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予算比より前年比を気にするビジネスパーソンになろう。

「予算」という言葉がある。

一般的には「予算5万円でテレビを買いたい」など、使えるお金の上限のことを指すが、ビジネスではちょっと違う。

ビジネスで「予算」と言うと、上司から与えられた目標売上のことを指す。

社会人になって、この違いに混乱したビジネスパーソンは多いのではないだろうか。

多くのビジネスパーソンがこの予算に追われている。

「今は予算比で何%」

と日々チェックをしたり、上司に報告したりと大忙しだ。

確かに目標は大事だ。

目標に対する到達率は、ビジネスにおいて重要な指標だろう。しかし予算比ばかりを気にして、もう1つの重要な指標が軽んじられていることが多い。

それが前年比(昨年対比)だ。

僕はこの前年比こそビジネスにおいて重要な指標で、予算比よりも重んじられるべきだと考えている。

その理由を表すキーワードは「社内を見るか」「社外を見るか」

今日はそんな話。

■予算とは与えられる目標

そもそも「予算」とはどう決まるのか?

その手法は会社によって違うが、多くの会社は利益から逆算して決めている

「今季はこのくらい利益を出したい」
「そのためには、このくらい売り上げないといけない」
「だから現場に伝える予算はこの金額」

そういった具合で予算が決められ、現場にトスされる。

「今季はとにかく、この数字を追いかけて」

と、現場は突然言い渡される。

予算とは目標のことだが、現場は目標を自ら決めるのではなく「与えられる」ことに慣れている。

果たしてそれは、目標として機能するだろうか。

自分は関与せず、上から与えられた目標を従順に追いかけられるビジネスパーソンは「優秀なビジネスパーソン」なのだろうか。

会社にとってはありがたい存在だろうが、個人のキャリアとしては目指すべきではないだろう。

■予算比目線と前年比目線

先ほど、予算の決め方は会社によって異なると言ったが、予算がどれだけ確からしい根拠を持っていたとしても、全ての予算に共通することがある。

それは「予算とは、希望的観測」ということだ。

つまり誰かの「こうだったらいいな」という想いが込められているのが予算。もちろんビジネスに想いは必要だが、それは冷静さを失わせる要因にもなる。

一方、前年比とはファクト(つまり事実)だ。今季のビジネスを伸ばしたいなら、その土台は誰かの空想ではなく、昨年の自分達の結果や外部環境などの「事実」に基づくべきではないだろうか。

例えば最も大きな事実として、日本の人口は年々減少している。加えて可処分所得も伸び悩み、物価も上がりづつけている。

つまり人数の面でもお金の面でも冷静に考えたら、前年比割れをするのが当たり前なのが日本の現状だ。

例えばそんな前提は、与えられた予算で考慮されていただろうか。

こんなことを言うと「言い訳するな」とか「やる気がないのか」と憤慨する経営者もいるかもしれないが、それは誤解だ。ビジネスを伸ばしたいからこそ、その目線はファクトに合わせておく必要がある。

■予算比目線が現実を見えなくさせる

もちろん、今季のビジネスが前年比も予算比も超えられるのが理想だ。しかし、現実はうまくはいかない(ことが多い)。

その時も目線の違いは、その後の行動に影響を与える

例えば前年比は超えたけど、予算には到達していない場合を考えてみる。予算比目線を持っている人はどう考えるだろう。

おそらく「あと少しで予算達成だからがんばろう!」と目の前に近づいた予算基準で考えてしまう。その結果、安易な値引きなどに走ってでも数字を積み上げようとする。

一方、前年比目線を持っている人は、まず「前年比から伸ばせた要因は何か」を考える。その中で「残りの期間でさらに伸ばせるとしたらどこか?」と選択と集中による現実的なアプローチで売上を積み上げようとするだろう。

また、前年比にも予算比にも到達していない場合はもっと悲惨だ。あと少しで前年比までは戻せそうだとしても、大幅に乖離する予算比ばかり気にして奇跡を願うような発想になり、より現実とも乖離していくだろう。

■ベンチマークは、社内より社外

いかがだったろうか。

ビジネスにおける予算の必要性を否定するわけではないが、予算とは所詮は社内だけの取り決めだ。

達成したら上司は喜んでくれるだろうが、マーケットが喜んでくれるわけではない。

だったらベンチマークに置きたいのはやはり前年比だ。

今季の自分たちは、昨年よりも市場における提供価値を上げられているか。

その1点に注力すれば、自然と顧客の変化や世の中の変化にも目が向くだろう。

結局、社内ではなく社外を向いて仕事をすることが、予算達成における近道なのだ。


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