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事実婚は法律婚の代替になりうるか

日経COMEMOの募集中のテーマが「#理想の家族 」 なので、自分にとって身近な話題である「事実婚」について少し考えてみたいと思います。

現行の法律婚に違和感

わたくし、現在29歳。今年で30歳になります。年齢がどうのと言いたいわけではありませんが、最近は周りも結婚したり、子供ができたりすることが増えてまいりました。

自分自身、結婚について深く考えれば考えるほど、引っかかることがあります。それが「これまで呼ばれてきた姓を変えること」です。

法律婚では、カップル間で姓を同一にする必要があるため、カップルのうちどちらかは姓変えれなくてはいけません。「そんなにイヤなら相手に変えてもらえばいいじゃん」という話でもなくて、自分がこんなにモヤモヤしているものは相手に強要したくもありません……。

なにがモヤモヤするかって、まず名字が変わった自分を想像してみると、自分のアイデンティティがふたつに分離してしまうような気がするんですよね。

日常的にも「あやかちゃん」と呼ばれることよりも「池澤」「いけちゃん」「いけあや」と呼ばれることが多いですし、名字で呼ばれたほうが自分らしさを感じます。

また、同様に大きな問題だと感じているのは、名義変更です。夫婦同姓制が導入された頃に比べて、女性も社会に参画するようになりました。そのぶん、名前が変わると、いろいろ名義変更をしなくてはいけません。

運転免許証、銀行口座、クレジットカード、生命保険、パスポート……。

これらはすべて、新姓もしくは旧姓併記に変更です。基本的には旧姓で生きていきたいので、なるべく併記できるところは併記したいです。

さらに、これらのみんなが変更するようなものに加えて、わたしは個人事業主として働いているので、こちらも手続きをする必要がありそうです。

調べてみると、最近は個人事業主も旧姓を併記することができるみたい。ふむふむ。それができたとしても、それに紐づく銀行口座やクレジットカードの名義はどうなるんだろう……。

えー、旧姓で口座設立できる金融機関とできない金融機関があるのかあ……。

個人事業主として入っているさまざまな共済の名義も変更しなくちゃいけないのかな……。

今まで取得した資格はどうなる……?

そういえばわたしはエストニアに法人を持っていたんだった。これはどうすれば良いんだろう……。手続き必要?旧姓でいける?

自民党の議員の方は「旧姓併記で問題なく社会生活を送れるようにする」って言っていますが、過渡期のいま、民間では対応がまちまちです。

ということは、過渡期の間は旧姓を使えるのか使えないのか、いちいち調べなきゃいけないってこと……?

ちなみにちなみに、旧姓併記の状態だと、万が一離婚した場合にまた名義変更が必要になるのかな……?

もうちょっと調べて軽く考えただけでも、面倒くさくて死ぬ……。

事実婚はありなのか

どこからか「夫婦別姓を望む場合は、事実婚を選べばいいのでは」という声が聞こえてきそうです。

実際のところ、事実婚は法律婚を代替しうるのでしょうか。

事実婚は、「『法律婚』に対する言葉で、婚姻届を提出せず、婚姻の意思を持って夫婦の実態を有する共同生活をしている状態」を指します。

この状態を「内縁関係」と呼び、2つの条件 「当該男女間に婚姻意思があること」 「婚姻意思に基づいた共同生活があること」を満たす必要があります。

婚姻届のように、この書類を役所に提出すれば事実婚として認められる、正式な書類があるわけではありません

正式な書類が存在しないなか、事実婚を選択したカップルが、保険に入ったりローンを組んだりする際などには、事実婚を証明する必要があります。どうやって証明するのでしょうか。

事実婚を公的に認めてもらうためには

正式な書類が存在しないため、婚姻同等な関係を築いている事実の証明を積み重ねていく必要があります。

すべてを満たす必要はありませんが、具体的には、住民票の記載はどうなっているか、公正証書があるか、健康保険の被扶養者欄に入っているか、賃貸借契約書上の記載はどうなっているか、民生委員発行の証明書はあるか、パートナーシップ制度の証明書はあるか、結婚式したか、などなど。

どの機関で、どの証明がもしくはどの証明の組み合わせが有効なのかは、いちいち調べたり問い合わせたりする必要がありそうです。

実際、金融機関で事実婚のペアローンを組む際や、会社で結婚手当を貰う際などには、まず住民票が求められることが多いそうです。

住民票を事実婚の証明に用いるためには、事前に役所に赴き、住民票に「夫(世帯主)」「妻(未届)」または「妻(世帯主)」「夫(未届)」と記載する手続きをする必要があります。

しかし、家族・親族関係の証明に用いられる戸籍に対し、住民票は居住の証明に用いられる書類であるため、以下のような注意点や問題点があります。

・住民票上で必ず世帯を合併する必要がある。これにより、税金や補助の金額が変わってしまう可能性がある。

・住民票に結婚した日を記入する欄はないため、いつから婚姻生活が始まったかは証明できない。

・住民票を同一にする必要があるため、事実婚かつ別居婚という関係性は成り立たない。

・パートナーの海外赴任が決まった際など、住民票を抜かなきゃいけない場合、記録は抹消される。

・住民票を抜いてしまえばこの記載はなくなるので、パートナーの同意なくどちらかが一方的に婚姻を破棄することも形式上できてしまう。

うーん……。

事実婚は法律婚を代替するようなものではない

実際に事実婚をされている方には「事実婚でも何も問題はなかった!」という方も数多くいらっしゃいます。

しかし、わたしは今回いろいろ調べてみて、事実婚は法律婚に比べて正式な書類がないゆえにとても不安定なものと言わざるをえず、個人的には「法律婚を代替するようなものではない」と感じました。

その他も、子供の親権を共同で持てなかったり(デフォルトでは母親が持つ)、法定相続人としての権利もないため、事前に遺言書等の契約書を作っておく必要があったりと、まだまだ重大な違いがたくさんあります。

事実婚を選択する場合は、下調べと事前準備と割り切りと覚悟が必要になってきそうです。

このような現行法整備上で不利益を被っているのは、別姓を望むカップルだけではありません。同性婚ができない同性カップルもまた、事実婚を選択するしかありません。

事実婚が法律婚を代替できるものではない現状で、「別姓が良いけど法律婚がしたい」「同性だけど法律婚がしたい」と考える人がいるのは当然のことではないでしょうか。「自分たちの結婚が国から認められるべきものでありたい」という感情面も尊重されるべきです。

選択的夫婦別姓制度や同性婚が認められ、すべての人が法律婚を選択できる未来を、いち日本国民として望んでいます。

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池澤 あやか

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ソフトウェアエンジニア、ときどきタレントです。テクノロジーとガジェットとカレーが好き。