の留学はもっと促進させるべきでしょう。そして、人生も長くなったのです。今まで、避けてきた課題に直面しましょう。