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太った人は結婚しにくい?【データ14】

前回、未婚男性の7割は年収400万円以下であるというお話を書きました。だからといって「年収が低いから結婚できない」という因果関係とは結びつきませんが、未婚男性の多くが低年収であることは間違いありません。

では、身体的特徴と結婚との間には相関はあるのでしょうか?

今回は、肥満と結婚との関係についてです。

よく結婚した男性が「幸せ太り」なんてことが言われます。一方で、未婚者は外食が多く、油ものやジャンクフードを摂取しがちで、独身の方が太りやすい、とも言われます。事実、独身の一人暮らし男性のエンゲル係数はほぼ3割に達し、特におにぎりや弁当などの調理食品費及び外食費では標準的な一家族分以上「実額で」上回っているのです。

結婚した人、未婚の人、いったいどっちが太っているのでしょう?

さんざん探しましたが、未婚と既婚とで肥満率を調査したデータは国には見当たりませんでした。さすがに、こんなことを大真面目に統計化しようとは誰も思わなかったようです。なので、僕が主宰するラボで調査を実施しました。対象は一都三県です。肥満の定義は、厚労省「国民健康・栄養調査」に基づき、BMI値25を超えるものを肥満とします。

※BMI=(体重)÷(身長×身長)

© 荒川和久 無断転載禁止

グラフでお分かりの通り、20~50代の未婚と既婚を比べると、明らかに既婚男性の肥満率が高くなっています。やはり、結婚した方が太りやすいということなんでしょうか。

しかし、未婚者の中には、将来結婚して既婚者になるだろう「結婚前向き未婚者層」と、逆に、結婚に対して乗り気ではなく、生涯未婚予備軍といわれる「結婚後ろ向き未婚者層」とが混在します。「結婚前向き層」とは、「結婚したいという強い意志や希望を有する」者で、「結婚後ろ向き層」とは「結婚したくない、しないつもり、諦めた」人たちになります。男性の場合、「どちらともいえない」という不詳層を除けば、両者はおおよそ5割に分かれます。

「結婚前向き層」と「結婚後ろ向き層」で分けてみると、圧倒的に「結婚に後ろ向きな男たち」の肥満率が高いことがわかります。その肥満率は約34%であり、これは日本全体の成人男性の肥満率31%を超えています。

つまり、これは、「太っている男性は結婚できない」ということになる?のでしょうか。それとも、「結婚していない・できない」というストレスを無意識に穴埋めしようと、糖質の摂取によってバランスを取る回数が多くなり、結果として未婚男の肥満率が高くなるということでしょうか?

前回の「低年収未婚男に未婚が多い」という事実と掛け合わせると、低年収者は安価で満腹感を得られやすいジャンクフードをとりがちで、だから肥満にもなりやすい。よって、「低年収の未婚者は肥満になりやすい」という解釈をすることも可能です。

しかし、決してそうではありません。実は結婚後ろ向き層に肥満が多いのにはカラクリがあります。

前述の結婚に対する「前向き度」と「後ろ向き度」とは年代によって違いがあり、40代以上で大きく「後ろ向き派」の比率が増えます。つまり、「前向き層」には若い人が多く、「後ろ向き層」には中年男性が多いということです。ちなみに、厚労省の「平成28年国民健康・栄養調査」によれば、男性肥満率は40代で34.6%、50代で36.5%と、肥満率は特に中年層に集中します。

要するに、結婚後ろ向き層の肥満率が高いのは中年構成率の高さによるもので、未婚か既婚かという状態の影響ではないと言えます。「太っているから結婚できない」とか「結婚していないから太る」などという因果関係は微塵もありません。ご安心ください…。

同様に、実は身長でも調査を実施していますが、こちらも身長の高低が未婚既婚に影響しているとは言えませんでした。

「僕はデブだから…」「僕はチビだから…」といった理由で、結婚できないわけではないのです。そして、同様に、それは結婚できない言い訳にもなりえないのです。

結婚に前向きか後ろ向きかの男女意識の推移調査結果はこちらの記事でご覧いただけます。

https://comemo.io/entries/6144

尚、成人男性の肥満率は1980年代と比較すると全体的に激増しています。結婚していようがいまいが、健康のため、生活習慣にはお気をつけてください。

© 荒川和久 無断転載禁止

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