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自民党総裁選の盛り上がりは最高だ。

 自民党総裁選をめぐって、メディアの報道が加熱している。ものすごく盛り上がっているし、僕は、国民がここで政治への関心を一気に引き上げる可能性を持つ、歴史的な総裁選になるのではないか、と考えている。

 過去の総裁、、、というか首相がどんな流れだったかな、ということを振り返ってみた。

 見てみると、まあその時その時の首相には印象が強い人もいれば超短命で殆ど印象に残っていない方もいる。印象的だったのはやはり小泉純一郎さんで、他の首相と異なり、その功罪はあるのかもしれないが、政治を極めてわかりやすくしてくれた。

 その後は短期での首相交代が繰り返され、これだと日本はバブル崩壊後の社会を政治で支えることがなくいかんよなぁ、と思っていたら、第二次安倍内閣はなんと在任期間2,822日と、佐藤栄作氏、吉田茂氏を抜いて歴代一位の長期となった。

  安倍内閣の最後の方は、もろもろな問題でツッコミが入り、そもそも長期になりすぎたことへのある種の「飽き」も生まれ、その状況の中での新型コロナウィルスの感染拡大があったため、これだけの長期政権だったにもかかわらず尻すぼみになった印象は否めない。支持率の下落も無視できない水準になった。

 と思ったら、実は安倍政権末期も、支持率の低下は他の内閣と比してもさほどひどいわけでもない、というか支持率はむしろ他内閣と比して高水準の状態で菅内閣に移行したということがわかる。やっぱり長期政権、といっても限度があるんだろうと思う。

 そして菅さんは官房長官として信頼を得て、成果を出されていたから、ものすごい高支持率から始まっていたが、有事において国民に対する説明(および、説明姿勢)の不足がたたって、支持率を下げた。

 そんな経緯を経ての今回の自民党総裁選。横浜市長選の結果などを見て、もう自民党はジリ貧なのかな、という印象を持っていたら、ところがどっこい、4人の候補が出てきて、凄まじい熱気を持って総裁選を戦っている。

 以前のnoteで書いた通り、「いやそんなに盛り上がるんなら普段からやろうぜ」という印象は個人的には捨てきれない。支持拡大のための日々の精力的な活動を見ていても、それ自身はとても素晴らしいわけだが、普段からやっていてほしいし、それを国民にアピールしてほしいと思うわけだ(ま、普段は取材も入らないのかもしれないが)。

 ただ今回の総裁選を見ていると、それを差し置いても少しだけでも、政治に期待してもいいのではないか、と思わせるものがある。小泉純一郎さんが総裁になった時の総裁選はよく覚えているが、個人的にはあの時に匹敵するくらいの印象だ。

 まず何せ候補者が若い。岸田さん64歳、野田さん61歳、高市さん60歳、河野さん58歳。実年齢もさることながら、見た感じが若い。これは重要だ。

 ここしばらく、政府とか自民党関連で出てくる顔が、菅さん72歳、二階さん82歳、麻生さん81歳、オリンピックの時だけだが森さん84歳といった重鎮の皆さんだったので、ああこれはもう、流石にやばいなと感じていて力が抜けていただけあって、この(見た目も含めての)若返り方は素晴らしい。

 もちろん、二階さんが総裁選挙のキャスティングボードを握るとかそういうことはあるのだろうが、表に出てきている人たちが若いのは、今後の若返りの第一歩であり素晴らしい。

 そして男女半数ずつ、というのがまた素晴らしい。総裁選に女性が出てくるのは、これまでは小池さんのみ。まあ、どう考えても女性が活躍しづらい環境だったと思うのだが、半数になった。ダイバーシティ、ジェンダーの観点で、「形から入った」と見られても、女性半分、というのは本当に素晴らしいことだ。

 総裁の素養がある人が総裁になるべきなので、男女とかって論点は本来的ではないかもしれないが、とはいえ、やっぱりこの4人が並ぶ姿を見たら、そこからまた男社会に戻る、ということには行きづらいと思われる。

 そしてさらに、水面下では派閥間での票の駆け引きは大きいと思うが、表面的には、政策論争がフォーカスされてきている。

 4日連続のオンライン候補者討論、最高じゃないか。
これにより、各候補者が何を考えているか、選挙で投票できる人のみならず、国民もその論点を理解し、考えることができる。密室政治の印象から脱却できる。

 新型コロナウィルスの感染拡大という国を揺るがす有事を契機に、私たち国民は政府、政治の役割、実行施策に、これまで以上の大きな関心を持つことになった。

 で、新型コロナ対策以外にも当然政治の役割あるよな、、、と考えれば、経済対策、成長戦略はどうか、そして外交、安全保障はどうか、という観点が出るし、これらに加えて、選択的夫婦別姓、LGBTとかもろもろの論点がどうか、ということだな、と枠組みが見えてくる。

 骨太に、国民が政治を考え、語る素晴らしいチャンスが到来している。

 派閥の駆け引きは、国政をしっかりと形作っていくうえでは無視できる話ではない。だが今回、推薦人の状況をみると、各派閥と各候補者と完全一致しているわけではなくマトリックス的になっていることで(これが過去の総裁選とどう違うかは不明だが)、派閥対派閥のパワーゲームばかりがフォーカスされていた印象があるこれまでの総裁選と比べると、より政策面での整合性、説得力は間違いなく問われるだろうし、そこを私たちはしっかりと見定めることができるだろう。

 だから、裏で糸を引いているのは誰で、誰がどう陣営を動かしていて、みたいな話は自民党国会議員の皆さんにお任せして、私たち国民はこの総裁選を経て、どう日本が変われるか、どう私たちは変われるか、真剣に考え、動いていくきっかけとしようじゃないか。

 そしてその後の総選挙でどうなるか、さらにその後の政権運営がどうなるか、見定めていこう。

(Photo by Aflo)

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