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「成長できない」という若手社員の不安をどのように解消すべきか

「この会社にいても成長できない」
「ほかの会社で通用しなくなるんじゃないか」
下の日経の記事では、こうした不安を抱く若手社員が少なくないと書かれています。一体これはどういうことでしょうか。

1.ホワイト化が進む職場

こうした若手社員が「成長できない」と嘆いているのは、「目の前の仕事が忙しすぎて長時間労働となり、ほかのことに目が向かない」、「上司の言動がきつく、伸び伸びと仕事ができない」というようなネガティブな理由が原因ではないようです。

もし心身に過度な負担がかかる長時間労働やパワハラのために個人の成長が止まってしまうのであれば、それは由々しき事態です。

ですが記事によると、実際の残業時間は先輩たちが新入社員の頃の半分であり、職場において自分の気持ちや意見を安心して言える「心理的安全性」も高まっているようです。

それでも彼らは「上司や先輩が、何を言うにもオブラートに包みすぎのように感じる」、「親戚の子どものような扱いだ」と不安を覚えるというのです。

2.パワハラになることを恐れる上司たち

一方で、上司/先輩たちが新入社員に対してどのように接したらいいか分からなくなっているというのも1つの要因でしょう。

今は昭和ではありませんから、「残業するのが当たり前」、「会社に奉仕してナンボ」、「仕事なんだから、厳しく指摘され、怒られても文句は言うな」という感覚はたしかに今の時代には合わないでしょう。もしそんなことを口にしたら、「パワハラだ!」と訴えられてしまいます。

ですがそうした風潮の高まりとともに、本来はきちんと指摘/教育しなければいけないような「新入社員の資料の出来が悪い」、「書いている文章の意味が分からない」といったことにも、パワハラだと言われないだろうかと恐怖を感じて指摘することができなくなっている上司が一定数いると聞きます。

これがまさに「オブラートに包みすぎた話し方」、「親戚の子どものような扱い」に繋がってきているのだと言えるでしょう。

ですが、その気持ちも分かります。上司側はきちんと説明しているつもりでも、パワハラは受け取り側がどう受け取るかの問題ですから、いつ爆発するか分からない爆弾を抱えているのと同じだと感じてしまっているように思います。

3.若手社員の不安の理由

こうした新入社員側と上司側の相互理解の低さが、職場環境の改善にもかかわらず、新入社員の不安を増長していると考えられます。

たとえば、新入社員が一生懸命作成した資料/文章を上司に渡し、「ありがとう、あとはこっちでやっとくね」と言われ、いざその資料が会議の場に出てきた時に自分の努力の痕跡が1mmも残っていなかったらどう思うでしょうか。

自分の資料の何が悪かったのか、どこを改善する必要があるのか。新入社員側は、その指摘が無ければ自身が成長しないということを分かっています。上司側がそれを見て見ぬふりするから、新入社員が不安になるのでしょう。

このように、不安を感じている新入社員は、上司から「放置」されてしまっているのです。そして結果として、以下のように感じることになるわけです。

・このまま所属する会社の仕事をしていても成長できない
・自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないか
・学生時代の友人・知人と比べて差をつけられている

4.新入社員が成長するために必要なこと

こうしたすれ違いを解決するためには、お互いが次のように意識をしなければいけません。

(1)新入社員側

受け身にならないこと。教えてくれるのが当たり前だと思わないこと。
上記の例だと、「なぜ自分の資料がそのまま使われなかったのか」、「次からどういったところに留意すればいいか」を、上司/先輩に自分から質問すること。

上司や先輩は、新入社員の方から自発的に聞いてくることを待っています。

(2)上司側

新入社員の資料に対し、成長のために指摘をすることは大切です。ですが
「こんなんじゃダメ、伝わらない」
「何が言いたいかをもっとハッキリさせて書き直して」
といった曖昧なダメ出しをしてはいけません。

このような指摘では、新入社員側からは明確にどこがダメなのかが分からないため、直しても直してもまた「こんなんじゃダメ」と上司に押し返されてしまうのです。

これをいくら繰り返しても新入社員は成長しませんし、何回も続くと心理的に疲弊していくことでしょう。それこそ、いずれ「パワハラだ!」と爆発するかもしれません。

こうしたことを鑑みると、実は新入社員がパワハラだと感じる原因の1つは、「上司の指示/指摘がロジカルではないこと」だと考えられます。

ですから新入社員側に求めるばかりではなく上司側もロジカルシンキングを身につけ、「どう指摘すれば、新入社員の文章力が向上するのか」、「何を伝えれば、彼らが指示を待たなくとも動けるように導いてあげられるのか」ということを学ばなければいけないのです。

お互いがこうしたことを考えながら、少しでも歩み寄ってもらえたら幸いです。

5.参考

次の書籍では、こうした新入社員/後輩指導に即したロジカルシンキングについて触れています。ぜひお手に取ってみてください!

最後まで読んでくださって、ありがとうございました! これからも楽しみながら書き続けていきます!