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フェイスブック共同創業者クリス・ヒューズ氏によるNYタイムズでのFB分割・規制強化記事への反響

フェイスブック共同創業者の1人、クリス・ヒューズ氏によるフェイスブックの分割、政府による規制を訴えたニューヨーク・タイムズのオピニオン記事は英語圏では大きな反響を呼び起こしているようです。

今までもエリザベス・ウォーレン上院議員(民主)を筆頭に、昨日ご紹介したトリスタン・ハリス氏など、2016年の大統領選、ケンブリッジアナリティカ・スキャンダルなどを通じて、フェイスブックに対する批判の声は話題になっていました。ただ、フェイスブックの共同創業者であり、ハーバード大学でのルームメートからの5,800文字もの長文コラムは大きな反響を巻き起こしているようです。

米国時間の5月9日に公開された記事は日本時間の5月11日午前時点でフェイスブックで10万回近いエンゲージ(シェア、いいね、コメント)、ツイッターでは約2.4万回リツイートされています(分析ツール BuzzSumo調べ)。
5月12日には週末のニューヨーク・タイムズの紙版でも配信されるとのこと、ますますこの議論が拡がっていきそうな勢いです。

今回はニューヨーク・タイムズの特別プロジェクトである「The Privacy Project」のシリーズの一貫として記事化され、記事以外にも約5分の編集されたビデオ、そして記事が公開された日の夕方に収録された人気ポッドキャスト「The Daily」でのヒューズ氏のインタビューも公開する、という力の入れようです。5つのポイントをまとめたダイジェスト版の記事まであります。

以下は人気ポッドキャストシリーズのThe Dailyへのリンク

ポッドキャストではヒューズ氏がこの記事を書くことを決断した背景、マーク・ザッカーバーグ氏始めフェイスブックのメンバーには一言も連絡せず公開したことなど、記事の反響を振り返りながら想いを綴っています。退社をして既に12年ほどが経っていること、2012年にフェイスブック株を売却して自分自身巨額の資金を得たこと、「フェイスブック叩き」の機運が高まっている中で流れに乗じて政治的に利用するのではないか、などの批判の反響があることも認めつつも、純粋に正しいことをすべき、という意図から発言をしたことを述べています。

クリス・ヒューズ氏とは

ヒューズ氏のプロフィールは邦訳もされている近著『1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法』によると以下のとおりです。数年前ニューヨークで開催されていたテクノロジーと民主主義に関するカンファレンスに参加した際、いち参加者としてフロアでヒューズ氏を見かけたことがありますが、当時からこうして問題に関心を寄せていたことを感じます。

投資家。ハーバード大学でルームメイトだったらマーク・ザッカーバーグらとともにFacebookを創業。広報やカスタマーサーヴィスを担当した後、2008年のアメリカ大統領選挙ではバラク・オバマ陣営のソーシャルメディア戦略チームを率いる。12年に創刊100年以上の歴史を誇るリベラル雑誌『The New Republic』を買収。16年に同社を売却後、Guaranteed Income(GI:保証所得)を推進するため、ナタリー・フォスターとともに、Economic Security Project(ESP)を立ち上げる。GIにより経済的に安定した生活が営める方法を研究者や活動家とともに模索するほか、画期的な経済研究や試験プロジェクト、実証実験などの支援を行なっている。

Wiredにおける池田純一氏の骨太の書評も読み応えがありますので併せてぜひ。

なお、フェイスブックのグローバル・パブリック・アフェアーズとコミュニケーション部門の責任者であるニック・クレッグ氏は書面での声明で「成功には説明責任が伴うという考えを当社は受け入れる。だが、成功した国内企業の分割を呼び掛けて、説明責任を強要することはできない」と述べています。以下のニューヨーク・タイムズのフォローアップ記事でもすぐの分割はそう簡単なことではなく、おそらくすぐにはありえないが、賛同の声も多くあり、こうした議論が行われることの重要性を指摘しています。今後この議論がどのように発展していくかに注目が集まっていることが読み取れます。

特にフェイスブックがフェイスブック、インスタグラム、ホワッツアップの相互連携を具体的に検討しはじめ、分割そのものが難しくなりつつあること、またメッセンジャーの暗号化を進めることでコンテンツ管理の「責任放棄」と見られかねない動きがあることも含め、大統領選の争点としても大きな国民的な関心事になっていきそうな気がします。

こうした英語圏で話題になっているにも関わらず、日本語圏では流通しにくいテック、メディアに関する「これは大事」と思えるニュースに関し、今後も引き続きフォローしていきたいと思います。

以下は著名人によるツイッターでの反響コメント:


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