「停止要求」というタイトルから、電力会社が再エネに意地悪している的なイメージを持つ方も多いのではないかと思うのですが、これは従前からルール化されていたことです。

そもそもの話&丸めたご説明ですが、電気は使う量と作る量が常にバランスしていないと、周波数が乱れてしまい、最悪の場合停電に至ります。足りなくてダメ、多くてもダメなんです。

ですので、基本的には電気ができすぎるということになると、a)貯める、b)どこかに流す、c)発電を止めるということになります。

それぞれの手段の特性ですが、

a)貯める:電気を大量安価に貯める技術はまだありません。唯一あるのは揚水発電といって、上下二つの大きな池を作っておいて、電気が余っているときに上の池に水を揚げておき、足りない時にそれを落として水力発電する。3割くらいのエネルギーをロスしてしまいますが、発電した電気を使う時間をずらすことができます。昔原子力発電の導入が進むと夜の電気が余るので、それを吸収する手段として開発されましたが、いまはどこの電力会社さんも昼間太陽光発電の余剰を吸収するのに使っています。容量には限度アリ。

b)どこかに流す:地域間の連系線(九州からだと関門連系線を使って本州)に流す。ただし、送電線の容量にも限度アリ。

C)発電を止める:発電コストが高い電源、あるいは、変動運転が可能な電源から止めていく

コストや特性などを考えながら順番付けでやっていくわけですが、その順番は既にルール化されています。

① 火力発電所の発電抑制(*但し、発電所を全部止めてしまうと再エネの発電量が下がった時等に補ったりすることができないので、「エンジンをかけて待っている」ことが必要。なのでゼロにはならない)、揚水発電所の活用

②他地域への送電

③バイオマス発電の出力制御

④太陽光・風力の出力制御

⑤固定的な電源(制御が困難)である水力・原子力・地熱の制御

と決まっています。

原子力の方が後になっているのが引っ掛かるとは思うのですが、原子力の出力を変動させるには燃料棒を抜き差しすることになり、地域との協定で「一旦動かしたら出力を変動させず安定運転させる」ということになっています。電気の同時同量の鉄則からすれば、「停止要求」、出力「抑制」と言う表現ではなく、あるべきコントロールです。意地悪っぽいイメージ持たせるような言い方、いい加減やめればいいのに。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181008/k10011663711000.html

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