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芸能人の浮気や不倫に対して怒りを感じる理由

5月に死亡した木村花さんがネット上で誹謗中傷を受けていたことを受け、ネットでの中傷に対する法定刑の見直しが検討され始めたようです。

芸能人や有名人に限らず、一般人に対してもネットでの誹謗中傷は多く見られます。こういう問題を道徳的な言葉なんかで解決できるわけがないのです。ネットがあろうがなかろうが、人間は気に入らない相手の悪口や陰口を言い、その人間をマウントし、屈服させ、足蹴にして、支配したかのような気持ちを求める生き物だからです。

厳罰化するのは当然の方向だと思います。木村花さんの件でも、死亡後自分の書き込みを消去する者がたくさんいました。罰を受けるのが怖いからです。残念ながら、人間とはそういうものなんですが、それでも、世の中から誹謗中傷コメントが減少し、言葉の暴力がなくなるのであれば良いことだと思います。

…という期待もあっけなく消えてしまいました。

本日、ネットで大騒ぎとなった芸人アンジャッシュ渡部さんの浮気不倫に関する文春砲がさく裂しました。彼のツイッターには、案の定以下のようなものが書き込まれました。一応、書き込んだ方の名前は伏せます。

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何一つ学習していない…。

どうしてこう人は同じ過ちを繰り返すのでしょう?


「怒りは贅沢より悪い。なぜなら、贅沢が堪能するのは自分の快楽であるのに対して、怒りが楽しむのは他人の苦しみだからだ」

これは、ストア派の哲学者であり、ローマ皇帝ネロの家庭教師もつとめたセネカの言葉です。

「あいつ不幸になればいいのに」というシャーデンフロイデ(めしうまの心理)は皆持っていますが、怒りはそれとは違います。怒りは、より能動的で、「あいつを不幸にしてやる」という瞬間的な行動に容易に発展してしまうのです。書き込んで消すくらいなら、書き込む前に1分時間をおいてみればいいのです。たった1分でも置くことで、怒り自体は鎮まらないまでも、書き込む意欲は減退します。


ところで、この渡部さんの件ですが、ツイッターのTLに流れてくるのを見ると「佐々木希という美人妻がいるのに浮気とか考えられない。俺ならしない! 」とか言ってる男性も多いようです。

でも、それ違います。むしろ「佐々木希という美人を妻にできる男だから浮気しまくる」のです。

20~50代既婚男性を、容姿に自信があるグループと自信ないグループに分け、それぞれの浮気率を調査したところ、自分をイケメンだと思っている男は既婚でも6割以上浮気しているというデータがあります。一般人でこれなんですから、いわんや芸能人をや(反語強調文)。容姿に自信ありなしでは浮気率に大きな違いがあることがわかります。

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これをツイッターで掲載したところ、「そんなに浮気してるか」という感想が結構寄せられました。多分、そういう感想を持つ人は浮気はしない人です。

しかし、よく考えれば当たり前です。イケメンはモテるわけです。女性がほっておかない。多分、10代の頃からモテ続けてきたのでしょう。つまり、恋愛経験も豊富で、その喜びにも精通しています。彼らが浮気をしないという理由はどこにもありません。

イケメンとお付き合いしたことのある女性なら、心当たりがあるんじゃないてじょうか。


但し、これは、決して男性だけの傾向ではありません。既婚女性も男性ほど高くはありませんが、それでも男性同様に「自分を美人だと思っている既婚女性の5割程度は浮気します」。それより、女性の方は、「容姿に自信ない」と答えた方の浮気率が男性よりも高いようです。

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男女とも、20代と40代は低く、30代と50代が高いという傾向が同じなのが興味深い。

もちろん男女とも「自分の容姿に自信がある」と回答する率は3割程度なので、全体平均した浮気率はこんなに高くはありません。大体、男女とも、どの年代も3割程度にまで下がります。つまり、恋愛強者3割の法則です。結婚しようが、親になろうが、恋愛強者は常に恋愛を求め続けるのです。

見も蓋もない言い方をすれば、日本の夫婦は、夫も妻も3割は浮気経験があるということです。司法統計によれば、離婚理由として「異性関係」、いわゆる不倫での離婚構成比というのは、大体2割弱です。3割浮気して、離婚に至るのは2割ということです。

「浮気や不倫は絶対ダメ」という方もいるかもしれませんが、ここで、冒頭のなぜ人間は誹謗中傷コメントをしてしまうのか?という話に戻るのですが、芸能人の不倫問題が出ると、一斉にネット上での叩きが始まるのはよくある光景です。

ああやって不倫や浮気をした有名人を血祭りにする行為というのは、既婚者が自分の配偶者に対して、「おまえ、よく見ておけよ。浮気とかしたらおまえもこうなるんだぞ」という見せしめなんじゃないかと思うわけです。

もしくは、不倫や浮気に気付いていながら、面と向かってそれを問題化するのを避けている既婚者が、その不快な感情を芸能人の不倫に対しての怒りという形で表出させることで代替えしているのではないか、と。

怒りを露わにするのは決して良い事ではありませんが、怒りを一切封じ込めることもまた、人間は不可能なんではないかとも思います。怒りを全否定するのではなく、怒り方を工夫することが大事です。


なお、今回の渡部さんの件でもそうですが、こういうときにあまり怒らず、「まあ男だし、モテるんだから、しょうがないよね」などと穏便なことを言う旦那がいたとすれば、それはかなりの高い確率で浮気をしたことがある夫だと言えるかもしれませんよ。自分がしていることに対して、怒りの感情は起きないものです。


以前、1000組の夫婦調査をしたことがあります。そこで、恋愛強者同士の夫婦の組み合わせは、15%でした。つまり、恋愛強者の3割同士が全員結婚するわけではなく、男女とも半分は恋愛弱者と結婚しているのです。詳しくはこちら。


これは、恋愛強者ならではのリスク回避能力なのかもしれません。浮気されて面倒なことになるくらいなら、最初から結婚なんてしないという。

ま、とはいえ、夫婦の55%は恋愛弱者同士の組み合わせです。それほど心配する必要はないでしょう。


長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。