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新聞業界の大変化。日経が毎日を部数で追い越す

何が新聞を殺すのか

先日、カタログ販売大手の方にお話を聞く機会がありました。

「最大のライバルは実はNetflixです。昔は寝る前に、カタログを楽しみにして読んでいた方々がたくさんいらっしゃったのが、現在はその時間をデジタルエンターテイメントに奪い取られているという認識です。」

これまで既存産業が押さえていた可処分時間が、デジタルデバイスにシフトしているのは明らかです。しかも、思った以上の速度で侵食をしています。

スマホの1日あたりの利用時間、18〜34歳と50歳以上の差はわずか9分

ここ数年は、特に50代以上の利用率が伸びてきています。さらに、一度利用が始まると、各世代の利用量に大差はないことがわかっています。世代別利用量のシェアでみると、スマホは若年層のものとはいえなくなっています。

紙メディアに慣れ親しんでいた高齢層の漸減と歩調をあわせて、緩やかに新聞などの従来メディアも衰退していと予想されていましたが、スマホの侵攻は時を待たずに、主要メディア交代の圧力を強めている状況になってきました。

新聞全体の驚異的な部数減少

新聞部数が一年で222万部減…ついに「本当の危機」がやってきた

新聞の販売部数などの推移をグラフ化してみる(2018年前期まで)(最新)

2010年頃までは、様々な手法を用いて、部数の減少を抑えて印象がありますが、すでに起きている強烈な社会変化には誰しも抗えなくなっていることがわかります。

日経新聞の健闘

毎日新聞はもうすぐ、日経に「追い越される」

日経新聞は、17年11月の値上げ後の減少はありつつも、比較的減少数が限られていて健闘しています。要因は2つあると考えます。

① 情報の価値と希少性が高い
② デジタル注力とデジタル・紙の併売努力

デジタル情報は、生成・複製・流通コストが低く、情報量が爆発的に増加する傾向にあります。

利用者としては、ヤフートピックスやスマートニュースなどのデジタルメディアでニュースが無料で手に入るのであれば、新聞社の方が信頼性や情報パッケージ性が高くても、あえてお金を出そうとは考えにくくなります。

SNSなどでつながっている人たちの情報やTikTokなどの動画など、新たに魅力的情報も溢れており、ニュースという情報自体の相対的な価値が下がってきている側面もあります。

そんな中で、お金を出してまでニュースを入手したいと思わせるには、高い実用性やエンターテイメント性などの価値そのものと、他では手に入らない希少性を持ち合わせる必要があります。

日経新聞が提供する経済情報は他では入手しづらい、ということがデジタル環境にフィットしているとみています。

また、紙は一覧性、閲読性が高いといった媒体特性上のメリットはありますが、一方で、リコメンデーションやデータ分析による改善など、デジタルだからできることもあります。デジタルサービスの品質を高めるためには、求められる組織能力も体制も従来とは異なり、一朝一夕では成果を出せません。

日経新聞は、2010年から本格的な有料電子版を提供し、紙に劣らない値段ですでに60万人を超える有料会員を獲得しています。素晴らしい成果ですし、この取り組みは他の既存メディアがデジタル時代へ対応していく上で、参考になる事例だと認識をしています。

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