人生100年時代構想会議の時代に必要とされるMOOC
『大学などの講義をインターネットで無料配信するMOOC(ムーク、大規模公開オンライン講座)が幅広い世代から支持を集めている』という記事が興味を引きました。 ちょうど人生100年時代構想会議の有識者議員として『ライフシフト』著者のリンダ・グラットン氏が選ばれるなど、生涯教育や「スキルの学び直し」というテーマが注目されているだけに気になるトレンドです。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO20967410R10C17A9NZBP00
隙間時間を使って気軽に、専門性の高い講義に触れられる点が受けている。若い世代は様々な分野に知識を広げて職業選択の一助にし、シニア層は「学び直し」に役立てている。日本版MOOCは14年に日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)が公認の仲介組織(ドコモgacco、ネットラーニング=東京・新宿、放送大学、富士通が運営)と協力してスタート。17年7月末の登録者数は38万人を超えた。30~50歳代で7割近くを占め社会人の割合が高い。
『日本版MOOCに38万人』という規模が、果たして幅広い世代から支持を集めているかどうかはさておき、米国MOOC最大手コーセラ(Coursera)のウェブサイトを見てみると登録者が2,500万人と書かれていてその規模がとても大きいことに驚きます(当然途中で脱落する多くの人を含んでいる数字とは思いますが)。
コーセラの提携大学は世界の名門校を中心に現在149大学、合計資金調達額も2億1000万ドル、そしてこの6月にはそれまでCEOを3年間勤めていた元イェール大学学長が退任、新しくCEOに就任したのはアカデミックのバックグラウンドではなく、ファイナンシャルエンジンという会社の元CEO、Jeff Maggioncalda氏が就任したそうです。
ファイナンシャルエンジン社は資本資産価格モデル(CAPM)を発表してノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・F・シャープ博士が設立した、リタイアメント後に向けての資産運用サービスを提供する会社で、既にIPOも果たしている会社です。同社のIPOを牽引した人物がCEOに就任することでコーセラもIPOを目指していることが伺えます。 同時に、オンライン教育をビジネスの文脈にも拡大を目指し企業研修のマーケットにも提供し(Coursera for Business を先日リリースしたばかり)、また退職者のセカンドライフのマーケット感覚を持っている人がコーセラのCEOに就任したことはとても興味深い人選ではないかと思います。
『AIが仕事を奪う?』という議論もこれからますます盛り上がっていく中で、長い目でMOOCにも注目しておきたいと思います。
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