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コロナ禍の危険な職業ランキングとアフターコロナの人材市場

 新型コロナウイルスは、これまで人類が長らく忘れていた「感染症へのリスク」を再認識させて、様々な職場での働き方や雇用体系を変革せることになるだろう。コロナの感染リスクは職種によっても大きく異なるため、これからの仕事選びは、報酬(賃金)の条件に加えて、感染の危険度によっても人気・不人気の職種が変わってくることが予測されている。

その具体的なリサーチとして、米国金融出版社の「GOBankingRates」では、各職業の「COVID-19リスクスコア」を算定している。計算方法は、労働統計局のデータに基づいた職種別に、
(1)どれだけの人数と近接して行う仕事か
(2)他人にどれだけ接近して行う仕事か
(3)仕事中に危険に晒される頻度
を具体的な項目として0~100の範囲でリスクスコアの算定を行い、100に近いほど感染リスクが高いことを示している。

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上記の結果では、やはり医療従事者の感染リスクは総じて高いが、その中でも「歯科衛生士」は最も危険度の高い仕事にランキングされている。歯科の治療は患者との近接度が、他の診療よりも高く、それだけ感染リスクも高いのが理由だが、リスクと報酬のバランスがマッチしていないことから、今後は求職者が減少していくことも予測される。

米国労働省労働統計局が発表した、2020年4月の雇用統計では、医療セクターで140万人の失業者が出ており、その中でも歯科業界の失業者は503,000人となっている。これは、パンデミックによる感染リスクを恐れて、歯科クリニックに通院する患者が激減していること、それに伴い、高齢の歯科医師は引退(廃業)を決断するケースも増えているのが大きな理由とみられるが、歯科クリニックに勤めるスタッフが、危険を恐れて自発的に辞めるケースも出てきている。

日本では歯科衛生士の平均年収が364万円、無資格の歯科助手スタッフは250~300万円となっており、米国の給与水準よりも低い。国内には歯科医院の数が約68,000件あり、もともとの過当競争が厳しい中で、コロナ禍による通院患者の減少やスタッフの人材不足が深刻化すると、米国以上の職場崩壊もあり得るだろう。

こうしたパンデミックによる職場崩壊は、医療現場だけではなく、感染リスクの高い現場で働く、様々な業界に及んでいる。米国内で25万人が働く食品加工労働者の組合「JBS USA」では、加入メンバーの雇用主である食肉加工会社に対して、マスクを含めた個人用保護具(PPE)の安定供給や、食肉工場を個別のブースに仕切ることにより、作業者のソーシャルディスタンスを保つことを要求している。

米国の食肉工場では、5,000人以上がコロナウイルスに感染して、13人が死亡している。こうした職場では、感染が終息した後にも労働訴訟や離職率の増加が予測されている。

3密を形成して感染リスクのある職場では、安全対策に積極的な設備投資を行ったり、賃金体系を変更していくことが、従業員を離職させないためにも急務の課題になる。

コロナ終息後の世界では、人が職業を選ぶための価値観は、単に賃金の条件だけではなく、安全に仕事ができる環境が最優先されて、満員電車による通勤の有無も含めて、コロナの流行前とは異なる、柔軟な働き方を求める人が増えてくることは間違いなさそうだ。

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