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非上場資産に拡がるESG投資

以下の記事ではインフラや未上場の株式・債券、不動産や森林など非上場資産でESG投資が拡大しているというフランスのESG投資調査機関Novethicの調査結果を紹介しています。徐々に市場関係者に非上場資産とESG投資の相性の良さが認識されてきたことを示していますが、それを読み解くには1)低い流動性、2)乏しい公開情報、3)長い投資期間の3つの非上場資産の特徴に注目するとよいでしょう。

1)の流動性とは資産の流通量のことで、資産の買いやすさ、売りやすさに関係しています。上場株式であれば多くの買い手と売り手が存在することで、流動性が高買いたいときに買いたい値段で買える可能性が高いと流動性が高い、逆であれば流動性が低いとなります。一見すると流動性が低いことは良くないことのように見えますが、毎日のように取引するのでなければ、流動性に過度にこだわる必要はありません。特にESG投資のように対象となる資産の価値創造を着眼点とするならば、低い流動性は必ずしも欠点とはなりません。

2)については上場に伴う情報公開の要件がないため、上場資産に比べると情報は限定的となるのは仕方ないでしょう。しかしそれは情報公開に消極的ということを必ずしも意味しません。現に非上場企業であってもESGに関する取組を全く行っていないということは考えにくく、これまでその情報を求められなかったということが多いからです。

3)の投資期間は1)の流動性とも関係しますが、資産の価値創造は必ずしも一朝一夕でできるものではありません。鉄道などインフラは整備までに10年以上の長期に亘るものもありますが、ESG投資家は整備までの環境・社会面での配慮や整備後にもたらされる環境・社会面でのインパクトに注目するため、長い投資期間はESG投資とむしろ相性が良いと言えます。

この調査結果は欧米投資家によるものですが、今後日本でも非上場資産でESG投資が浸透していくことを心から願うばかりです。

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黒田 一賢(株式会社日本総合研究所 スペシャリスト)

日本サステナブル投資フォーラム運営委員 青山学院大学非常勤講師 近著に『ビジネスパーソンのためのESGの教科書 英国の戦略に学べ』 ※執筆者の個人的見解であり、日本総合研究所の公式見解を示すものではありません。

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