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2020年注目トレンド:ビジュアル・動画がもたらすニュース消費習慣の変化

年の瀬も近い師走後半のこの時期、2019年を振り返り、2020年の予測を取り上げる方も多いのではないでしょうか?2010年代を振り返り、今後10年の2020年代を占うよい機会かもしれません。

「日経COMEMO」でもテーマ企画として「2020年注目のビジネスは?」というお題を掲げ意見を募っていることもあり、あくまで個人的な2020年の注目トピックを今回は取り上げてみたいと思います。

今回取り上げるテーマは、「ビジュアル・動画がもたらすニュース消費習慣の変化」です。

あまり目新しくはない、今までもじわじわと来ている変化かもしれません。が、個人的には2019年を通じて予兆を感じつつあるトピックで、今後5Gの普及やNetflixなどの国内での成長も踏まえ、加速していくのでは、と感じるテーマです(ポッドキャストを通じて耳からニュースを聴く機会が増えたことは今年の個人的な大きな変化でした)。

より具体的にいうと、インスタグラム、ユーチューブによって若年層のニュース消費がどのように変化するか、ということに強く興味を持っています。

先に種明かしをすると、こちらのエコノミストの記事を読み、大きな驚きを感じたかことが今回のテーマを取り上げる直接のきっかけです。

『10代がニュースのルールを書き換えている(Teenagers are rewriting the rules of news)』 The Economist 12/20/2019

記事によると、8歳から18歳の若者はもはやほとんど新聞は読まず、1時間のなんと7時間半をスマートフォンやタブレットのスクリーンに接触していて、ほぼ毎日1時間はYoutubeを視聴し、Youtube, Instagram、Watsappなどで友達からの紹介に大きく影響を受けながらニュースなどのメディア消費をしている実態が描かれています。北欧の若き環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんが始めた活動は今や若者の間でSNSで拡散され、世界の150カ国に広がっています。「政治家、政策立案者、メディアの経営者は、今日のティーンエージャーがどのようにニュースを作り、広め、消費するかが彼らの国や企業の今後に何が起こるかを決定する、ということに注意を払うべきである。」と記事の中でも指摘されています。

「今どきの若者は...」などと嘆くのではなく、もはや現実として大きな変化が起きていることを認識し、今後こうしたトレンド、消費スタイルを踏まえた上でメディア企業や社会も適応していかなければいけないのではないか、と感じさせる内容です。

いくつかのデータを引用してみます。

①2009年から2018年の間に新聞を読むティーンエイジャーの割合は約60%から20%近くに減少(PISA:国際学習到達度調査)
18歳から24歳までのアラブ人の約80%がソーシャルメディアからニュースを得ていて、2015年の25%から増加している
米国では毎日オンラインビデオを視聴する子どもが6〜7割となり、その頻度は過去4年間で倍増、毎日1時間は視聴している。10代の若者がスクリーンで過ごす時間は毎日約7時間半(米国非営利団体のコモン・センス・メディアによる調査 )。
④イギリスの放送通信分野を規制監督するOfcom(Office of Communications)はBBCの16〜24歳の接触率が初めて50%を切ったことをふまえ,こうした若者層の接触状況を改善するための明確かつ大胆な計画を立案しない限り,BBCは存続できないと,厳しい見解を示した
⑤インスタグラムに特化した若者向けニュースサイトが次々登場し、大手企業が買収するケースも(NowThisNews(200万フォロワー)、House of Highlights (スポーツ特化サイト:170万フォロワー、ブリーチャーレポートが買収)など。

記事の中ではエルサルバドルの大統領が国連総会のスピーチの冒頭にセルフィーを撮り、自国の国民に伝えるために直接ツイートしたことも言及されています。そもそも新聞を読まずテレビニュースを見ない人にメッセージを届けようと思う際、良し悪しは別としてもこのようなことをする人が今後増えていきそうです。アメリカの大統領もこうした時代の変化を敏感に感じ取っているのかもしれません...。

今回改めてこうした若者のメディア消費スタイルについての驚きを感じるのは、自分自身が実感を持ってこの大きな変化を感じられてなかったからです。ユーチューブといえばヒカキンさん、はじめしゃちょうさん、そして最近ではN国の立花孝志氏、オリエンタルラジオの中田敦彦さん、堀江貴文さんなどが積極的に取組み話題になっている、というような印象を持っていました。ただ、実際には人気ユーチューバーのトップランキングにはティーンネイジャーが溢れていることも最近知り驚いています(国内のランキングでもその傾向は当てはまるようです)。

2020年に何かが大きく変わることはないかもしれないものの、今後5年、10年を経て、現在の10代、20代の若者が社会の中心となっていく時、どのようなメディア、コミュニケーション、社会が形作られているのか、想像がつきません。「分断」が世界のあちこちで目立ちますが、国内ではどのようにこうした変化がもたらされるのか、緊張感を持って見つめていきたいと感じます。

カバー画像:Photo by Kon Karampelas on Unsplash

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