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「夫婦と子」…かつての標準だった"家族"が消えていく

4/19に国立社会保障・人口問題研究所による「都道府県別世帯数の将来推計」が発表され、ニュースになりました。

2040年の世帯総数は5075万世帯となり、15年と比べて4.8%減少しますが、注目すべきは、一人暮らし世帯の増加です。特に、東京・大阪などは45%以上が一人暮らしとなります。

このニュースに際し、NHK「ニュースウォッチ9」から、独身研究家として取材を受け、インタビュー出演させていただきました。


こうした予測は、何も急に出てきたことではなく、既に何年も前から予見されていたことです。

一人暮らし4割というと、若年未婚者が増えると思われる方が多いかと思いますが決してそうではありません。実はもっとも増えるのは60歳以上の高齢一人暮らしです。そして、一方で、今まで家族の中心だった40代の「夫婦と子」世帯が激減していきます。2010年の国勢調査の段階で、既に、単身世帯>夫婦と子世帯となっており、単身世帯が世帯類型でナンバーワンです。2040年までに、一人暮らし世帯は153万世帯増加するのに対し、夫婦と子世帯は252万世帯も減るのです。

かつて標準と言われた「家族」が消えつつあります。

これは、未婚化というだけではなく、結婚しても離別・死別によってソロに戻る人たちが激増している影響もあります。

結婚したからといって、未来永劫その状態が続くわけではありません。よくよく考えれば、当たり前のことですが、その当たり前を自分事化できない人が多いのも確かです。

都道府県別に1990年→2015年→2040年推計の50年推移を見てみましょう。2015年までは、それでもまだ滋賀県などをはじめ「夫婦と子」世帯は増えているエリアがありましたが、2040年には全ての都道府県がマイナスとなり、マップは真っ赤です。なにより、20%以上も減るエリアが半分以上を占めてしまうのです。


では、このままいくと、昭和時代に中心を占めていた「夫婦と子」からなる家族という形態は、本当に消滅してしまうのでしょうか?


そんなことはありません。

未婚化、非婚化が進んでも、結婚する人がいなくなりはしません。家族も消滅するわけではない。地域や職場というコミュニティが融解しても、この親と子による親密性に基づいたコミュニティは残ります。いうなれば、家族は消滅するのではなく、コミュニティとしての家族のあり様が変わるのです。

家族という単位が「安心できる心の拠り所」である点は変わらないでしょう。しかし、最近は、家族だけしか信じられない、家族以外は頼れないという考えに囚われている人が多すぎではないでしょうか。

家事も育児も「家族なんだからやって当然」と考えてしまうからこそ、夫婦が互いに相手の義務不履行をなじりあうという現象が起きています。年老いた親の介護についても「家族なんだから親の面倒を見て当然」という意識は、離職してまで介護をするという方向に向かわせ、結果本人の経済的破綻を招き、親子共倒れに陥ります。記憶に新しい京都認知症母殺害心中未遂事件などのような悲劇的な結末も現実に発生しています。

かつて安心な囲いだった家族が、今や家族のみんなを縛り付ける鎖になってはいないでしょうか。「家族を頼る」ことと「頼れるのは家族しかいない」というのは全く違います。

未婚化や少子化のニュースが記事化されると、よく書かれるコメントがあります。既婚者側からは「生涯未婚でいるのは勝手だが、そうした連中を自分たちの子どもたちが支えていかなきゃいけないというのは納得がいかない」という声が寄せられます。そりに対抗してか、未婚者側からは「自分たちだけでも大変なのに、他人の子どものことまで面倒みきれない」という声があがります。

もちろん上記の意見は一部の声ですが、既婚者と未婚者とが互いに対立分断する構造は決してよい方向とは言えません。

リアルに顔を見合わせて助け合うことでなくても、自分のしたことが巡り巡って誰かのためになるという「お互い様」の精神へ。血がつながっていなくても、同じ屋根の下に住んでいなくても、必要に応じて、場面に応じて、自分のできる範囲で、互いに助け合う「拡張家族」の概念こそ、接続するコミュニティの利点ではないでしょうか。

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荒川和久@「ソロエコノミーの襲来」著者

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それ、幻想かもよ!

本当の自分とか幸せとか、そういうのって全部幻想かもしれないよ。
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